介護職員の仕事内容や働く前に知っておくべきこととは?施設の種類・平均給与・おすすめの資格もご紹介
介護業界に就職・転職を検討している方のなかには、介護職員に興味を持っている方も多いのではないでしょうか。介護職員は、働く場所やスタイルによって仕事内容がバラバラです。そのため、介護職員の求人を探す際に困惑してしまうかもしれません。
そこで、今回の記事では、介護職員について理解を深めるために、仕事内容や働く前に知っておくべきことをご紹介します。さらに、介護職員の勤務先・平均給与・おすすめの資格もご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
- 介護職員とは?仕事内容をご紹介
- 介護職員になるためには?未経験・無資格でも応募は可能
- 介護職に就く前に覚えておきたい用語について
- 介護職員のおもな勤務先とは|サービスや勤務先別に仕事内容を紹介
- 訪問介護|利用者さんの自宅で介護
- 通所介護(デイサービス)|日帰りで事業所に通う
- 通所リハビリテーション(デイケア)|日帰りでリハビリに通う
- 介護付有料老人ホーム|介護サービスアリの高齢者向けの居住施設
- グループホーム|認知症と診断された利用者さん向け
- 特別養護老人ホーム|要介護度3以上の方が対象
- 介護老人保健施設|要介護度1~5までの方が対象
- ショートステイ|短期間入所
- 小規模多機能型居宅介護|デイサービスに必要な介護をプラス
- 介護職員のお給料はどれくらいなの?
- 介護職の魅力と大変なこととは?
- 介護職でキャリアアップするために資格を取得しよう!
- これからでも目指すべき? 気になる介護職員の将来性を解説
- 介護職員になる際は施設の特徴を比較した上で決めよう!
介護職員とは?仕事内容をご紹介
介護職員は、主に高齢者や身体・精神など、なんらかの障害を持つ方に対して、身体介護や生活援助を行う職業です。別名で福祉施設介護員と呼ばれることもあります。
介護職員の主な仕事である身体介護と生活介助は、どういったことをするのでしょうか。それぞれの仕事内容をご紹介します。
身体介護|入浴や排泄の介助
介護職員がおこなう仕事内容のひとつが身体介護です。介護を必要とする人のなかには日常生活における基本的な活動を自力でおこなうことが困難な方も多く、介護職員の仕事ではそのサポートを担います。
具体的には入浴や排泄、移乗の介助などが該当し、利用者の生活スタイルに合わせた支援を臨機応変におこなうことが重要です。
生活援助|家事や買い物代行など
介護を必要としている人のなかには、生活における一部の活動のみを自力でおこなうことが困難な方も少なくありません。介護職員の仕事では、そのような方を対象に生活援助もおこないます。
具体的には家事や買い物の代行が該当し、こちらに関しても利用者の生活スタイルや能力などに応じて臨機応変に対応しなければなりません。
介護職員になるためには?未経験・無資格でも応募は可能
介護職員になるためには、なにか特別な資格が必要なのではないかと不安に感じる方もいるのはないでしょうか。介護職員に必須の資格はなく、未経験・無資格でも求人に応募することができます。
ただし、未経験・無資格で始めることはできますが、知識や技術を身に付けなくていいというわけではありません。高齢者や障がい者にきちんと介護サービスを提供するために、基礎知識や技術を修得しておくべきでしょう。
介護職員として必要な基本的な知識や技術を身につけるために、おすすめの資格をご紹介します。
介護職員初任者研修を取得しておくことがおすすめ
介護職員初任者研修は、介護未経験者でも講義と演習を通じて、介護業務の基礎知識や技術を習得することができます。
求人のなかには、未経験・無資格で応募できるものもありますが、介護職員初任者研修の取得が必要な求人もあります。そのため、介護職員初任者研修を修了しておくことで、応募できる求人の数が増えます。より多くの選択肢を持つために、介護職員初任者研修は受けておくといいでしょう。
介護職に就く前に覚えておきたい用語について
介護サービスの利用者がどの程度の介護を必要としているかは、人それぞれで違います。国では、「要支援」「要介護」「障害支援区分」といったように、状態が区分されています。それぞれの区分がどういったものか、理解しておきましょう。
要支援|日常生活上の動作をほぼ行えるが支援を必要としている状態
要支援は、自力で日常生活ができる能力はあるけれど、なにかしらの支援を必要としている状態のことをいいます。区分は2つです。
たとえば、歩く・起き上がるなどの基本動作はできるが、薬の服役などの手段的日常生活動作は支援が必要、ということが挙げられます。
