お客様に健康になってほしい! その一心で生まれた新・養生スタイル 庭の癒し処 澁谷有美さん #2

北鎌倉の緑あふれる古民家で、新スタイルのトリートメントを施す澁谷有美さん。前編では、その豊かな自然がもたらす施術へのメリットを伺いました。この後編では、澁谷さんがアロマセラピー、整体、ヨガ、薬膳を組み合わせた幅広い施術を行う理由と、養生師と名乗られる所以を伺います。目指すのは、お客様を「癒す」だけのセラピストではなく、「健康にする」養生師!

ひとりひとりのお客様ともっと向き合いたい

庭の癒し処 主宰 澁谷有美さん
セラピストインストラクター、
日本統合医学協会メディカルアロマセラピスト実技講師、
全米ヨガアライアンスRYT200、大手スパサロンに6年間勤務。
トップセラピストとして多くの顧客を担当する。
その後独立し、北鎌倉「庭の癒し処」主宰。
養生師として、ひとりひとりの体に寄り添う施術を行う

――アロマセラピーとの出会いを教えてください。

子どもの頃から人間の体の仕組にとても興味があって、医師になりたいと思っていました。でも周囲の同意を得られず、OLとして働き始めたのですが、社会人2年目で体調を崩してしまいます。たくさん薬を飲むことが気になって、ほかの方法を探していたときに、代替療法に興味を持つようになりました。

そこで最初に出会ったのがアロマセラピーです。通学できる体調ではなかったので、当時としてはめずらしいニールズヤードの通信教育で学びました。現在では、動画配信やオンライン授業が当たり前になっていますが、当時は教材と基材が自宅に送られてきて、本を読みながらひとり実習をするスタイルです。精油の成分や体への作用を学び、バスソルトやローションなどを作って実際に使ってみました。

――体調は快方に向かわれたのですか?

20代後半には体調もすっかり良くなり、事務の仕事をしながらトリートメントに通う日々でした。30才を目前にしたときに「本当にやりたいことをやろう。自分の適性を見極めるためにも、この一年間はいままでやれなかったことを経験する年にしよう」と決めました。WEBデザインの勉強やひとり旅、動物保護にも興味があったので屋久島でウミガメのボランティアも経験。そんな中で、人と近い距離感でできる仕事がしたい、自分も「人を癒す側にまわりたい」と思い、セラピストに挑戦することになりました。

――セラピストとしての第一歩が始まるのですね。

とりあえず1年間やってみて自分に合うか合わないかを見定めようと、東洋医学をコアにした大手スパサロンに勤務しました。ここで足ツボ、ボディ、整体、フェイシャルなど幅広く経験することができました。以前から興味があったことなので、体について学ぶことも苦にならず、技術力は全国トップレベルまで到達。

その頃、「このお客様にはもっとここを重点的にケアしたらいいのに、もっと別のアプローチのほうがより良い状態に導けるのに」という思いが芽生えてきたんです。施術内容が固定されたコースを提供するのではなく、それぞれのお客様ともっと深く向き合いたいという気持ちが強くなり、大好きなサロンでしたが、次のステージに進もうと独立を決めました。

庭の癒し処は「総合科」だと思っています

――独立後、どのような形で活動を始めたのですか?

横浜のレンタルスペースを借りることにしました。そこで、前職で身につけた施術をお客様に提供する傍ら、新たな学びも進めました。お客様を「癒す」だけではなく「健康にする」ために。それにはトリートメントだけでなく、生活習慣やメンタルケア、運動療法も大事です。まずは、食事療法を習得するために、薬膳の基礎を学びました。前職で股関節をケガしていたので、回復したタイミングで解剖学に強いヨガスクールを探し、そこでヨガも学びました。

「養生ヨガ」クラスは、60分ヨガ、
ヘッドマッサージ、ミニ薬膳おやつ付

――常に何かを学ばれていますね。

決して器用なほうではなくて、全部を学ばないと理解できないタイプなんです。この10年、生活のほぼすべてをセラピストの仕事に捧げてきました。セラピストと並行して他の分野も多角的に学びを深めることで、総合的に知識を吸収できたと思います。さらに学びを深めたくて、いまは心理学と中医師資格取得のために勉強しているところです。

――学びの上に構築された施術はどんな内容なのですか?

