『なぜ独立するのか』『その会社は、誰の、なんのためなのか』を考えて 独立を目指すあなたへ vol.1【THEATER代表 佐々木達也さん】#2

「独立」を考える道しるべとして、先輩の経験談を聞く本企画。前編につづき、急成長中のヘアサロン「THEATER」の代表・佐々木達也さんにインタビュー。後編は、開業後のお話と今後の展望について。今力を入れている「自社アカデミー」は、入社半年でスタイリストデビューを目指すという画期的なもの。その内容と、教育がもたらす美容業界の未来についてお聞きしました。

サロンのトップに立つということ

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THEATERグループ8店舗目のサロンとして、2019年3月に池袋にオープンした「LAND」。

——1店舗目のオープンからの急成長ぶりはすごいですね。

「THEATER」から5カ月半くらいで2店舗目をオープンしました。その後もコンスタントに開業できて、8店舗目の「LAND」が今年3月にオープン。今後も、オープン予定を控えています。全国規模を目指しているので、まだまだ展開は構想中です。

——規模が大きくなると、大変なことも増えたのでは?

2年8ヵ月前は創業9人から、今は約140人ですからね。1万人を目指しているので、まだこれからですけど、スタッフが増えて「ありがとう」と思うことのほうが多いですよ。幹部や店長たちも、すごくがんばってくれているし、スタッフのおかげで自分たちが学べることもたくさん。逆に、これからは僕たち代表の成長が必須の課題だし、自己研鑽しなくちゃいけないなと感じています。だから、勉強も欠かせないですし、誰よりも働くうえに生産性も上げ続けなくてはいけないなと思っています。

——代表の仕事とは?

いちばんは、代表として「責任」をとるという仕事。その点では、100%気を抜くことはなかなかないですね。すぐに判断が必要なときに、何時間も連絡がつかない代表なんてイヤじゃないですか。だから、携帯がつながらないとか、確認できない状況はすごくモヤモヤしますね。温泉に入っているときとかはすごく気にしちゃう(笑)。僕はもう現場には出ていないので、サロンにいないからこそ、きちんと対応しないといけないと思っています。生産してくれているのはいつも現場。だから必ず現場にいるみんなに感謝しながら一時一時を過ごすようにしています。

スタッフの未来を考えた新しい「教育」

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4人の共同代表の1人、佐々木達也さん。実務では、労務管理や求人・教育を担当している。

——構想中の展開について教えてください。

今、力を入れているのは教育です。まずは美容師の教育で革新を起こそうと思って、「アカデミー」というものを2017年の秋から始めました。美容師って、サロンに入社して3~5年くらいアシスタントをしてからスタイリストデビューという流れが多いんですが、「本当にこの数年は必要なのかな?」と思っていました。美容師が学ばなきゃいけないのは、接客を含めた「美容師力」。でもアシスタントの仕事って洗い物や掃除とか、美容師じゃない人でもできることが多いんですよね。営業中にそれをやって、くたくたの体で閉店後に練習して…、でも美容師力は習得しなければならない。この教育状況、スタイリストデビューの在り方っていうものに対して、何かできないかなと思ったんです。

——アカデミーでは、どんなことをしているんですか?
一般企業だと、最初の3カ月くらい、研修を受けながらお給料をいただける期間があるじゃないですか。それと同じ感じです。週3日、1日8時間練習ができる場所を作って、サロンに出るのは週2日、あとの2日は休み、それぞれのライフプランを。 給料に関しては総支給額で18万円。これなら半年で、アシスタント3年分くらいの練習量がとれるんです。だから、4月に入社して、10月でスタイリストデビューができる。そういう仕組みを作りました。「半年でデビューできるわけない」って、よく言われましたけどね(笑)。去年、初めて1期生がデビューしました。

——デビューはうまくいきましたか?
デビューした20歳の10月で、指名技術売上155万円を達成した子が生まれました。 しかもその子はどんどん売り上げをのばして、12月以降はコンスタントに月収100万以上を継続してくれています。北海道から来た、20歳の女の子ですよ。夢がありますよね。代表の僕らより給料高いんです。そんな1期生が生まれたことが本当にうれしいですね。そして、その子が成功事例として、今後にもつながってくれたらいいなと。あと、アカデミーを作った理由として、スタッフたちの未来を考えたというのもあります。

——「未来を考える」とは?

