介護職員がレクリエーションをやりたくない理由とは? 成功させる6つのポイント
さまざまな理由から、介護施設で行われるレクリエーションに対して苦手意識を持つ介護職員も少なくありません。
今回は、レクリエーションを苦手とする理由にあわせて、必要性や成功させるポイントを解説します。
これまでを振り返りながら、なぜ「やりたくない」と思ってしまうのかを突き止め、どのような方法で好きになれるのか、自分なりの改善策を見つけてください。
レクリエーションを苦手に感じる理由とは?
介護職員として働く人のなかには、「レクリエーションだけは好きになれない」といった方も少なくありません。
ここでは、なぜレクリエーションを苦手としてしまうのか、具体的な理由を解説します。苦手意識を持つ方は、自身の性格などを振り返りながら理由を見つけましょう。
1. 注目される・人前に出るのが苦手
レクリエーションは、利用者の前に立って進行したり盛り上げたりするのがメインの業務。そのため、人前に出るのが苦手な人だと極度に緊張してしまうことから、レクリエーションに苦手意識を抱いてしまうことがあります。
2. 上手に盛り上げられない
レクリエーションは、利用者の気持ちを高め、やる気を出してもらいながら動いてもらう必要があります。
しかし、なかにはひとりで過ごすのが好きな方もいることから、満べんなく盛り上げられない自分に自信を失い、苦手意識を持つ方も少なくありません。
3. レクの企画が大変
レクリエーションの企画づくりに大変さを感じる方も苦手意識を持ちやすいです。とくに利用者数が多いと、全員が楽しめる企画は限られてしまうことから、企画を探すことに面倒さを感じ、苦手と感じる方も少なくありません。
4. 準備に時間を取られてしまう
レクリエーションでは、紙やスケッチブック、ホワイトボードにボールなど、さまざまな道具を用意する必要があります。利用者を思い企画するレクリエーションであっても、準備に時間がかかることに大変さを感じ、知らず知らずのうちに苦手意識を持つ方も少なくありません。
レクリエーションはなぜ必要なの?
苦手意識を持つ介護職員も少なくないレクリエーションですが、必要性はどんなところにあるのでしょうか。ここでは、レクリエーションを必要とする理由について解説します。
なお、高齢者レクリエーションの目的や種類については、下記ページで詳しく解説しています。なぜレクリエーションがおすすめなのかをはじめ、方法や楽しんでもらえるポイントを解説しているので、あわせてチェックしてみてください。
高齢者レクリエーションの目的とは? どんな種類がある?|実施のポイント5つを紹介 | MORE REJOB
1. 交流の場を提供する
レクリエーションを行う理由として、第一に利用者への交流の場を提供することが挙げられます。心身の状態によっては、外出が難しい利用者もいます。体が不自由だと、人と交流する機会が減少し、毎日が退屈に感じてしまうでしょう。
そのような方も含めて利用者全体がかかわる機会を設け、コミュニケーションの場として活用できるのがレクリエーションの必要性なのです。
2. 認知症の予防・改善効果が期待できる
レクリエーションには、利用者の認知症の予防・改善の効果が期待できると言われています。とくに頭を使うことも交えた全身運動は、認知症の予防につながることが厚生労働省の認知症予防マニュアルに記載されており、きちんとした目的があって行われていることが分かります。
なお、厚生労働省の認知症予防マニュアルには、レクリエーションに効果的なプログラムが紹介されています。レクリエーションの企画づくりにおけるヒントとして参考にするとよいでしょう。
引用元
独立行政法人 国立長寿医療研究センター「認知症予防マニュアル」|厚生労働省
3. 心身の活性化につながる
コミュニケーションの場として活用されるレクリエーションだからこそ、利用者の心身の活性化につながるといった理由もあります。
体を動かすことで自然にリハビリの効果も得られることから、利用者のリハビリへの苦手意識を減らしながら心身を健やかに保てるのも、レクリエーションの必要性と言えるでしょう。
レクリエーションへの苦手意識を減らすには?