要介護|日常生活上の動作が困難で介護を必要としている状態
要介護は、日常生活上の動作が困難で介護を必要としている状態のことをいいます。たとえば、服を脱いだり着ることができない、立ち上がる時に手助けが必要といったことが挙げられます。要介護は1から5まで区分されています。
要支援に比べて、要介護は介護が必要な状態であることがわかります。要介護の認定は、高齢者の心身の状況調査及び主治医意見書に基づくコンピュータ判定の結果と、福祉や保健の専門家で構成される介護認定審査会によって審査と判定が行われます。
障害支援区分 | 障害のある方で支援を必要とする度合いを示すもの
障害支援区分は、障害のある方で支援を必要とする度合いを示したものです。区分は1から6段階にわかれており、6に近づくにつれて支援の度合いが高くなります。
障害支援区分は、一次判定と二次判定を経て決定されます。障がい者の介護や援助サービスを提供する障害者支援施設では、支援対象を障害者区分4以上、もしくは50歳以上で区分3以上の方、通所が困難な方のように対象を制限している場合があるため、参考までに覚えておくといいでしょう。
介護職員のおもな勤務先とは|サービスや勤務先別に仕事内容を紹介
介護職として働く人の勤務先は介護施設が非常に多いですが、現在では多種多様な介護施設があり、就職・転職活動をする際には勤務先の特徴をよく確認することも重要です。
つづいては、介護職のおもな勤務先と職場別の仕事内容を見ていきましょう。
訪問介護|利用者さんの自宅で介護
訪問介護では利用者さんの自宅を訪問し、入浴・排泄などの身体介護や買い物・家事の代行などをおこないます。
また、病院へ行く際の送り迎え、その際の受診手続きなどをするケースもあり、総合的な介護サービスを提供するためのスキルが不可欠です。
訪問介護は、個人ケアとして利用者の自宅を訪れて1対1で関わるため、相手の生活を感じる場面が多くあります。介護施設と異なる働き方をしたいという方にはおすすめかもしれません。
通所介護(デイサービス)|日帰りで事業所に通う
デイサービスとも呼ばれる通所介護とは、普段は自宅で生活している利用者さんが定期的に施設へ通うことで身体機能の回復や家族にかかる負担の軽減を図るための介護サービスです。
ここでは利用者さんの送迎や身体介護、レクリエーションの実施などが介護職のおもな仕事となります。
通所介護は基本的に、夜勤がありません。介護施設のなかには、日勤と夜勤のシフト制で入らなければいけない場合があります。しかし、通所介護であれば日勤のみのため、夜勤を避けたいという方にはおすすめです。
デイサービスとは? 仕事内容を解説|デイサービスで働くには資格が必要なの?
通所リハビリテーション(デイケア)|日帰りでリハビリに通う
デイケアでも利用者さんは定期的に通うことが前提となりますが、こちらは日帰りでリハビリを受けることがおもな目的となります。
ここでは利用者さんの送迎などが介護職の仕事となり、別の資格を持っていればリハビリのサポートに携わることも可能です。
通所リハビリテーションには、医師・理学療法士や作業療法士・看護師などの医療系の専門職の方が働いています。そのため、通所リハビリテーションに勤務することで、医療職との連携を経験できるでしょう。介護以外にリハビリなどの知識を学びたい、という方におすすめでしょう。
介護付有料老人ホーム|介護サービスアリの高齢者向けの居住施設
介護付有料老人ホームとは、介護を必要とする高齢者を対象とした老人ホームのことです。
施設内では各々の利用者さんが必要とする介護サービスが提供されており、具体的には入浴や排泄などの身体介護が介護職のおもな仕事となります。
多くの有料老人ホームは民間事業者に運営されているため、福利厚生や待遇面が恵まれているケースが多いでしょう。
また、事業所によっては資格取得などの手当を支給しているため、資格を得ることで給料アップに繋がります。
グループホーム|認知症と診断された利用者さん向け
グループホームとは、軽度な認知症と診断された利用者さんが入居している介護施設です。
ここでも介護職は利用者さんの身体介護をおもな仕事としますが、認知症と診断された利用者さんは自力でできないことが多く、食事や着替えなどのサポートもおこなうこととなります。
グループホームの定員は、ユニットという単位で定められており、1ユニット5~9人、上限が原則2ユニットのため、最大で18人しか入ることができません。介護施設のなかでは、比較的人数が少ないため、職員にかかる負担はそれほど大きいものではありません。グループホームは、介護業にまだ慣れていない方でも働きやすい環境です。
特別養護老人ホーム|要介護度3以上の方が対象
特別養護老人ホームとは、要介護度3以上の方を対象とする介護施設です。
