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特集・コラム 2023-03-17

介護事務管理士ってどんな職業?資格の概要や取得のメリット、おすすめの講座を紹介

医療介護の現場で介護事務に携わる専門職として知られている介護事務管理士。介護事務職としての知識を証明する資格とされていますが、一体どのような資格なのでしょうか?

介護事務管理士は、介護報酬請求業務のほか、ケアマネジャーの業務サポートとして、介護業務のサポートにつくこともある職業です。

この記事では、介護事務管理士の仕事内容や資格の概要、取得のメリット、向いている人、おすすめの講座、ケアクラークとの違いなどについて解説します。

介護事務管理士の仕事や資格の概要を知り、自分に合っているかなど仕事の適正を把握したうえで、介護事務管理士としての仕事を目指すべきか検討してみましょう。

目次
  1. 介護事務管理士とは? 仕事内容を紹介
  2. 介護事務管理士の資格を取得|受験資格や合格率は?
  3. 介護事務管理士の資格を取得するメリットとは?
  4. 介護事務管理士の将来性とは? どんな人に向いているの?
  5. 介護事務管理士に関連する資格取得を目指せる! おすすめの講座を紹介
  6. 介護事務管理士の資格は独学でも取得できる?
  7. 介護事務管理士とケアクラークはどこが違うの?
  8. 介護事務管理士は医療介護福祉サービスに欠かせないお仕事!

介護事務管理士とは? 仕事内容を紹介

まずは、介護事務管理士とはどういう仕事なのか、また介護事務管理士が働く場所(活躍する場)にはどういった施設・サービスがあるのかを見ていきます。

介護事務の仕事|介護報酬請求業務(レセプト作成)

介護事務管理士の主な業務となるのは、介護報酬請求業務です。介護報酬請求業務とは、簡単にいえば介護報酬の計算・請求書作成をおこなう仕事です。

介護報酬とは、介護保険から事業所に支払われる報酬のことで、事業所はこの支払いを1カ月に1度の頻度で国民健康保険団体連合に請求しなければなりません。介護事務管理士は、この請求をおこなうために医療報酬明細書(レセプト)の作成業務を担当します。月々の請求書の作成ということもあり、月末や月初は多忙となる傾向があります。

ケアマネジャーの業務をサポート

介護事務管理士の仕事は介護報酬請求業務だけではありません。施設利用者の問い合わせ対応や、ケアマネジャーの補助業務もおこないます。ケアマネジャーの補助業務では、施設に勤務するスタッフのシフト作成などが主な業務です。また、実際の介護業務の補助をおこなう場合もあり、事務業務だけではない幅広い対応が求められます。

介護施設・サービス以外にも|介護事務管理士はどんなところで働くの?

介護事務管理士が活躍する主な施設には、デイサービスセンター、特別養護老人ホーム、老人保健施設、ヘルパーステーション、訪問看護ステーション、グループホーム、ショートステイ、病院の療養病床などが挙げられます。

上記のような介護施設・サービス以外にも、民間クリニック、居宅介護支援事業所、国保連合会、保険請求審査機関、介護コンピュータのシステム会社、損害保険会社など、幅広い勤め先があります。

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介護事務の1日のスケジュール例

介護事務管理士の1日のスケジュールは、下記のような流れです。

・8:30〜9:00:出社、メールの確認、朝礼
・9:00〜12:00:受付・電話業務、介護給付費明細書の作成
・12:00〜13:00:昼休憩
・13:00〜17:00:受付・電話業務、介助サポート
・17:30:1日の勤務内容を日誌にまとめ、退勤

働く場所や役職によっても働き方は変わりますが、平日の昼間に働くシフトが多く、夜勤が少ないのが傾向としてみられます。何らかの事情があって、どうしても夜勤に入れないという方にとっては、とても働きやすい仕事だといえるでしょう。

介護事務管理士の資格を取得|受験資格や合格率は?

