日々の発信を続けることで 、感性と発信力を磨く! 美容師・住吉望さん流、強いコンテンツの作り方
業界初のカット専門オンラインサロン「住吉カット塾」の会員数が1000人を超え、話題を集めている住吉望さん。前編では、なぜ住吉さんの塾が人気になったのか、その秘密に迫りました。その大きな理由は、だれでも簡単に切れるカット理論を確立し、ブランクのあるママさん美容師や、カットが苦手な美容師の心をつかんだことでした。
後編では住吉さんの強みであるわかりやすいカット理論を日々どうアップデートし、強いコンテンツを作っているのかをお聞きします。その秘密は、まもなく2万人になるインスタのフォロワーに向けて、日々アウトプットをすること。自分よりベテランの美容師にもフォローされているそうで、緊張感をもって投稿できるため、デザインに対する感性や発信のわかりやすさが磨かれているそうです。
今回お話を伺ったのは…
住吉望さん
某大手美容室を経て、現在は名古屋市栄にある「invitation」所属のスタイリスト。業界初のカット専門オンラインサロン「住吉カット塾」を主宰し、そのわかりやすいカット理論で話題をよぶ。現在、会員数は1000人を超える。また、インスタグラムでカットの写真を無料で添削する「赤ペン先生」も好評で、フォロワー数は1.8万人。
Instagram:@sumiyoshi_nozomu
緊張感をもって日々アウトプットし、発信力を磨く
————オンラインサロンの動画やインスタの投稿などは、変えていったりしていますか?
それはもう日々、反応を見ながらアップデートしています。オンラインサロンに投稿する動画も、長い動画をちょっとずつ切り取って投稿していたり、2倍速、3倍速にしたり。倍速にしてしまうと音声は聞こえなくなってしまうので、テロップをつけて投稿していたこともありました。そのうちに行き着いたのが、カメラマンさんに撮影をしてもらい編集をしてもらうことです。要点がまとまっているので、会員の方も見やすいようで好評です。
インスタの投稿を通して、わかりやすい言葉のチョイスを考えていますね。インスタは反応がダイレクトにわかるので、たとえば何か投稿したときに、「いいね」が少なかったり、再生回数が伸びないときは「ああ、これはこの言葉が悪かったのかな」とか「次はこういう言い方にしてみよう」と、考えるきっかけになっています。
————住吉さんのカット理論も、日々アップデートされているんでしょうか?
そうですね。インスタでカット写真に添削をする「赤ペン先生」をやり始めたころは、送られてきた写真を見て、何かが違うけど、それがうまく説明できないっていうことがあったんです。でも多くの目に触れるインスタで添削を続けてきたことで、ほとんどそういうことはなくなりました。自分のフォロワーは今2万人弱いて、そのほとんどが美容師です。そのなかには自分よりベテランの方や、うまい方ももちろんいます。インスタに投稿をしたら、そういう方が何千人と見るわけですから、間違ったことは言えません。そんなプレッシャーのなかで毎日添削していくことで、デザインを見る目、デザインを作るときの考え方が研ぎ澄まされていったと思います。
きちんと数えてはいないですけど、今まで2000件くらいは「赤ペン先生」をやってきて、デザインを見て、だれに対してもわかりやすい言葉で解説するということを日本で一番やってきた自負はありますね。
ほかのオンラインサロンとのコラボで、認知度をさらにアップ!
————オンラインサロンには開設から1年半ほど、ずっと週に3回動画をアップされていると聞きましたが、ネタ切れすることはありませんか?
