【美容師あるある】中途採用で大事なのは「やる気」の確認。売上づくりは会社全体でサポート【KANOW GROUP代表・桐山弘一さん】#2

美容業界でよくあるお悩みや課題にフォーカスする本企画。今回はサロン経営者の頭の中を探ります。取材させていただいたのは、前回と引き続き「KANOW GROUP」の代表・桐山弘一さんです。会社員・フリーランスの両方を経験したことを活かし、柔軟性のある働き方を会社全体で模索中とのこと。多店舗運営をするコツとして、いくつかのセクションを設けていることを前編で伺いましたが、この「セクション」制度がスタッフ教育にも大きく役立っているようです。

後編では、採用で重視していること、入社後のフォロー体制、自由度の高い独自の勤務体制について教えていただきました。

教えてくれたのは

KANOW GROUP 代表 桐山弘一さん

大手サロン・個人サロンを経て、フリーランスとして独立。その後、「KANOW GROUP 」に入社、2020 年にサロン代表として「kyli 表参道」を立ち上げる。2021年にグループ代表に就任。(5月26日にオープンした新店舗を含め)表参道・⻘山エリアに5店舗を展開。

美容師の採用:入社後の売上づくりは会社が全面サポート。採用で見るのは「やる気」だけ

労働時間の改善を図り、シフト制を導入。「採用面接をしていても、シフト制によって自分のプライベート時間が確保できるということに魅力を感じる方は多いです」(桐山さん)

――スタッフ採用も桐山さんがトップに立って動いているとのこと。どんな人材を求めていますか?

採用セクションがあるので、彼らと一緒に動いているのですが、今は中途採用をメインにしているんです。採用の基準は「やる気」があるかどうか。

――「やる気」のみ?

はい。過去の売上や技術力は求めていません。うちでやっていきたいという気持ちや覚悟があるかどうかだけ。

――新しいサロンで一から売上をつくることは大変だと思いますが、会社としてはどのようにサポートしているんですか?

テクニカルの部分やマーケティングの部分など、各セクションの責任者たちが動いて、勉強会や企画運営などを積極的にやってもらっているんです。新しく入社した子がどうやったら売上をつくれるか、どのようにお客様を呼べば良いのかを、彼らが全面的にサポートします。売上をつくるためのきっかけをたくさん提示できるようにと、会社全体でフォローしているわけです。だから「中途入社はやる気だけあれば良い」というのは、うちに入社してくれれば売上をつくらせてあげられる、という自信があるからなんです

グループ全体的に集客がしっかりできているので、入社したばかりの人でもお客様に携われるチャンスがたくさんあるので安心してもらえると思います。採用面接に来られた方は、その辺りも魅力に感じてくれているようです。

――近頃、美容師の従来の働き方を見直すサロンが増えてきていますが、桐山さんは美容業界のどんなところに課題を感じていましたか?

営業時間外に練習をしなくてはならないアシスタントも大変だろうけど、スタイリストたちも後輩の教育に時間を取られる、ということをどうにか会社としてフォローできないかなと思っていました。それもあってシフト制を取り入れているんです。

――こちらはシフト制なんですね。

業界では珍しいかもしれないですね。早番・遅番に分けることで労働時間を短くしたいなと。まぁ、短くと言ってもただ世間一般の基準に戻しているだけなんですけどね(笑)。

例えば、アシスタントが早番で出勤した場合、夜2時間くらい練習するとなったら、遅番のスタイリストが営業時間中に練習を見てあげられるし、逆に、遅番のアシスタントが営業時間前に練習するときは、早番のスタイリストが見てあげられる。アシスタントの子も早朝や深夜に練習する必要はなくなるわけです。

お客様をもっと取りたいから朝から晩まで働く、というのもOKだし、シフト時間に合わせてお客様の予約を取る、というのもOK。やっぱりプライベートも充実させてほしいという想いもあるので、できるだけ会社の方では強制力を持たず、自由にやらせてあげられたらなと

今は、「自由に働ける」ことが求められる時代。会社員とフリーランスの良いとこ取りの働き方ができれば良いなと思っていて、今も模索中です。会社としてもスタッフに意見を聞いたりして、より良い働き方、より効果的な働き方を常に考えています。