介護事務として働くために、事務職としての専門性を証明する資格として有効なのが、介護事務管理士です。この章では、介護事務管理士の概要について見ていきましょう。

受験資格について

介護事務管理士になるためには、技能認定振興協会(JSMA)がおこなう介護事務管理士技能認定試験に合格する必要があります。受験資格は特に設けられていないので、誰でも受験することができます。受験日程、受験の申し込みの流れなどについて詳しくみていきましょう。

試験問題と合格基準

介護事務管理士技能認定試験は、学科と実技に分けられています。学科試験はマークシート形式になっており、出題内容は法規(介護保険制度、介護報酬の請求についての知識)​と、介護請求事務(介護給付単位数の算定、介護報酬明細書の作成、介護用語についての知識)​です。

実技は全6問から2問出題され、出題内容は介護給付費明細書を作成するために必要な知識について(居宅サービス、施設サービス、地域密着型サービス)です。

技能認定振興協会の公式サイトによると、試験の合格基準は以下のようになっています。

1.実技試験/約80%以上
2.学科試験/約80%以上

学科・実技ともに、60%以上の得点で、かつ全問題の得点合計が80%以上が合格基準となっています。試験の合格率は70%前後とされており、比較的合格しやすい試験です。

受験料と申込方法

受験料は、学科実技込みで5,500円(税込)円です。一度納入した受験料は返金することができないので受験を検討している方は、事前に受験日のスケジュールを把握し、納入の用意をしておきましょう。

また、領収書の発行は受け付けていないので、クレジット決済の場合はカード会社が発行する明細書、コンビニ決済の場合はコンビニで領収書を出してもらう必要があります。

受験申し込みは、「インターネットからの申し込み」もしくは「コンビニ端末からの申し込み」の2つの方法からおこなうことができます。どちらの場合も、公式サイトに詳しい内容が書かれているのでチェックしてみてください。

介護事務管理士の資格を取得するメリットとは?

介護事務管理士の資格を取得することは、単に介護事務のエキスパートになれるというだけでなく、それ以外にもさまざまなメリットがあります。どんなメリットがあるのかを詳しく見ていきましょう。

専門的な知識を身につけられる

40歳になると誰もが介護保険に加入する必要があり、それに合わせて介護保険料を支払う義務が発生します。しかし、多くの人の場合介護に関する専門的な知識がないため、「介護保険制度といってもよく分からない・・・」と感じるのが普通です。

介護保険に関する知識を学び、介護事務管理士の資格を取得しておけば、いざ家族や自分自身が介護保険に加入するときにも困ることはありませんし、問題が生じても適切に対処することが可能になります。

就職や転職にも役立つ

介護事務の仕事は、資格がなければ就けないというわけではありません。とはいえ、就職の際は資格の有り無しが大きく影響を及ぼすのは間違いありません。少しでも就職や転職を有利に進めるためにも、介護事務管理士の資格を取得しておくことは大きなアピールポイントになります。

資格さえあれば、全国どの地域に引っ越ししても、高い確率で介護事務関連の仕事に就くことができますし、一定の確かなスキルを身につけているので復職する際にも不安は生じません。

幅広い職場で活躍できる

介護事務管理士の仕事は多岐に渡り、仕事の幅が広いことが特徴です。介護保険の知識があることで介護の現場で事務のプロとして活躍できます。また、施設によっては介護事務の仕事だけでなく、直接介護を行う仕事の補助を任されるケースもあります。

募集要項の内容をよく読んで自分自身の思い描く働き方とマッチしているかどうかを事前にチェックしておくことが大切 です。

将来性が高く長く活躍できる

介護の仕事は上でも紹介してきたように、需要が高い分野の仕事です。介護に関わる仕事は人材が必要な職といえるため、今後さらに将来性が高まるでしょう。

そのため、介護の知識を身につけておくことで、長く活躍できるはずです。たとえ、職場が変わったとしても、経験や資格を活かして転職もしやすい業種です。

介護事務管理士の将来性とは? どんな人に向いているの?

