デイサービスから訪問介護へ! 経験を活かして今につなげる 介護リレーインタビューVol.24【サービス提供責任者・本橋和紀さん】#1
介護業界に携わる皆様のインタビューを通して、介護業界の魅力、多様な働き方を紹介する本連載。今回は、東京都練馬区を中心に介護保険法に基づいた訪問介護サービス事業を行う株式会社maisのサービス提供責任者・本橋和紀さんへインタビュー。
前編では、本橋さんが介護業界へ進んだきっかけや仕事を始めて感じたギャップなどについて伺います。後編では、会社の企業理念に沿った考えや今後の目標、介護業界を目指す方へのアドバイスをお伝えします。
年配の方へ『恩返し』がしたい!
ーー本橋さんが介護業界に進まれたきっかけを教えてください。
18歳の時に一緒に暮らしていた祖母が入院をしていて、入院先の病院では食事介助が付いていなかったため、母親と交代で祖母の食事介助にあたっていたんです。そこで、病院の看護師さんたちが僕の食事介助の様子を見て、「介護とか向いているんじゃない?」と声をかけてくれたことがきっかけで介護業界に興味を持つようになりました。
ただ、当時は介護業界が今のように世の中に浸透していなかったため、専門学校に通い資格を取ることは狭き門だと諦めかけていました。そんな矢先、たまたま見かけた新聞の求人欄に『未経験・無資格』の募集記事があり、応募して介護士になりました。
また、小さい頃は祖父母と一緒にいる時間が長く、とても可愛がってもらった恩を返したいという気持ちもありましたね。年配の方と過ごすことがすごく身近で、自分が自然体で居られる時間でもあるので介護職に進めて本当によかったと思っています。
ーー現在、本橋さんは訪問介護士として働かれていますが、今まで他の形態の介護サービスも経験されてきたんでしょうか?
はい、デイサービスを10年くらい経験しましたね。いま就いている訪問介護士としての仕事は、約2年半くらいです。
ーーデイサービスもご経験されていたんですね。なぜ訪問介護士に転向されたのですか?
ある時、訪問介護をしている方と話して、同じ利用者の方でも全く異なるイメージを持つことがあると気づきました。訪問介護はデイサービスに比べて、その人の『素』に近い姿が見られるんです。デイサービスでは皆さん格好つけていたり、あくまで『よそ行き』の姿で、その人の一面しか見ることができません。デイサービスでは朗らかなイメージの方でも、訪問介護の際はクレームばかりだったりなど、デイサービスでのイメージからかけ離れている人もいるという話を聞いてから、訪問介護に興味を持ち始めたんです。
ーーでは、現在所属されているmaisに入社された経緯は?
前職のデイサービスを辞めようと思っていた時に、もともと仕事で知り合っていた代表の方に相談したんです。その時に訪問介護を立ち上げる話を伺い、誘っていただきました。
ーー本橋さんはmais様でサービス提供責任をされているとのことですが、具体的な役割と役職者として日頃から気をつけていることについてお聞かせください。
サービス提供責任者というのは、訪問介護サービスに関わる全ての責任を負う立場であり、業務は多岐にわたります。具体的には、ヘルパーへの連絡事項や伝達、悩み事があればアドバイスや指導をしています。
特に気をつけていることといえば、連絡事項などがある際になるべく分かりやすくヘルパーやケアマネジャーへ簡潔に状況を説明できるようにしています。勘違いする伝え方をしてしまうと、事故やクーレムにつながりかねないので慎重になっているところではありますね。
喜ばれると思っていたけど…!?
ーー具体的な業務内容について教えてください。
いつも日によりバラバラなのですが、大体はケアマネジャーが組み立てたプランに補足事項を加える相談をしたり、1日に約5〜6件ほどの利用者さまのところへ訪問介護に伺っています。具体的には、利用者さまに合ったサービスや、生活を送る上でいかに気持ちよく過ごせるかを考えつつ、サポートしています。
ーー実際に仕事をしてみて、最初に感じたギャップなどはありますか?
はい。介護職は、『お世話をする・助ける』という仕事なので喜ばれると思っていたのですが、実際には「余計なことをするな」などと予想に反した返答が返ってくることが多々あり、とても驚きました。最初はこちらからの声かけもあまり上手にできないこともあったのですが、そういった対応をされた時、「こんなはずではなかった」と衝撃を受けましたね。
ーー今はそのギャップのおかげで感覚がつかめている感じですか?
そうですね。今では、利用者さまが介護サービスを利用している理由を把握するようにしているので、過去のような失敗は減りました。と言うのも、今まで過ごしてきた環境やされてきた仕事も違うので、利用者さまごとに『常識』が違います。自分が当たり前だと感じていることが相手にとっては『常識』であるとは限らないので、その部分を意識して接していくように心がけていますね。
ーーそれは仕事をしていて大変だと思うところでもありますね?
そうですね。自分の常識の範囲内で良かれと思ってした行動は相手も同じく良いと思っているとは限りません。そこが難しくも、面白いところだと強く感じますね。あとは、利用者さまのお宅に自転車で訪問するので、天候に左右されてしまうのが一番大変かもしれません(笑)。
ーーお仕事中も『自分らしく』生き生きと働かれている本橋さんですが、独自のリフレッシュ方法はありますか?
基本的に「仕事でストレスがある」というようなことはあまりないのですが、僕が楽しみにしている時間は、家族でドライブしながら各地の美味しいものを食べに行くことです。運転も好きですし、美味しいものも家族皆んな好きなので、それがとても息抜きになっています。
自分と相手の常識を切り離し、理解して接することをの重要さを改めて考えさせられました。介護に対する本橋さんの『恩返し』する気持ちが柔軟な姿勢を映し出しているようですね。次回は、そんな真心が詰まった本橋さんの理念に対する気持ちと、後輩へ向けたアドバイスをお聞きします!
取材・文/東 菜々(レ・キャトル)
撮影/喜多 二三雄
Information
株式会社mais
住所:東京都練馬区三原台3-30-15 レジデンス篠 102号室
TEL:03-5935-4092