着付け師になるには?知っておきたい資格・仕事内容・着付けスクールの選び方を紹介

「着付け師」の仕事に憧れるけれど、どうすればなれるの?と考える方もいるでしょう。お客様の特別な日を着物で彩り、喜んでいただくのは大きなやりがいです。 

この記事では、着付け師を目指すために知っておきたい資格や仕事内容、キャリアについて、ポイントを絞って解説します。

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着付け師への道:まずは知っておきたい学び方と資格の基本

着物の着付けを行う際、資格は必須ではありません。しかし、お客様に「この人なら任せられる!」と信頼していただき、お仕事のチャンスを広げるためには、しっかりとした知識と技術を持っていることの証があると心強いものです。

そのため、プロとして活躍している多くの着付け師は、国が認める国家資格「着付け技能検定」や、信頼できる民間の着付けスクールが認定する資格を取得しています。

ここでは、プロの着付け師を目指すための主な学び方について、それぞれの特徴をご紹介します。ご自身の目標やライフスタイルに合った道を見つけるための参考にしてくださいね。

①信頼の証、国家資格「着付け技能士」に挑戦する

着付け師としての確かな技術力を公的に証明したいなら、国家資格である「着付け技能士」の取得が目標の一つとなるでしょう。

これは、厚生労働大臣が指定する「一般社団法人 全日本着付け技能センター」が実施する、着付けに関する唯一の国家資格です。
検定は1級と2級に分かれ、筆記の「学科試験」と、実際に着付けを行う「実技試験」の両方に合格すると「着付け技能士」と認定されます。

受験するには一定期間の実務経験が必要で、例えば2級の学科試験を受けるには原則として2年以上、1級では5年以上の実務経験が求められます。

ただし、専門学校の卒業歴や美容師免許の有無などによって必要な経験年数は変わるため、公式サイトでの確認が大切です。

引用元
全日本着付け技能センター|活動指針
全日本着付け技能センター|試験科目と範囲
全日本着付け技能センター|技能検定情報

▼関連記事 着付け技能士の資格試験に必要な実務経験とは?どこで経験を積めばいいの?

②民間の着付けスクールで技術と資格を身につける

国家資格の他にも、たくさんの民間の着付けスクールや団体が、独自のカリキュラムに基づいて様々な認定資格を出しています。特定の流派の伝統的な技術を深く学びたい方や、将来着付けの先生として活躍したい方などにとっては、こうした民間資格も魅力的な選択肢となるでしょう。

以下に、全国の特色あるスクールと、そこで取得できる資格の例をご紹介します。

ハクビ京都きもの学院

主な認定資格: 「着付け免許」(京都きもの芸術文化協会認定)。1級(教授)~5級(準師範)など。

特徴: 1969年創立の歴史ある着物専門スクール。着付け技術だけでなく、伝統文化やマナーも総合的に学べます。
費用・期間の目安: コースにより異なります(数ヶ月~数年)。

引用元
ハクビ京都きもの学院
ハクビ京都きもの学院|ハクビのこと
ハクビ京都きもの学院ハクビの資格


鈴乃屋きもの学院

主な認定資格: 「着付講師」「着付師」(公益財団法人セイコきもの文化財団認定)。

特徴: 1971年創立で長年の実績を持つスクール。基礎科・専攻科・師範科と段階的にステップアップできるカリキュラムが特徴です。
費用・期間の目安: 各科約10万円~、各科約6ヶ月~。

引用元
鈴乃屋きもの学院
鈴乃屋きもの学院|school
鈴乃屋きもの学院|procourse

きもの着方教室いち瑠

主な認定資格: 「和装教授」「和装上級師範」など(一般財団法人 日本和装協会認定)。

特徴: 全国に多数教室を展開。初級・中級・上級と段階的に学べるコース設定で、入会金が不要なのも魅力の一つです。
費用・期間の目安: 初級コース1回500円(全8回)~、初級約2ヶ月~。

引用元
きもの着方教室 いち瑠
きもの着方教室 いち瑠|認定資格取得制度
きもの着方教室 いち瑠|いち瑠のカリキュラム

京都きもの学院

主な認定資格: 「きもの着付け」資格(一般財団法人 日本和装協会認定)。

特徴: 人に着せる技術を学ぶ専門科や、講師を目指す高等師範科など、プロを目指すための目的別コースが豊富に用意されています。
費用・期間の目安: コースにより異なります(数ヶ月~数年)。

引用元
京都きもの学院
京都きもの学院|日本和装協会認定校
京都きもの学院|プロの着付師を目指す方へ
京都きもの学院|着付師として働く

きものレディ着付学院

主な認定資格: 「着付講師認定」(3級~1級など)。

特徴: 着付け講師の資格取得に特化。無料のお試しレッスンから始められ、段階的にステップアップできる5段階のコース設定が特徴です。
費用・期間の目安: 各コース約10万円~20万円、各コース約5ヶ月。