ここからは、介護事務管理士の将来性や向いている人について紹介していきます。介護の仕事のなかでも、介護事務管理士はどのような役割を持ち、どのような将来性があるのでしょうか。

向いている人について知ることで仕事内容が具体的にイメージしやすくなります。たとえば、細かい作業が多いのか、体力がいる仕事なのかなどです。自分自身と照らし合わせて考えてみましょう。

需要はますます拡大! これからも必要とされるお仕事

介護事務管理士だけでなく、介護にまつわる仕事全般でいえることではありますが、日本では今後高齢化がさらに加速していくことが予想されています。

進む高齢化に伴い、介護に関する仕事の需要はこれからも拡大していくでしょう。介護に関する知識を身につけるのは、自分自身の親の介護の際に役に立つだけでなく、仕事の面でも社会的に需要の高い知識として活用できるはずです。

介護への関心と責任感のある人におすすめ!

介護事務の仕事は介護の仕事と密接に関係しています。そのため、介護の業務に関心がある方におすすめの仕事です。また、介護事務管理士のメイン業務である介護報酬の計算や請求書の作成は、介護事業所に入ってくるお金、ひいては従業員の給料に関わる重大な仕事なので、責任感の強い人におすすめだといえます。

デスクワークが苦にならない人が望ましい

介護職員とはいえ、事務職員としての業務時間が大半を占める介護事務管理士の仕事。どうしても、データ入力や計算処理、窓口・電話対応などの事務作業が多くなるので、デスクでコツコツと作業できる人、繰り返しの作業を苦に感じない人におすすめの仕事です。

スケジュール管理能力がある

介護事務の仕事は、納期に追われる仕事だといえます。スケジュール管理のできる計画性のある人に向いている業務内容です。介護報酬請求書は毎月1日〜10日にかけて提出を求められ、締切に遅れてしまうと介護報酬の支払いが遅れてしまうケースも。

スタッフ全員の給料や事業所の介護報酬に関わるので、納期に間に合うように事務業務を計画的に行える人は、介護事務管理士として適正があるといえます。

介護事務管理士に関連する資格取得を目指せる! おすすめの講座を紹介

介護事務管理士になるための勉強法として、在宅でも可能な通信講座を利用するのがおすすめです。介護事務管理士に関連する人気の通信講座をいくつかご紹介しましょう。

ユーキャン|介護事務資格講座(通信)

あユーキャンが実施している在宅型通信講座です。3ヵ月の短期講習となっており、テキストも2冊だけでおこないます。分からないことがあれば、受講期間中にパソコンやスマホから気軽に質問することが可能です。

受講生専用サイト「デジタル学習サイト」が設置されており、動画講義やWEBテストなどのコンテンツを利用することができます。スマホでも利用できるので、場所を問わず好きなときにいつでも復習できるのはうれしいポイントです。

出典元:ユーキャン:介護事務講座

ソラスト|介護事務講座(通信)

ソラストがおこなう福祉系講座のひとつとして、通信の介護事務講座があります。メインテキストは2冊で、資料ブックとレセプトの書き方の教材もそれぞれ1つずつ付いていて教材が充実しているのが特徴です。また、動画をつかって隙間時間で学習を進めることもできます。

講習期間中における疑問点は、講師に学習システム「ソラスタディ」から、いつでも質問できるので安心です。

出典元:ソラスト:介護事務講座

日本医療事務協会|介護事務講座(通信)

日本医療事務協会が実施する介護事務講座は、受講期間が1ヶ月〜3ヶ月の短期で、担当講師が生徒ごとに合わせて添削指導をしてくれ、ちゃんと理解をしながら学習できます。

わかりやすい図解テキストも人気です。3年に1度のペースで改訂される介護報酬ですが、改訂に合わせてテキストを購入する修了生も多いようです。

また、ケアプランや介護報酬請求書の作成には必要不可欠なパソコン操作を学べる介護事務コンピュータ講座も、追加オプションで利用できるのが特徴です。

出典元:日本医療事務協会:介護事務講座

介護事務管理士の資格は独学でも取得できる?

ここからは、介護事務管理士の資格は通信講座を受けずに、独学でも取得できるのかについて紹介していきます。

できるならばコストを抑えて独学で勉強して資格を取得したいと考える方もいることでしょう。介護事務管理士の資格を取得するにはどのように勉強したらよいかなどを具体的に詳しく解説します。

独学でも取得できる!

