自分に言い訳しないための独立。約20ブランドのカラー剤を扱う「Vardy」中澤卓也さん

2023年4月、共同代表の吉永大介さんとともに表参道に美容室「Vardy」を開業した中澤卓也さん。カラー技術をひたむきに磨いてきた美容師で、通常は2、3ブランドを取り扱うサロンが多いなか、20種類を超えるブランドのカラー剤を導入しています。

この豊富な取り揃えに至った背景には、中澤さんのある決意が表れているそう。あるときから自分に言い訳をするのはやめて、本気で美容師をやると決めたという中澤さん。カラー技術のさらなる高みを目指し、発信していくことで、業界全体のカラー技術の底上げという高い目標を掲げているそうです。

今回、お話を伺ったのは…

中澤卓也さん

美容師/「Vardy 」代表

専門学校卒業後、正社員、フリーランス、オーナーのいる店で代表を務めるなどさまざまな形を経験。カラー技術を独学で磨き、高い技術と知識を身につける。2023年4月に、共同代表の吉永大介さんとともに表参道に美容室「Vardy」を開業。2022年2月から吉永さんとともにカラー特化オンラインサロン「ANOTHER」も運営しており、現在の会員数は約280名にも及ぶ。

instagram:@_nakazawatakuya

オンラインサロン

カラー講師を名乗るなら、カラー剤を増やすのは必須だと思った

約20ブランドのカラー剤を取り揃える「Vardy 」

――壁面に並んだカラー剤が圧巻ですね。ここまで取り揃えている理由は?

最初に入ったお店がカラーの施術が多い店だったこともあり、僕もカラーに力を入れてきました。そこで昨年からカラーに特化したオンラインサロンも運営始めているのですが、カラー技術の発信をするのであれば、たくさんのカラー剤を使ったことがある状態でなければ、信憑性に欠けると思ったからです。僕の独立理由は2つあり、そのひとつがオンラインサロン展開のためでした。オンラインサロンを発展させるためには、店舗が絶対に必要だと思ったんです。

――それはなぜですか?

講師業は実力や知識はもちろん、「箔がつく」ことがとても重要だと思っています。メーカーさんの委託で講師を務める経験がないとオンラインサロンに人を集めるのが難しいと思ったのと、メーカーさんに講師依頼をもらうには、店舗がないとなかなか声がかからないと分かったからです

実はこのサロンを開業する前に、箱貸しの形態で独立したこともあったのですが、メーカーさんの扱いはフリーランスとあまり変わらないと思いました。やはり店舗を構えたほうがいいと思い、今に至ります。このサロンでは「社会全体でのヘアカラーの価値を上げる」ことをビジョンに掲げており、サロンだけでなく、業界全体のヘアカラーの技術をあげていくことをミッションにしています。

言い訳してきた過去と決別。自分で責任を取ると決めて

あるときまで自分への言い訳も多かったという中澤さん。そんな自分を変えたいとの思いがいつしか強くなった

――もうひとつの独立の理由があるとのことでしたが?

言い訳せずに本気で美容師をやりたいという思いです。僕はある時点まで、環境を言い訳にしてあまり努力をしてきませんでした。実際、雇用されている状態ですと、カラー剤や自分のやりたいことに制限を受けることがあるのは身をもって実感していました。さらに後輩の面倒も見なくてはいけないし、お店の運営についても考えなくてはいけない。できなくてもしょうがないと言い訳してきました。でもそれではだめだと、心のどこかで思っていたんです。

そして自分が経営の全責任を負っている状態でもないのに、「あのカラー剤を入れてほしい」、「こんなことをやりたい」と言うのも違うなと。もっと成長したいし、何者かになりたいという思いも強かったので、それを実現するためには自分が言い訳できない、自分がすべての責任を取る場所に行く必要があるな、と。それが独立という形でした。

――言い訳をやめて、ご自身はどのように変わったと思われますか?

すべてが変わったと言っていいと思います。大変なことやプレッシャーも増えましたが、今は本当にやりたいことをやれていますし、充実した時間が過ごせています。サロンの定休日にオンラインサロンの撮影を行っており、ほとんど休みはありませんが、サロン展開や、オンラインサロンの会員数を増やすなど目標に向かって走っていることが面白くてしょうがないです

ただ立って見ていた3ヶ月。教育の需要に気付く

2023年に中澤さんがオープンさせた「Vardy」。教育体制を整え、独自のカリキュラムを作っている

――中澤さんは高いカラー技術をお持ちとのことですが、そのベースは最初に入った店でカラー技術を教えてもらって、築いたのでしょうか?

いえ、そんなことはなく、自分で確立してきました。これまでに入ったサロンはあまり教育体制がしっかりしていなかったところが多かったんです。アシスタント時代は3ヶ月間、ただ立って見ているだけ、というときもありました。「見て学べ」ということだったのかもしれませんが、教育するという風土自体がなかったんだと思います

この経験を反面教師にして、「Vardy」では独自のカリキュラムを作り、学べる環境を整えました。2年を目安にデビューすることができ、さらに技術を深めたい人はプラス1年のオプション練習を用意しています。

――なるほど。中澤さんは自身は独学に近い形で、技術を確立してきたのですね。

そうです。僕はこのサロンの前に5店舗を経験してきており、さまざまな美容師と働いてきました。どこかひとつのサロンのノウハウだけでなく、さまざまな技術や考え方に触れることができ、だんだんと確立できたと思います

またいろんなサロンを経験したことで、教育体制が整っていない状況は業界全体の問題なんだと認識することもできました。とくにカラーの技術を体系的に学べる環境がないと気付いたことで、カラーを学べる場所のニーズがあるのではないかと思い、オンラインサロンを開設するに至りました。


中澤さんが独立して、順調なスタートを切れた3つの理由

1.カラー技術の高みを目指すと決め、約20ブランドのカラー剤を導入した

2.自分に言い訳をせず、責任を持つことを決意した

3.教育体制を整え、独自のカリキュラムを作った

後編では、中澤さんと共同代表の吉永さんの2人で運営している、カラー特化オンラインサロン「ANOTHER」についてお話を伺います。開設と同時に約100人が集まり、現在は280名ほどの会員数を誇る「ANOTHER」。そこには会員の期待に応えようと日々努力する、お2人の強い意志がありました。後編もお楽しみに!

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Salon Data

Vardy
住所:東京都渋谷区神宮前4-16-10 c.colorビル神宮前B1F
TEL:070-9071-5839
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