みなさん「最善のマニュアルにないサービス」は出来ていますか???
おシゴトをしていると避けられないさまざまな試練。新人には新人の、トップにはトップの困難があるかと思います。そこで「迷える美容業界相談室」と題して、いろんな人たちの悩みに「フルーツルーツ」の榎戸さんがお答えします。
業界を引っ張るリーダーの言葉は重くて鋭い! 3回目は接客のコツについての悩みについてです。今回のテーマは長いので前編・後編に分けてお送りします。
お悩み
お客様に喜んでいただきたい気持ちはあるのに、伝わらない気がします。雑談も途絶えがちで、お客様への向き合い方に悩んでいます。何かアドバイスをいただければと思います。(5年目・ヘアサロン勤務)
「僕はエステティックサロンしか経営していないので、美容室に関して何とも言えない部分があるんですけども、お悩みの内容はおそらく美容業全体に通ずるものだと思います。お客様とのコミュニケーションで大切なのは、相手がそのときどうしたいのか、という空気を読めるかどうかということです。
僕は男性ですが週に2回エステティックへ通っています。もちろん勉強も含めてなんですけども。例えば、うつ伏せになっていると、すごくしゃべりにくいんですよ。それでもガンガンしゃべりかけてきて会話しようとするスタッフは、正直、苦手です。顔をパックして口が動かせないのに会話されても困るというときもあります。基本的に僕はエステティックに行くときは癒されたいので、静かにしていてほしいタイプなんですね。最初に会話をしたときに、僕の空気を読んでほしいんです。つまり相手の動作、雰囲気、口調など、その人をしっかり観察できているかどうかなんですよね。しゃべりたいお客様だったら最初からガンガン話しかけてくるので、どんどん反応すればいいんです。このお客様はしゃべりたい人なのか、静かに過ごしたい人なのか、こっちの話を聞きたい人なのか、というのを最初の2、3語で分かるぐらいになるのが理想ですよね。
ヘアサロンもそうだと思うのですが、エステティックはリピートビジネスなので、基本的に2週間に1回、1か月に1回、同じお客様が来るんです。だいたい同じスタッフが担当することになるんですけども。エステティックにいらっしゃるお客様は、基本的にある程度経済的に裕福な方が多いですから、いいレストランに行ったり、いいホテルに泊まったり、芸術に詳しかったり、そういう意識が高いわけなんです。一方で、エステティックサロンスタッフは日々そういうところに行けるわけではないので、価値観の乖離があるわけなんです。
でも、お客様ってそういう会話をしたいわけじゃないですか。こういうところへ行って楽しかったよとか。なのに、スタッフがあまりにもその価値観に共感できなかったら、やっぱりお客様は気を使ってしまいますよね。なので、自己投資という意味で、例えば収入の10~20%は、休みの日などにお客様の会話に出てきたレストランで食事をしてみるとか、ホテルへ行ってみるとか、芸術に触れてみるとか、自分の価値観の引き出しを増やす活動をしなさいということを、僕はスタッフに伝えています。
会話がブツ切りになるときって、ある話題が投げかけられたとして、それに対する自分の情報が少なくて返せないときですよね。そうならないようにするには、ある程度自分の経験は必要です。何か言われたときに、広げないで「そうですね」で終わっちゃうことが続くと、お客様もストレスが溜まって、癒されに来たのに逆に疲れてしまうみたいな。結局、自分の引き出しがたくさんあればで、どんなお客様が来ても合わせられるようになってくるんですよ。そういう努力は必要なんじゃないかと思います。つまり、自分磨きをしましょう、ということです」
良いサービスをするポイント
サービスを提供する上で、大切なことは「最善のサービス」と「マニュアルにないサービス」などがあります。最善のサービスとは、相手に対して断片的ではなく、常に満足できることを続けること。
そして、マニュアルにはないサービスとは、不測の事態が起きた時でも対応ができることです。サービスを繰り返すことで、より良いサービスを提供できるようになり、繰り返すからこそ、臨機応変な対応ができるようになる。サービスを一言で言いますが、相手があってこそのこと。奥が深いものでもあるので、より良いサービスを提供するために、極めてみてください。