アロマセラピー、東洋医学や解剖学に基づいたボディトリートメント、ヨガ、薬膳を組み合わせた新しいスタイルの養生です。まずはカウンセリングでお客さまの現在の体調とご要望をお伺いした後、ヨガの呼吸法で呼吸を整えます。実際に体に触れてみて、筋肉の反応をみながらオイルトリートメントや整体などその日の体調に合わせた最適なトリートメントを行います。セラピーの後は、手作りの薬膳おやつをお楽しみいただきます。

澁谷さん手作りの薬膳おやつ。
季節にあわせたセルフケア法も発信

――一般的には、経験を積むほど施術の幅を狭めていくセラピストが多いと聞きます。

経験を積めば積むほど「強み」は色濃くなっていきますよね。マネジメントを考えたときにも専門性を出したほうがよいと思います。わたしも前職では、頭蓋骨調整やオイルトリートメントがお客様の反応はよかったんですね。でも、「自立した健康」がテーマだったので、個々に最適な施術を追求するうちにどんどん視野が広がり、通常とは真逆の施術スタイルに行きつきました。設定ゴールは「健康」です。

――お伺いしていて思ったのですが、「かかりつけ医」に近い感覚ですか?

わたしは、自分のことを「総合科」だと思っているんです。お客様の性質とその日の状況をみて「今日は前回の状況とは違うから、オイルトリートメントより整体を。食べることがお好きなら食事療法、体を動かすのが好きな方にはヨガ」など個性にあわせて習慣にしやすい方法をご提案させていただいています。お客様が楽しめることを大事にしているので、お客様の好きなこともたくさん教えていただいていますね。

毎回毎回、お客様の体に触れるたびにお体と心の変化を感じ、それが自分の中にデータとしてどんどん蓄積されていきます。ふわふわっと「癒す」だけの施術とは、そこが違うのかもしれませんね。

「食養生とヨガ、アロマセラピーなど
ご自身の体づくりについて学ぶ
養生講座をオンラインでも開催予定です」

女性の笑顔は世界を救う

――養生師と名乗られる理由を教えてください。

「お客様ひとりひとりに自立した健康を手に入れてほしい」という思いからです。健康って病気がない状態ではなくて、心身ともに満たされた状態のことなんですよね。

ここ数年、「セラピスト」という言葉に違和感を感じ始めていました。「セラピスト」は、サロンに来てくれたお客様を「癒す」人。癒すだけではなく、お客様がご自分の体をご自分でコントロールできるようになってほしい。そうするとわたしの仕事は必要なくなってしまいますが、それでもお客様が毎日を笑顔で生きられるならそれでいいじゃない? どんどん健康になってわたしから卒業してもらっていいと思っているんです。最近では、「一緒に健康になろうね」という提案をビシバシ(笑)できるような活動に変わってきています。

体質チェック、季節ごとの食事やストレッチなど
セルフケアについて学ぶ「季節の養生ランチ会」。
小田原講座は、旬の野菜をふんだんにとり入れた
「クッチーナベジターレCuore Ricco」にて

――サロンは女性限定ですか?

養生ランチ会などは、奥様と一緒に男性の方もいらっしゃいますが、より気持ちが分かる、悩みに寄り添えるという意味で、サロンでの施術は女性限定にしています。

「女性の笑顔は世界を救う」とわたしは本気で思っているんです。お母さんが幸せだと子どもの心が安定し、旦那さんは家庭で安らぎを得て、翌日仕事をがんばれる。そして、経済が発展する。職場でも女性がキラキラしていたら、男性社員もがんばりますよね。女性の笑顔は、世界平和を築きます。

澁谷さんが幅広い施術を行う理由は

1. お客様を癒すだけでなく健康になってほしいから

2. ひとりひとりに対応するために固定概念から抜け出す

3. 最終ゴールは世界平和!

養生師という肩書で独自のトリートメントを施す澁谷さん。早朝から薬膳おやつを手作りし、施術の合間に「たからの庭」のお掃除を手伝う。さらに夜遅くまで学びを深めるための勉強。想像をはるかに超えるハードなスケジュールは、「お客様に自立した健康を手に入れてほしい」、その一心からくる活動なのです。

▽前編はこちら▽
北鎌倉の緑に包まれ、鳥のさえずりを聞く。癒し尽くしのサロン環境 庭の癒し処 澁谷有美さん #1>>

撮影/toko
取材・文/永瀬紀子

Salon Data

庭の癒し処

住所:神奈川県鎌倉市山ノ内1418
Instagram:@ymsby_niwanoiyashidocoro
Facebook:庭の癒し処

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