結論からいうと、介護事務管理士の資格取得に向けた勉強は、独学でも取得することができます。もちろん自分自身でしっかりとスケジュールを管理し、学習を進めていく必要はあります。

独学でも介護事務管理士の資格を取得するのにおすすめの方法を以下のリンクで紹介しているのでよかったら参考にしてみてください。

介護事務管理士の資格とは? おすすめの勉強方法とテキスト&問題集10選を紹介

公式のテキスト・問題集を利用する

介護事務管理士の資格の公式テキストがあります。これを利用することで独学でも効率的に勉強を進めていくことができます。

最新の内容に更新されており、本番と同じ形式の模擬問題も2回分ついています。学科試験と実技試験ともに載っています。重要なポイントがわかりやすくまとめられていて、合格に向けた対策を十分に行えます。

市販のテキストや問題集を利用する

市販のテキストや問題集を利用する方法もあります。選ぶときの注意点としては、3年に1回介護保険制度が見直されるので、最新の法改正に対応した内容のものかどうかを確認することです。

昔のテキストや譲ってもらった過去のテキストで学習しないように気をつけましょう。また、自分の知識のレベルに合ったものを選ぶことも大切なポイントです。最低限身につけておくべき知識が網羅されたものは、初心者でも学習を進めやすいでしょう。

介護事務管理士とケアクラークはどこが違うの?

介護に関する資格を取得しようと考えたときに、種類の多さに困惑してしまう方もいるのではないでしょうか。同じ介護事務資格のなかに、「ケアクラーク」というものがあります。

このケアクラークと介護事務管理士とはどこが違うのかについて紹介します。内容やちがいを理解してどの資格を取得したいのかを判断していきましょう。

介護事務管理士とケアクラークはどんな資格?学ぶ内容の違い

介護事務管理士は、ケアプランを作成し、間違いのないように介護報酬請求をするのが主な業務です。その一方で、ケアクラークは、介護福祉や医学、コミュニケーション、高齢者・障がい者心理、介護報酬請求など、介護や福祉、医療を幅広く学んでいきます。

介護事務管理士は介護事務に特化した資格。ケアクラークは介護事務のみならず、医療や福祉などの分野まで広く学べる資格になっており、両者は異なる資格だとわかります。

受験資格を比較

介護事務管理士もケアクラークも、どちらも受験資格は不要です。介護保険等に関する事務職に就きたいと考える方は、だれでも受けることができる試験で、目指しやすいともいえるでしょう。

試験内容を比較

試験内容は、どちらも実技と学科があります。介護事務管理士の学科試験は10問のマークシート形式で介護請求事務や法規に関する内容が出題範囲となっています。

実技試験は、全部で6問のなかから2問選び答えます。内容は、レセプト点検問題が主で、居宅、施設、地域密着型のそれぞれ2問ずつから2つ選びます。

ケアクラークの学科試験は、25問の択一式で介護事務の業務に必要なコミュニケーションや医学、社会福祉、そして介護報酬請求事務に関する内容が出題範囲となっています。実技試験では、居宅と施設それぞれの介護給付費明細書作成の問題が2問出題されます。

受験料を比較

受験料は、介護事務管理士が5,500円(税込)で、ケアクラーク6,900円(税込)となっています。大きく金額に差があるわけではありませんが、ケアクラークの方が少し高い金額です。

合格基準を比較

介護事務管理士の合格基準は、学科と実技の両方が60%以上の得点であることや、全ての問題の合計得点が80%以上となっています。ケアクラークの合否基準は、学科もしくは実技試験それぞれの得点率が70%以上で合格となっています。

介護事務管理士は医療介護福祉サービスに欠かせないお仕事!

介護事務管理士の業務は、ケアプランや介護報酬請求書の作成です。介護事務の専門性を証明でき、幅広い分野で活躍できるので、就職や転職にも役立つ可能性が高いでしょう。

介護事務の仕事は、介護業務への関心や仕事に対する責任感があり、デスクワークが苦にならず、スケジュール管理ができる人間に向いています。介護事務管理士の仕事内容と資格の概要をおさえて、介護福祉サービスに欠かせない介護事務人材を目指しましょう!

引用元
技能認定振興協会:介護事務管理士技能認定試験
日本医療事務協会:介護事務講座
ソラスト:介護事務講座
ユーキャン:介護事務講座

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