育成で大切なのはスタッフの資質を見極めながら、集客できる力を一緒につけてあげること 「REDEAL」中村雄樹さん

中村雄樹さんが大宮に開いたデザインカラー特化型サロン、「REDEAL」はオープンからまだ1年半ですが、破竹の勢いで人気店へと成長しています。

お話を聞く前は失礼ながら中村さんの集客力なのだろうと考えていたのですが、ふたを開けてみると主に売上を作っているのは店長の金子さんで、それを支えているのはアシスタントのヘルプ。さらに先日はスタイリストデビューから4カ月のAKARIさんが145万円の売上を達成したりと、スタッフの総合力で結果を出しているとのことでした。

金子さんの売上やスタッフの総合力については後編で詳しく伺うとして、前編では中村さんによるスタッフ育成方法のコツを中心に伺いました。かなり細かくペルソナ設定をするSNS発信のアドバイスや、個人の資質を否定的に見ないことを心掛けるなど、さまざまな策を講じた甲斐もあり、スタッフが順調に育っているといいます。

今回お話を伺ったのは…

中村雄樹さん

美容師・「REDEAL」代表
埼玉県出身。埼玉県理容美容専門学校卒業後、都内1店舗を経て、2020年1月、25歳の若さで埼玉県・大宮にデザインカラー特化型サロン「REDEAL(レディアル)」をオープン。高いデザインカラー技術をもち、セミナー講師も数多く務める。
Instagram:hanpen_redeal_0815

スタイリストデビュー4カ月で145万円達成!細かなペルソナ設定で、悩みを解決できる方法を発信

穏やかな表情で、「REDEAL」について話してくれた中村さん。しかし言葉の端々には確固たる信念が感じられる

──スタイリストデビュー4カ月で、スタッフのAKARIさんが145万円の売上を達成したそうですが、その秘密は?

まず「REDEAL」の特徴についてお話すると、うちのサロンはカラーデザイン特化型のサロンで、これまで都内の人気美容室で一部の美容師しかできなかったバレイヤージュという技術を、スタッフ全員ができるというパッケージにしたことで、認知されています。

そのなかでAKARIはペルソナを「ママ層」に設定。ママの悩みとバレイヤージュ技術を結び付けることで集客ができるようになりました。バレイヤージュは、根元にはカラー材を塗らず、一部にブリーチやカラーを行うデザインカラー技術で、全体的にブリーチをするよりメンテナンスが少なくてすむのが特徴です。一度ブリーチをすれば、2回目は4~6カ月後。その間は1.5~2カ月に1回カラーをするだけで、自然になじんでいきます。これが子育てに忙しい中でももおしゃれをしたいママたちにささり、SNSから集客ができるようになりました。

大切なのは闇雲に発信をすることではなくて、どういうお客さまを呼びたいか、さらにそのお客さまが持つ悩みをどう美容師が解決できるかを結び付けて発信をしていくことだと考えています。

──やはり発信が大切なのですね。

はい。僕は「衣食住発信」とスタッフに伝えているくらいです。1日1投稿は当たり前、必ずやることとして習慣化してもらっています。インスタに参入する人が増えてきて、今後はコラム的なもの、まとめ的な投稿でしかフォロワーを増やせないと思うので、画像に文字入れをするような編集技術も必要です。これがなかなか難しいので、習慣化して身につけてもらうようにしています。ちなみにうちのサロンでは新卒の子にも、入社が決まった瞬間から、画像に文字入れなどをしながら発信の練習をしてもらっています。

ただSNSのアドバイスは積極的にしますが、やり方を1から10まですべて教えることはないですね。SNSの場合は1年経ったらやることが変わるので、いつまでも昔のやり方に固執してもあまり意味がないので。実際ちょっと前まではTikTokを集客ツールだとは思っていませんでしたが、今は主戦場という感じになってきました。

──なるほど。ちなみに集客にはやはりフォロワー数も大切ですか?

ペルソナ設定がきちんとしていて、提供する技術とそのペルソナが持つ悩みが一致していれば、数は関係ないというのが僕の考えです。これまではフォロワー1万人で売上100万、2万人で200万、3万人で300万というような認識だったのですが、AKARIのフォロワー数はまだ900人弱ですからその限りではないな、と。ただしフォロワーが少ない人ほど、ターゲットをしぼり、細かいペルソナ設定をすべきだと思います。そうしないとお客さまにはなかなか見つけてもらえません。

売れっ子になったスタッフがやめるかやめないかは、「100万円」の中身を会社が一緒に作れているかどうか

25歳という若さで独立した中村さん。独立後すぐにコロナ禍が襲ったが、インスタLIVEなどを精力的に行い、集客につなげたそう

──スタッフを育成しても自分で集客できるようになるとやめてしまう人も多いですが、独立する際にそのリスクは考えたりしませんでしたか?