美容師の消費期限って、40歳だと言われているんです。もちろんその諸説に当てはまらない方もたくさんいらっしゃると思いますが、スタッフのことを考えるなら、すべての美容師のその期限を後ろ倒しにすることは今の僕らにはまだ難しい。たとえば、20歳からアシスタントを8年して、28歳でスタイリストデビューしたとして、途中で結婚・出産をしたら…? 40歳までにスタイリストでいられる期間って、10年ないかもしれない。だから、スタイリストデビューを前倒しにすることで、美容師でいられる期間を確保する。また、アカデミーを作ることで教える側が生まれるので、キャリアプランの中に「アカデミーの講師」という選択肢も増やせるんです。

10年後のTHEATERはどうなっているか

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佐々木さんとTAKEさんは、昨年12月にサロンワークから離れ経営に専念。大井さんは今年3月に引退、自社アカデミーのトップに。SHIGERUさんはプロモーション担当として作品作りを統括している。

——今後はどんな展望がありますか?

会社の規模を拡大していきたいので、アカデミーを地方に展開しようと思っています。2025年までには、6大都市にアカデミーを運んで、現地で人を育てて、そのスタッフたちの受け皿として店舗を出す。地域のこともわかるし、その土地を知らない人より、集客もできると思っています。アカデミー1期生の中にも地方出身の子がいるんですが、地元の美容学校でアカデミーの噂が広がって、その地方からの応募が増えていたりするんです。東京にこんなサロンがあるらしい、今度それが地元にできるらしい、ってなったら、注目してもらえるかなと。1期生で成功事例が出せたので、2期生、3期生まできたら、有名になると思うし、必ずしなければならない。このアカデミーの構想は、大井を皮切りに始まりました。一筋縄ではいかないアカデミーの仕組みが、ようやくカタチになりつつあります。

——どんどん規模が大きくなりますね!

まだまだです。地方の次は、アジアにアカデミーを運ぶ構想も。会社がどんどん大きくなることで、その地域に雇用を産めるようになる。それが、企業理念の「貢献」にもつながると思っています。

——やはり、理念の「貢献」がベースにあるんですね。

これは、絶対にブレてはいけないところですからね。面接でも、アカデミーでの教育でも、きちんと伝えていますし、まずは自分たちがそうあるように気を引き締めています。お金をとにかく稼ぎたいとか、大企業のトップになるとか、それだけの目的だと本質とズレてしまっている。僕たちより代表に向いている子がいたら、下りたっていい。仕事の本質って「他者貢献」ですから。

——独立してよかったと思うことは何ですか?

「よかった」と思うことだらけですけど、やっぱりスタッフに「THEATERに入ってよかった」「THEATERに入社して成長できた」って言ってもらえると、会社を始めてよかったと思います。スタッフに給料を抜かれていくことがうれしいんですよね。自分たちはいいから、まずはスタッフに成功体験をしてほしいと思っています。

独立を目指すあなたへ

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「まずは、『なぜ独立するのか』『その会社は、誰の、なんのためなのか』を考えて、答えられるようにすること。独立は、手段でしかないんです。そして、その理由のベクトルが自分に向いている人は、一度考え直した方がいい。「社長になりたい」「儲かりたい」だけの人は矢印が自分に向いているかもしれない。このこと自体は時にアクセルにはなり得ますが、これのみだと永続できないと思っています。誰かの、何かに貢献するための手段になるなら、独立という道もある。ブレないためにも、他者へのベクトルは持っておいた方がいいと思います。」(THEATER 代表 佐々木達也さん)

取材・文:山本二季
撮影:片岡 祥

▽前編はこちら▽
独立を目指すあなたへ vol.1【THEATER代表 佐々木達也さん】#1>>

Salon Data

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LAND住所:東京都豊島区東池袋1-40-10 東池Kビル3F4F
電話:03-5962-0708
http://hairmake-theater.com/saloninfo_land.htm

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