会員の方が日々、添削するための写真を送ってくれますし、ほかの美容師の方のインスタ写真を題材にすることもできますし、どんなことでもネタにはできるので、ネタ切れするということはないですね。ただ同じようなことを繰り返していると、見ている方も僕も飽きてしまうので、新しいことをどんどんやっていくようにはしています。
最近はほかの人とのコラボに力を入れていますね。ほかにもオンラインサロンをやっている知り合いがたくさんいるので声をかけて、たとえばまったく同じヘアスタイルを2人で切るんです。切り方はそれぞれなので、全然違う切り方をするんですけど、出来上がりはまったく一緒になります。会員の方は、正解はひとつじゃないし、いろんな切り方があっていいってことを、実際に見てわかってもらえると思うんです。いろんな切り方を見られるのも参考になりますよね。
他にも最近好評だったのが、美容師の方でインスタマーケティングを専門でやられている方とコラボをして、どうやったらインスタがバズるかの解説をしてもらう動画です。今後も多くの方とコラボしていく予定があります。
————そういった美容師の方との横のつながりは、どうやって作っているんですか?
僕は元々、大手美容室にいたこともあって、外の美容師とのつながりがほとんどなかったんですが、独立後はインスタによって、だんだんとつながりができてきましたね。僕のインスタを見て、今度ご飯行きませんか? とか、お店に行くので今度カットしてもらえませんか? というようなDMをもらったりして、知り合いが少しずつ増えてきたんです。
僕はカットが専門なんで、カラーのことで質問をもらったときに答えられず、カラーのことを発信している方のアカウントを紹介したところから、その方とつながったこともありました。そうやっていろいろなつながりができてきたところで、コロナ禍になり、美容師のzoom飲みに参加する機会が増えたんです。zoom飲みをきっかけに、「ヤベンジャーズ」という集団も結成することにもなりました。
————ヤベンジャーズとは、どんな集団なんでしょうか?
美容のそれぞれの技術に特化し、オンラインサロンやSNSなどで技術のノウハウを発信している7名で作った集団になります。コロナ禍でみんなが下を向いていた時に、学びを止めないために完全無料オンラインセミナーを自分たちで配信したのが、最初の活動でした。みんな技術力もとても高いですし、新しいことに挑戦している人ばかりなので刺激をもらっていますね。さらにヤベンジャーズのインスタアカウントのフォロワーが1万人いますし、それぞれが認知度も高く、オンラインサロンの会員数が業界トップクラスのメンバーもいるので、お互いの認知度アップにもつながっているかなと思います。
夢は 美容業界に「教育」という第3の道を作ること
————今後の目標を教えてください。
美容業界の教育の質をもっとよくしていきたいし、美容師に「教育」という第3の道を作れたらと思っています。これまで年齢を重ねた美容師の道は、美容師として売上をあげるか、独立して経営に回るかしかありませんでしたが、教育だけでも生計を立てていける道があれば、美容業界に残って活躍できる人も増えると思うんです。でも道を作るのは、簡単にできることではないな、と。僕自身もっと教える技術をあげなきゃいけないし、認知度もあげていかないといけない。ヤベンジャーズメンバーや、ほかの美容師の方とも連携していきたいと思っています。
————住吉さん自身は、最終的には美容師の仕事はやめて、教育のほうに全力を注ぎたい気持ちはありますか?
今のところ、美容師の仕事を辞める気はないですね。僕がサロンワークでうまいと思ってもらえたり、かわいいスタイルを作れたりしなければ説得力がないですし、現役美容師というところにはこだわりたいです。ただお客さまをきれいにできる美容師はほかにもたくさんいるけど、美容師としての自信を失っている方にわかりやすいカットを伝えていくことが今の自分に一番求められていると感じているので、教育に携わる時間をもう少し増やして、楽しく美容師を続けられる人を増やしていきたいですね。
強いコンテンツの作り方
会員数1000人、フォロワー数1.8万人の住吉さんが実践してきた、強いコンテンツの作り方は以下の通りでした。
1. 反応を見ながら発信内容をアップデートする
2. 人目に触れる場所でアウトプットを続け、カット理論を磨く
3. ほかの美容師とコラボし、発信の幅を広げる
自分の進みたい「教育」というジャンルに、自ら道を切り開き進んできた住吉さん。数多くの添削依頼が寄せられても全く苦にならないそうで、楽しみながら教えてくれるその姿勢に多くの会員が集まっているのかもしれません。オンラインサロンを開設してみたい、美容師に向けた発信をしてみたいという方は参考にしてみてはいかがでしょうか。