利用者さんは寝たきりの方や重い認知症を患っている方が多いことから、日常生活でおこなうあらゆる活動を対象とした身体介護が介護職のおもな仕事となります。
特別養護老人ホームは、24時間365日稼働しています。そのため、基本的に土日祝日を休みにしたいという方には向いていないでしょう。一方で、土日祝日であっても働けるという方は、特別養護老人ホームの勤務が向いています。
介護老人保健施設|要介護度1~5までの方が対象
介護老人保護施設とは、要介護度が1~5であることを入居条件とする介護施設です。
この施設では医師や理学療法士などが利用者さんのケアにあたり、介護職はそのサポートとして利用者さんの身体介護をおこないます。
介護老人保健施設は、通所リハビリテーションと同様にさまざま職種の方が働いています。また、介護老人保健施設では要介護1~5までの方を対象としているため、より幅広いな知識を得ることができるでしょう。スキルアップを目指す方にはおすすめです。
ショートステイ|短期間入所
ショートステイとは、最長30日間の短期滞在を前提とした介護施設です。
この施設は普段介護をおこなっている利用者さんの家族が、仕事などで一時的に介護をおこなえなくなる際などに利用されるケースが多く、ここでも身体介護やレクリエーションの実施などが介護職のおもな仕事となります。
ショートステイは、利用者の滞在期間が短いため、その期間内に適切なケア方法を理解しなければいけません。そのため、コミュニケーションスキルや臨機応変に対応する力を求められます。
小規模多機能型居宅介護|デイサービスに必要な介護をプラス
小規模多機能型居宅介護とは訪問介護と施設での介護を組み合わせ、利用者さんが可能な限り自宅にて自力で生活できるようサポートをする介護手法です。
このサービスはデイサービスに利用者さんが必要とする介護をプラスしたような構成となり、介護職は利用者さんの希望に合わせた身体介護などをおこないます。
小規模多機能型居宅介護は、通所・訪問・宿泊とそれぞれに応じたサービスを提供するため、幅広い介護スキルを身につけることができます。また、利用者のニーズ合わせたサービスを提供するための判断力を磨くこともできるでしょう。さまざまな組み合わせサービスを提供したいという方は、小規模多機能型居宅介護がおすすめでしょう。
介護職員のお給料はどれくらいなの?
介護職員のお給料を資格別と施設別に紹介|令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果
2021年度におこなわれた介護従事者処遇状況等調査では、介護職員の平均給与は31万6,610円であることがわかっています。また、資格別の給与に関しては以下のような結果が示されました。
また、資格を持たない介護職に限定した平均給与は27万1,260円となっており、資格の有無が給与に大きな影響をおよぼすことがわかります。次に施設別の給与は、以下のような結果になっています。
資格別と施設別の平均給与は、常勤者・処遇改善加算(Ⅰ)~(Ⅴ)を取得している事業のデータを用いています。5つの施設のなかで最も平均給与が高いのは、介護老人保健施設で、33万8,390円です。
これらのデータはあくまで、平均給与で事業所の処遇改善加算の取得有無や手当の種類で給与は異なるため、覚えておきましょう。
介護職員の給与は上がった?|介護職員処遇改善加算とは
介護職の給与額を大きく左右するのが、「介護職員処遇改善加算」と「介護職員処遇改善支援補助金」です。
これらの利用の有無によっては、業務内容が同じ事業所でも給与の差が大きく開くことがあります。ここでは、上記それぞれの制度について確認しておきましょう。
介護職員処遇改善加算とは
介護職員処遇改善加算とは介護施設などで働くスタッフの処遇を改善する取り組みをおこなうことで、施設に対して加算される制度です。
通常、この加算はスタッフの給与額に反映されることから、結果的に個々のスタッフの処遇をさらに改善することとなり、介護職に従事する人にとっては働きやすい環境・待遇の整備が進む点でメリットがあります。
介護職員処遇改善加算の算定要件とは? 5つの加算区分を詳しく解説 2019年10月からはどうなる?
介護職員処遇改善支援補助金とは
介護職員処遇改善支援補助金も、基本的な仕組みは前述した制度と同様です。スタッフの給与を増加させることを目的とした補助金を、一定の条件を満たした事業所へ支給することとなっています。
ただし、こちらの制度は処遇改善の対象となるスタッフが介護職に限定されておらず、介護職以外のスタッフの処遇を改善することでも取得条件を満たすことが可能です。
介護職員処遇改善支援補助金とは? 目的と取得要件について解説
介護職の魅力と大変なこととは?