レクリエーションの必要性について理解していても、苦手意識があれば前向きに取り組むのは難しいもの。ここでは、レクリエーションに対する苦手意識を減らす方法を解説します。
どうして苦手意識を持つのかを理解したうえで、自身に合った方法を試してみましょう。
1. 慣れるまで場数を踏む
レクリエーションに対して苦手意識があるなら、まずは場数を踏んで慣れることから始めてみましょう。
場数を踏むことで、自分なりのコツがつかめます。まずは小さくてもよいので、レクリエーションにおける成功体験を積むことから始めてみましょう。
2. 普段から積極的にコミュニケーションを取る
人とコミュニケーションを取るのが苦手といった理由であれば、普段から利用者と積極的にコミュニケーションを取るように心がけ、信頼関係を築いておくと苦手意識が薄れるでしょう。
普段の会話からコミュニケーション能力が養われ、緊張せずにレクリエーションを進められます。
3. 企画や準備を協力して行う
企画作りや準備が大変で苦手意識を抱えているのなら、スタッフで協力し合い、ひとりの負担を減らすとよいでしょう。
ひとりあたりの負担が減ることで、肩の力を抜いてレクリエーションに向き合えます。
レクリエーションを成功させる6つのポイント
ここでは、レクリエーションを成功させるポイントを解説します。最初から成功させようとはせず、まずは場数を踏んで慣れることから始めてみましょう。
1. 進行が上手なスタッフを参考にする
レクリエーションを成功させるには、進行上手なスタッフを参考にするのがポイントです。スタッフによっては、うまく進行できるように、声のトーンや身振り手振りの大きさなどを工夫していることがあります。
進行上手なスタッフが行う流れや工程、技術は見て盗み、自身の進行に活かしましょう。
2. 開始前の誘導を工夫する
レクリエーションの誘導に工夫を加えるのもポイントです。たとえば、お手洗いを済ませてから参加したい方や、疲れやすいことから直前の参加を望む方など、利用者によって特徴が異なるはず。
利用者の個性や特徴に合わせた誘導方法をみつけることで、上手に進行できるでしょう。ただし、レクリエーションに対して消極的な利用者に対して、無理やり参加させないよう注意が必要です。
3. 拍手で盛り上げる
利用者に拍手をうながすのもポイントです。拍手をすると、自然と場が盛り上がり、わくわくした気持ちでレクリエーションに臨めます。
とくに初めて行う企画や、事業所に不慣れな利用者がいる場合は、拍手で迎えることで緊張をほぐし一緒に盛り上がることができます。
レクリエーション中も拍手を心がけると、利用者もスタッフも楽しい気分でレクリエーションに臨めるでしょう。
4. 分かりやすい説明を心がける
レクリエーションを始めるには、利用者へ分かりやすい説明を心がけるのもポイントの一つです。「レクリエーションをやる」と聞いても、ぱっとイメージできない方や、内容によってはやりたがらない方もいます。
レクリエーションの中身を理解し、そのうえで楽しんでもらえるよう、単純明快な企画を準備して分かりやすく説明しましょう。
5. 質問を投げて答えてもらう
質問を投げて答えてもらえる企画にするのもポイントです。たとえば「今日は何曜日ですか?」「私の名前を分かる方はいらっしゃいますか?」など、利用者の答えやすい質問を投げかけると、積極的に答えやすいので、楽しみやすいレクリエーションになるでしょう。
6. 感想を聞く
レクリエーションの最後では利用者に感想を聞くのもポイントです。利用者の個性豊かな感想によって、スタッフ側も達成感を得られるでしょう。
利用者の感想のなかでもうれしいと感じたことがあれば、「うれしい!」「やったー!」など素直な反応を見せるのもおすすめです。そうすることで、楽しい雰囲気を全員で味わえるでしょう。
おすすめのレクリエーション3種を紹介
ここでは、おすすめのレクリエーションを3つ紹介します。利用者の個性や特徴をイメージしながら企画に取り入れ、今後につなげましょう。
1. 手先を使うレクリエーション
手先を使う企画は、レクリエーションのなかでも定番のものです。折り紙や塗り絵など、手と頭を使う企画を取り入れることで、利用者に達成感を味わってもらうことができます。
なお、手先を使ったレクリエーションについては、下記ページで詳しく解説しています。始める前の準備や遊び方、進め方のコツなどについて触れているので、ぜひチェックしてみてください。
つかんで、数えて、脳を活性!手先トレーニングレク【介護レクリエーションvol.45】 | MORE REJOB
2. 体を使うレクリエーション
全身を使ったレクリエーションは、楽しみながら体を動かせることから、リハビリ効果にも期待できます。
ラジオ体操やお手玉、風船バレーなどさまざまな方法があるので、利用者の個性や特徴を考えて企画してみましょう。なお、体に不自由な箇所のある方がいらっしゃる場合は、充分に配慮しながら進めてください。
下記ページでは、投げる動作を使ったレクリエーション方法も公開しています。ぜひこの機会にチェックしてみてください。
「投げる」動作で腕の機能をアップするお楽しみレク【介護レクリエーションvol.48】 | MORE REJOB
3. 頭の体操ができるレクリエーション
認知症予防の効果が期待できる、頭の体操になるレクリエーションもおすすめです。クイズやトランプを使って答えやすく分かりやすいゲームにすることで、「うれしい」「たのしい」「もっとやりたい」といった前向きな気持ちを保てます。
下記ページでは、利用者の思考力を鍛える言葉にまつわる、クイズレクリエーションをまとめています。この機会に目を通し、今後にお役立てください。
思考力を鍛える!言葉にまつわるクイズレク【介護レクリエーションvol.46】 | MORE REJOB
スタッフ全員で協力してレクリエーションを成功させよう!
介護職員がレクリエーションをやりたくない理由には、企画づくりや準備が大変といった理由や、人前に立つこと、注目されることが苦手といった性格上の理由が挙げられます。
しかし、レクリエーションには利用者の心身を保つ目的や、他人と会話する機会のない方にとっての唯一のコミュニケーションの場といった意味もあり、利用者にとっては大切な時間であることも忘れてはなりません。
本記事で紹介した苦手意識を克服する方法や、利用者に楽しんでもらえるレクリエーションなどを参考にし、スタッフ全員で協力しながら前向きに取り組んでいきましょう。