サービス・アイテム・スタッフの三本柱がリピートの秘訣【JNOËL(ジェノール)オーナー NAHOさん】#2
元美容部員のNAHOさんが地元・兵庫県姫路市でトータルビューティーサロン「JNOËL(ジェノール)」をオープンして5年。なんと開業してから2年目にリニューアルオープンします。リピーターが絶えない秘訣について「信頼関係を築くこと」だと語るNAHOさん。一口に信頼と言っても簡単に得られるものではありませんが、どんな取り組みを通して、お客様から支持を集めているのでしょうか。
後編では、信頼を得るために行っているサービスや力を入れているスタッフの教育などについてお聞きします。
お話を伺ったのは…
「JNOËL(ジェノール)」オーナー NAHOさん
大手化粧品会社にて美容部員を務めていたとき、サロン開業を決意。通信制の美容学校で学ぶ傍ら、まつげスクールにも通学。美容師免許取得後、地元・兵庫県姫路市でトータルビューティーサロン「JNOËL(ジェノール)」をオープンし、アイリスト・エステティシャンとして活躍。一児のママとしてプライベートを充実させるとともに、美容を主としたサロン経営に注力している。
美容サロンの利用を増やすには、美容にとっかかりにくい不安要素を取り除くのが先決
――どのような取り組みからお客様の信頼を得ているのでしょうか?
例えば…回数券を渡す美容サロンが多いですが、当サロンは都度払い制にしています。
――なぜ都度払い制度に?
私自身、エステサロンに対して敷居が高いイメージがあり、入店するのに勇気がいると感じていて…。施術に使用するアイテムを購入しないといけない、さらに施術の料金も高額で、みたいな。少しでも多くの方に当店のサービスを受けてほしい思いから、そうした不安要素や懸念点を先に取り除いておこうと考えたんです。
そのうえで考えうる最高の施術技術と、価格を問わず結果が出せるアイテムを責任持って提供しています。
――美容サロンのイメージを変えたいのですね。
年齢関係なく、たくさんの人に美容に興味を持ってほしくて「JNOËL(ジェノール)」がその足がかりになればいいなと。人それぞれ人生を歩んでいくと生活環境や習慣など変化があると思いますが、どんなときでも「ここがあって良かった」と思われる唯一無二のサロンを目指しています。
――オープンして大変だったことは?
オープンして1年ほど経った頃、コロナ禍による緊急事態宣言が発令。サロンの営業ができなくて、大ピンチになってしまったんです。
――どのように乗り越えたのですか?
力を入れたのが「SNS発信」でした。おうちでできる美容に注力して、とにかく「私のこだわり」を発信してみました。
その結果サロン営業ができなくても商品が売れ、美容業界は大変なところもあったようですが、当サロンの売上はキープよりも右肩上がりに。また、緊急事態宣言が解除されたと同時にお客様に連絡をしたところ、ありがたいことにほとんどの方から「待ってました」というようなリアクションをいただき、サロン営業も通常運行にすぐに戻すことができました。
スタッフに共通して持っていてほしいのは、「思いやり」の気持ち
――多くのお客様から愛されるサロンにするために、取り組んでいることは?
スタッフが働きやすい環境を心がけています。イキイキと働けることがサロンの売上や評判にも直結すると思うんです。
――どのような働き方を?
主に私が働いてたころに不満を感じていたことを、メリットに変えられるようにしていますね。常にスタッフに寄り添って考えることが大事。
例えば休日で言うと日曜定休+平日休みがあるので、プライベートの予定が非常に立てやすいんです。18時以降、予約がなければ退勤してOK。反対に午前に予約がなく、午後に入っている場合は遅番に…とスケジュールを柔軟に組み替えています。
さらには忙しすぎて休憩が取れなかった日は残業代にまわしてもらうこと。この休憩時間は他のサロンにはなかなかないJNOËLの取り組みだと思います。仕事も大事ですが、プライベートも楽しく過ごしてほしいと思っているんです。
加えて私はサロンの全メニューの施術ができるので、予約が入っているのにどうしてもスタッフが休まざるを得ないときはバトンタッチできるメリットも。実際に昨年末に私以外のスタッフ全員がコロナに罹ってしまったのですが、代わって対応したことで事なきを得た経験があります。
万が一のハプニングがあってもスタッフのことを守れる存在でありたいと思っています。
――スタッフの採用ポイントは?
必ず持っていてほしいのは「思いやり」。技術も大事ですが、人と関わらずして仕事はできませんから、ベースでその人なりの思いやりがあると嬉しいですね。思いやりって教えられるものではないですし、強要できるものでもないので。
人に喜びを与えられることに対して、スタッフ自身がそれをやり甲斐と感じられるかがポイント。どれだけの熱量でお客様のご要望に対応ができるか、それがお客様にも伝わり結果に繋がるので重視しているところです。
――指導できないところはどのように補っているのですか?
マニュアルほどがちがちではないですが、気づいたことはすぐにLINEで発信・共有をしています。どんな些細なことでも、気づきは大切。
また気をつけているのが、言葉の遣い方。当サロンではSNSを通して情報発信もしているのですが、その際にスタッフが作成した文章を必ず私が確認してからお客様に発信しています。
――徹底したサービスを提供する熱意が伝わってきます。NAHOさんが思う、オーナーを務める際に必要なことは?
迅速な対応ができること。何か問題があって対処しなければならない状況で、立ち回れる器用さは必ず必要だと感じます。意識するといいことは視野を広げること、レスポンスの早さ、他人の立場で物事を考えられることでしょうか。
お客様対応については自信があります。期待しているからこそ求めてくれると思うので、クレームはチャンスだと思っていて。自分自身が同じ立場に立つことで、お客様がどう対応したら喜ぶのかを考えています。
――今後のサロンの方向性について教えてください。
全国各地からお客様にご利用いただけるように、当サロンでしか受けられないサービスの展開やサポートなどを考えているところです。
私個人としては施術時間よりもサロン以外の仕事に力を入れたいです。お客様ももちろんですが、スタッフとも人生をともに歩むつもりなので、選択肢を増やしたいんです。
今後の働き方や事業拡大も考えつつ、私たちにしかできないことを創造していけたらと思います。
リピーターを続出させるサロンにできた3つの理由
1.高い技術力を身につける
2.細かい気配りや思いやりを意識した接客をする
3.接客中もSNS上でも言葉遣いに細心の注意を払う
取材・文/東菜々(レ・キャトル)