【ネイリストあるある】「この子は売れる!」はお客様目線で面接をすると見抜ける【ヨシネイル代表・郭かよさん】#2
美容業界でよくあるお悩みや課題にフォーカスする本企画。今回は、サロン経営者の頭の中を探ります。前回に続き、ネイルサロン「ヨシネイル」の代表・郭かよさんにインタビュー。
前編では、円満退社のコツや集客の成功例、2店舗経営が上手くいっている理由を伺い、「日頃から」の積み重ねが大事であると教えていただきました。と同時に、スタッフ想いであることがひしひしと伝わってきた郭さん。スタッフの個性を柔軟に受け入れることも経営者として必要なよう。
後編では、採用面接で「売れるネイリスト」を見抜くコツ、スタッフのキャリアパスについて教えていただきました。
教えてくれたのは…
「ヨシネイル」代表 郭かよさん
大学卒業後にトータルビューティサロンに就職し、ネイルだけでなくヘアメイクも経験。4年後に池袋東口に「ヨシネイル」をオープン。数年かけて「モチーフネイル・痛ネイル」のブランドを築き、今ではリピート率9割以上。2021年に2号店を池袋西口にオープン。
ネイリストのスタッフ採用:面接では経営者目線ではなく、お客様目線で相手を見る
――採用で重視していることはありますか?
まず、「将来独立したい」という人は不採用、ということはしません。「今、一生懸命頑張りたい」と思っている人が採用基準ですね。
あとは、面接では経営者目線ではなく、お客様目線で相手を見て、「この人にネイルをやってもらいたい」と思った人を採用しています。
――それは人柄重視ということですか?
素質のある子+人柄で採用しています。技術力ももちろん見ますが、うちの場合は痛ネイルやモチーフネイルをメインでやっているため、技術に対して求める基準が他のサロンとは違うので、即戦力として採用できる人は少数。なので、人柄のウエイトは大きいです。
基本的に私は直接お会いしたいので、面接に来てもらうことがほとんど。大体面接の段階で「この子は売れるな」とわかるんですよ。人柄が良く、自分の信念を持っている子は。
うちのスタッフはみんな明るく、そして個性的な子たちが集まっています(笑)。
――クリエイティブな職種の場合、個性的であることは大事だと思いますが、ときに「我が強い」として、例えば接客で困ることはないですか?
一般企業と美容サロンってまたちょっと違うんですよね。美容業界の場合、組織に所属しても、組織の言うことが全てではダメ。自分の個性を活かし、それに対して「この人が良い」とお客様が集まってくるわけですから。うちにも我の強いスタッフはいますが(笑)、それは自分の技術やデザインに対してです。「自分はこういうデザインにしたい!」と主張するのと、お客様に対して失礼なことを言うのは違うと思います。その線引きができるのであれば大いに個性的であってほしいです。
――ちなみに、アートが得意なサロンとなると高い技術力が求められると思いますが、未経験を採用することはあまりないのでしょうか?
そんなことはないですよ。未経験で入社し、2年経った今は毎月の予約がほぼ指名客で埋まっているスタッフもいますから。未経験であっても面接時に技術力チェックをし、採用になった場合は入社後にどこから教えるかなどを確認しておくようにしています。
未経験で入社したとしても、ヨシネイルで一年間働くのと、他のネイルサロンで一年間働くのとでは、スタッフの成長は全然違うと思いますよ。技術力はものすごく差をつけられると自信を持って言えます(笑)。
――スタッフによって技術力にバラつきが出ないよう、どんな風に技術力を高めているのでしょうか?
私の時間が取れるときは直接新人の練習に付き合い、デザインや技術を普段からチェックして得意分野を伸ばしてあげるようにしてます。また、両店舗の先輩スタッフがみんな優しいので、日頃から新人の子にアドバイスしてくれたり、サポートしてくれているようです。
こちらから指示したわけではないのに、「新人が今どこまでできるようになった」と報告してくれたり、「今後はこういう教育プランでいこうと思っている」などと自ら考えてくれているのでありがたいです。
――サロン勤務といえども、ネイリストさんはソロ活動なのかと思っていました。
施術中は個人プレイですけど、それ以外ではサロン全体が一つにならなければいけないと思います。うちでは、スタッフみんなが「自分たちで教えなきゃ」という責任感が自然と身についているんですね。
技術力にしてもそう。もともと画力が高かったり、努力家な子が多いですが、入社後もどんどん突き詰めていく子ばかりなので、周りを見て「自分も追いつかなきゃ」という気持ちになるんだと思います。環境ですかね。
ネイリストの働き方:スタッフの長所を把握しておけば、現場から離れたときに別の役割を持たせられる
――美容業界でも「ホワイトな働き方」を意識するサロンが増えてきましたが、こちらでも何か取り組んでいることはありますか?
これまでは個人事業主でしたが、来年から会社になるので「福利厚生はどんどん充実させていくよ」とスタッフたちに話しています。
これまでも、希望休を受け入れなかったことは開業以来一度もないです。規定日数の中であれば好きな日に取って良いよと言ってきました。ダメと言うと、たぶんスタッフは反発しちゃうのかなと。こちらが「全然自由に取って良いよ」と言うと、「繁忙期なのに休んで申し訳ないです」と逆にスタッフが遠慮しちゃうんです(笑)。
うちのスタッフはオタクが多く、イベントがある日は休みたいという気持ちもわかりますし、プライベートの充実は仕事の充実につながりますからね。
――スタッフさんのキャリアパスについても今後の展望はありますか?
今後も店舗拡大をしていきますし、スクールも開校する予定です。
1年くらい一緒に働けば、スタッフの長所や得意分野がわかってくるんですよ。長年経営者をやっていると。「この子は現場向き」「この子は事務作業が得意そう」「この子は教えるのが上手」とか。スクールを立ち上げるのも、彼女たちの長所を伸ばしたいと思ってのことです。
正直、ネイリストには年齢の壁があると思っています。40〜50代になると視力が下がりますから。そのときに会社がスタッフを見捨てるか、あるいはスタッフが限界を感じて辞めていくか、その選択肢しかないのは嫌だなと。現場で働けなくなったときに、自分の長所を活かせる場所が他に用意されていれば、スタッフたちも長くうちで働けるかなと。
――最後に、サロン経営の秘訣を教えてください。
人に感謝の気持ちを持つこと。スタッフに対しても、お客様に対しても。
「ヨシネイル」というサロン名は「三方よし」が由来なんです。「売り手よし・買い手よし・世間よし」という意味なんですけど、私もそういう会社をつくっていきたいなと。利益だけを求めているとお客様もスタッフも離れていきます。スクールを立ち上げて「これからネイリストになりたい」という人を世に出すサポートをしていきたいと思っていますが、それも「世間よし」につながるかなと。
「三方よし」の精神でやっているので、みなさんついて来てくださるのだと思います。
ネイルサロン経営のあるある:スタッフの採用・働き方で大事なこと
1.面接では「この人にやってもらいたいか」とお客様目線で判断する
2.個人プレイではなく「チーム」という意識を持たせる
3.スタッフそれぞれの長所を活かせる環境を整備しておく
取材・文/佐藤咲稀(レ・キャトル)
撮影/喜多二三雄