介護職にはこの仕事ならではのやりがいもあれば、この仕事だからこそ生じる困難もあり、実際に働くうえではそれらの両方を知っておくことも大切です。
ここでは、職業としての介護職の魅力と大変なことについて解説していきます。
介護職の魅力とは|感謝してもらえる・社会に貢献できる
介護職では、利用者さんから感謝してもらえることが大きな魅力のひとつとして挙げられるでしょう。
また、今日では介護を必要とする人や家族だけでの介護が困難となっている人も少なくないため、社会に貢献できる点もこの仕事の魅力です。
介護職の大変なこととは|体力的につらい・失敗できないストレス
介護職には、体力的につらいと感じる人が少なくないという特徴もあります。また、仕事上失敗できないことがストレスに感じることもあるでしょう。
そのほか、シビアな仕事のわりに給与が少なめというイメージも定着しつつありますが、昨今では上述したような補助金制度の開始などにより、業界全体での改善が進んでいます。
働き方を変えることで解消できることも|シフトや勤務する事業所の変更
介護職でつらいと感じることが多くなったら、働き方を変えることで問題を解消できることがあります。
たとえば、勤務時間帯や勤務先を変更すれば気分も刷新でき、前向きな気持ちで日々の業務に従事できるようになることから、自分に合った働き方を選ぶことが大切です。
介護職でキャリアアップするために資格を取得しよう!
介護職に就くうえで必要な資格は存在せず、無資格でも就職することは可能です。しかし、より多くの収入を得たり、勤務先の選択肢を増やしたりするためには、なんらかの資格を取得しておいたほうが有利となります。
介護職員にはどのような資格がある?おすすめやスキルアップの資格・取得メリットをご紹介
介護福祉士実務者研修(旧ホームヘルパー1級
この試験は、ホームヘルパー1級と介護職員基礎研修を合体したものです。介護を提供する能力を習得することを目的として実施されています。
この資格を取得するためには、決められた450時間のカリキュラムを修了しなければなりません。また、介護福祉士を目指すうえでは必須の資格ともなっています。
介護福祉士|介護系の国家資格
介護福祉士は、介護系の唯一の国家資格です。介護職のなかでも、キャリアアップに関わる資格のため、難易度はやや高めに設定されています。
資格を取得する方法は、以下のとおりです。
・介護福祉士養成施設で必要な知識や技能を修得し、資格を取得する
・福祉系の高校にて指定された教科目・単位数を修了し、国家試験に合格する
・介護の業務に関する実務経験(3年以上)を経たのち、国家試験に合格して資格を取得する
ケアマネジャー(介護支援専門員)
ケアマネジャーとは、介護を必要とする人やその家族の要望に見合った施設などを紹介する職種です。
また、ケアプランの作成などの業務も発生することから、幅広い介護知識が必要となり、その過程では介護の現場で働いた経験も活かせます。
これからでも目指すべき? 気になる介護職員の将来性を解説
介護業界は人手不足だといわれていることもあり、その需要は高いといわれています。つづいては、介護職の将来性について見ていきましょう。
75歳以上の人口割合は増加していく
今後も75歳以上の人口は増加していくことが推測されますが、75歳以上の人口が増加していくということは、自ずと高齢者が増え、介護を必要とする人が増加するということでもあります
少子高齢化社会が進み、高齢になった親の介護を担う子どもは減少傾向です。それによって介護サービスに頼る家庭が増えることが推測されます。このことから、介護の仕事が減少するということは考えにくいでしょう。
介護業界は人材不足|厚生労働省「第8期介護保険事業計画に基づく介護人材の必要性について」
厚生労働省は、介護に必要となる人数を2023年には約233万人、2025年には約243万人、2040年には280万人と「第8期介護保険事業計画に基づく介護人材の必要数について」で公表しています。つまり、2023年までに現在の人口に対して、約22万人が必要ということです。
今後高齢者の増加にともない、介護の需要は高まっていくことが推測されていますが、実際の介護業界は慢性的な人手不足という現状となっています。
現在の需要はどれくらい? 求人情報でリアルな需要をチェック
2023年2月時点の東京都を対象にした介護職の求人情報をチェックしてみると、リジョブケアでは、東京都だけでも530件以上の求人がヒットしました。
また、ひとつの施設だけでなく、系列の介護施設と一緒に募集していることが多くなっているようです。そのため、介護職がいかに需要の高い仕事であるということがわかるでしょう。
介護職員になる際は施設の特徴を比較した上で決めよう!
今回の記事では、介護職員の仕事内容や働く前に知っておくべきこと、介護職員の勤務先・平均給与・おすすめの資格をご紹介しました。介護職員は、日常生活で支援が必要な高齢者や障がい者に対して、サポートを行うことが主な仕事です。
介護職員の勤務先はさまざまな施設から選ぶことができます。しかし、施設によって勤務形態や仕事内容が異なります。求人を探す際は、仕事内容や資格の有無、手当の種類を基にさまざまな求人と比較しながら決めるようにしましょう。
引用
厚生労働省|介護職員・介護支援専門員
厚生労働省:要介護認定の仕組みと手順
厚生労働省:障害者支援区分への見直し
厚生労働省:令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果