――自由度が高いんですね。

同時に大事になってくるのはコミュニケーションですね。シフト希望に偏りが出た場合は、スタッフ同士で譲り合って調整しなくてはなりません。だから、「コミュニケーション取っていこうね」といつもスタッフたちには伝えています。コミュニケーションがあってこそ、ある程度の自由度を保てるんです

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――「KANOW GROUP」は給与も高水準ですね。

他と一番違うところは、フリー売上にも歩合をつけているところだと思います。指名売上しか給与に反映されないというお店が多いんですよ。最近、業界的にもフリー歩合は増えているようですが、割合でいったらまだ少数。

――となると、デビューしたてのスタイリストも早くに稼げますね。

そうですね、早いですね。フリー売上もカウントされるので、デビューして2ヶ月で売上100万円いったスタッフもいます。デビューしたての子でも、早いうちにある程度のラインに乗せることができる、という仕組みにしているんです。

うちの給与査定は、売上100万円を越えれば一番高い水準の固定給を支給するようになっていて、固定給の水準以上を稼いだ人にはボーナスも支給しています。売上に対するバックはきちんとしているし、そこにプラスで役職や役割の手当てもつけています。

一人の人気スタイリストに依存してしまうより、全スタッフが安定的に売上を取れていた方が組織としても盤石になります。みんなに売上がついていることが「働きやすさ」にもつながると思うので、会社としては、働いた分だけ給料がもらえます、頑張った分だけ反映されますという形にしていきたいんです。

――デビューしたてのスタッフがすぐに売上をつくれるためにどんなサポートをしていますか?

先ほどの中途採用の話と一緒で、集客・マーケティング・教育・デザイン・技術トレーニングなどを担当するセクションで各々動いてくれています。どんなスタイルにお客様は喜んでくれるか、どうやったらうちのサロンを知ってもらえるか、などを分析し、デビューしたての子と一緒にプロセスを考えていきます。

――桐山さんがスタッフに求める美容師像とは?

素直な人であってほしいですね。僕らの仕事は接客業なので、技術力だけでなく人間力もすごく大事だと思うんですよ。色々な意見や考え方に触れて吸収していってもらいたい。そうすれば、人としても美容師としても成長していけると思うので。

――人間力を育てるのも大事なことなのですね。

僕らの世代は結構体育会系の中で育ったので、すごく叱られたし、その中で自分の感情をコントロールして接客しなければなりませんでした。ほんと心の筋トレでしたね(笑)。でも、そうやって鍛えてもらったおかげで人間的に強くなったし、自分自身のことをよく知ることができました。

自由度が高まったからといっても、ときにはスタッフを叱ったり、きちんと伝えることは必要だと思います。でも、一方的に叱るのではなく、僕は「聞く」ことを大切にしています。大抵の人は理由があって行動しているわけだから、問題が起きたときには「どういう風に考えていたのか」とまずは耳を傾けるようにしています。相手の話を聞いた上で、叱った方が良いかどうかを考える。感情的にならないことがコツですね。

――会社として、今後の展望はありますか?

やる気と実力があれば、どんどん任せたいと思っています。うちには、入社して半年で副店長になった子もいるんですけど、スタッフの成長を妨げないよう、キャリアアップのしやすい体制づくりをこれからも行っていきたいですね。出店をしたり、ポジションを増やしたり。実力が伴っていることが前提ではあるけど、意思表示さえしてくれれば、会社が汲み取って全面的にサポートしていきたいなと。


サロン代表のあるある:採用や教育のコツ

1入社後の売上づくりなどは会社がフォロー。採用時は「やる気」を見極める

2.ある程度自由に働ける労働環境を整備する

3.美容師は接客業のため、技術力だけでなく人間力も育てる

 

取材・文/佐藤咲稀(レ・キャトル)
撮影/岩田慶(fort)

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Salon Data

kyli 表参道
住所:東京都港区青山5-6-2 青山菊正ビル3F
電話:03-6427-3366
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