その点はあまり考えなかったかもしれないですね。売れっ子かどうかのひとつの指標として「100万の売上」がありますが、この100万円の中身は何なのかということが重要だと思うんです。会社がただただフリーのお客さんをバンバンふって、なんとなくできたという感じで達成しているか、価値を感じてくれたお客さまを集客できるように、SNS発信するワードを一緒に考えたり、サロン全体で一緒に価値を作っているかどうかなんじゃないかと。後者のようなことができていれば、会社や先輩にも感謝が生まれるでしょうし、売上があがっても簡単にやめようとは思わないんじゃないかと思います。

会社からの還元がちゃんとあるかも大切ですよね。「REDEAL」では広告費をおさえている分、サロンとしての価値をみんなで作り、それぞれが発信してお客さまを集めているので、それが結果につながればきちんと報酬に反映するようにしています。

──なるほど。売上の中身を会社全体で作っていれば、売上があがったからやめようとはならないということですね。

そうです。100万円の売り上げは良くも悪くも自分ひとりのことに集中できた人が出せる数字だと思うんです。それに気づけず年齢や技術だけあがっても、自分のことしか考えられないですよね。

さらに200万以上を目指すならアシスタントから慕われていたり、指示をきちっと出せたり、逆に上が求めていることを把握して実行する、かなり高い能力、人間性ともいえる部分が必要になると思うんです。自分だけよければいいという考え方では、結果はすぐに頭打ちになると思います。

うちでは店長の金子が400万の売上をここ最近コンスタントに出せていますが、アシスタントとの信頼関係がなければ絶対に出せない数字だと思いますね。

スタッフの資質を否定的に見ず、気持ちを理解する

「スタッフ育成に関しては、厳しいのも優しいのもどちらもできる」と中村さん。スタッフの資質にあわせて柔軟に対応しているそう

──スタッフ育成で何か工夫されていることはありますか?

スタッフの状況や望んでいることを把握して、伝え方や求めるものはわけていますね。たとえばあんまりやる気がないスタッフがいても「今はそういう状況なんだな」って(笑)。何か改善点を伝えるときにいきなり10を求めても難しいだろうなというときは、5とか6だけ伝えるようにします。金子には10を求めていますし、10伝えていますが(笑)。AKARIも売れたいという思いが強い子だったので、10まで伝え、できていなければ直して、を繰り返していました。すごくつらかったと思いますが、よくがんばってくれて結果につながりましたね。

うちはデザインカラー特化型のサロンなので、練習する内容はそぎ落としてシンプルに。さらに基本的に技術習得は営業時間中にアシスタント業務を通してできるようにしています。18時閉店なので練習したい人は残るし、帰りたい人は帰っても大丈夫です。それとうちのサロンのスタッフ育成がうまくいったのは、僕とスタッフの間に金子がいることがとても大きいと思っています。僕が司令塔となって全体に伝えて、金子が調整したりきちんと届くようにフォローしてくれたりする。金子のような存在がいるからこそ、スタッフも安心して働くことができるのだと思いますね。

──中村さんご自身は厳しい環境で技術を身につけてきたと思いますので、それをスタッフにも求めてしまいませんか?

以前はそういうところもありましたが、このサロンをオープンするときに考え方が変わったかもしれないです。今活躍している人って簡単にいうと、毎日終電まで練習して、休みの日は撮影に行って、とにかくがむしゃらに努力できる人たちで、過去の自分も含めてそれを正しいと思っている人です。確かにそれができれば、能力はめちゃくちゃ高くなりますけど、でもついていけずに辞める人も多い。

このサロンを始めたときに、自分で採用した人がやめてしまうと悲しいなと思って、できるだけ続けられる方向で考えるようになりました。各個人の能力を否定的に見ず、個性ととらえて、足りないところは補っていこうと伝えます。ネガティブな感情は消えて、それぞれのスタッフの気持ちが理解できるようになりましたね。
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中村さんが考える、美容室経営成功の3つのポイント

中村さんが考える、美容室経営成功のポイントは以下の3つでした。

1. SNS発信は、提供する技術と結びつくよう細かくペルソナ設定をする

2. サロンの価値をスタッフと一緒に作り、結果が出れば報酬に反映する

3. スタッフの状況を見極め、求めるものや伝え方を変える

後編ではここ数カ月、400万円の売り上げをコンスタントに出している店長の金子さんに登場いただき、売上アップの秘密を伺います。やはり大切なのはペルソナ設定。「白髪手術」を前面に押し出し、集客に成功したそうです。そしてその売上を維持するために欠かせないのは、アシスタントのヘルプ。アシスタントもカラーを担当することにより店舗全体の技術力がアップするだけでなく、ホスピタリティの向上にもつながっているといいます。後編もお楽しみに!

Salon Data

REDEAL
住所:埼玉県さいたま市大宮区宮町2-8-1 corte大宮4F・5F

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