引用元
きものレディ着付学院|コースのご案内一覧

彩華文化学院

主な認定資格: 学院認定「着付け教授」、全日本きもの振興会認定「着物コンサルタント」など。

特徴: アットホームな雰囲気の少人数個別指導を特色としています。
費用・期間の目安: きもの着付教授コースで約30万円~、約1年~。

引用元
彩華文化学院
彩華文化学院|当学院について
彩華文化学院|きもの着付教授コース

③現場での実務経験を積みながらスキルを磨く

実際の仕事の現場で経験を積みながら、着付けの技術を習得していくという道もあります。一部の美容室や写真スタジオ、貸衣装店などでは、未経験者を歓迎し、アシスタントとして働きながら研修を通じて技術を教えてくれるところもあります。

この方法の魅力は、お給料をもらいながら実践的なスキルを学べる点です。
しかし、研修の内容やレベルは職場によって様々なので、体系的な知識を学ぶには、ご自身の努力や、空いた時間でスクールに通うといった工夫も大切になるかもしれません。

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独学?それともスクール?あなたに合う学び方

「スクールに通う必要はあるの?独学ではだめ?」という疑問もよく聞かれます。独学でも着付け師になることは不可能ではありませんが、プロを目指すならメリット・デメリットの比較が重要です。

独学の一番のメリットは、やはり費用を抑えられることと、自分のペースで学習できる点でしょう。
しかしその一方で、自分の技術が正しいのか客観的に判断しにくかったり、分からないことがあってもすぐに質問できなかったり、一人で続けるモチベーションを保つのが大変だったりというデメリットも考えられます。

一方、スクールや通信講座では、体系的に組まれたカリキュラムに沿って効率的に学べ、プロの講師から直接指導やフィードバックを受けられるのが大きな魅力です。資格取得へのサポートや、同じ目標を持つ仲間との出会いも、大きな助けとなるでしょう。

特に美容師免許を持っている方であれば、着付けの資格取得で有利になる場合があるだけでなく、美容室でヘア・メイク・着付けをトータルで提供できるため、大きな強みになります。

ご自身の予算や性格、目標などを考え合わせて、最適な学び方を選んでみてください。

▼関連記事 着付け技能士の資格は独学でも取得できる?どうやって勉強するの?|独学のメリット・デメリットを比較

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後悔しない!自分に合った着付けスクールの選び方

着付け師を目指す上でスクール選びは重要です。数多くあるスクールの中から、自分にぴったりの場所を見つけるために、ぜひチェックしてほしいポイントを5つに絞ってご紹介します。

【着付けスクール選び:5つのチェックポイント】

□ 自分の目標と学習内容が合っているか?(プロ志望か趣味か、人に着せる技術中心か等)
□ 無理なく通える費用と期間か?(総費用、支払い方法、学習期間と週の回数)
□ 体験レッスンや説明会で雰囲気を確認したか?(教室の様子、講師、レッスン内容)
□ レッスンの振替など、柔軟な対応は可能か?
□ 通いやすい場所と無理のないレッスン時間帯か?

これらのポイントに加え、講師の質や指導方針、卒業後のサポート体制(プロ志望の場合)なども確認し、複数のスクールを比較して、最適な学びの場を見つけましょう。

着付け師の活躍の場と具体的な仕事内容

着付け師としてスキルを身につけた後、実際にどのような場所でその技術を活かして活躍できるのでしょうか。主な活躍の場と、それぞれの場所でのお仕事内容を具体的に紹介します。

1. 結婚式場や美容室

結婚式場や美容室は、着付け師が最も輝ける舞台の一つです。結婚式場では、新郎新婦の特別な日の和装や、ご列席される方々の着付けを担当します。

美容室では、成人式や卒業式といったハレの日の着付けから、夏祭りなどの浴衣の着付けまで、幅広いお客様のニーズに応えます。

どちらの職場でも、着崩れしない確かな技術と、お祝いの場にふさわしい華やかさが求められ、ヘアセットやメイクも担当する場合は美容師免許が必須となります。

2. デパートの着物売り場や呉服店

デパートの着物売り場や呉服店では、お客様に着物や帯、小物などを販売するのが主なお仕事です。

そのため、お客様からの試着のご要望にその場でお応えできるよう、着付けスキルと豊富な商品知識が求められます。お客様に似合うコーディネートを提案するセンスも磨かれる職場です。

3. 写真スタジオ

成人式や七五三、結婚式の前撮りなど、記念撮影を行う写真スタジオも、着付け師の重要な活躍の場です。

写真にしたときに最も美しく見えるよう、写真映えを意識した華やかな着付けの技術が求められます。多くの場合、ヘアメイクは専門のスタッフが担当し、着付け師は着付けに専念します。

4. 着付け教室の講師

お客様に着付けをするだけでなく、「教える」プロフェッショナルとして活躍する道もあります。着付け教室の講師として、生徒さんに着物を着る楽しさや技術を伝えます。

人に教えることが好きな方や、指導者としてキャリアを築きたい方にはぴったりの仕事です。

5. フリーランス・出張着付け師

店舗に所属せず、個人でお客様からの依頼を受けて活動する働き方です。お客様のご自宅や結婚式場、ホテルなど、指定された場所へ出張して着付けを行います。

あらゆる種類の着物や多様な帯結びに対応できる高い技術力と、ご自身のスケジュールや仕事を管理する自己管理能力が求められますが、実力次第で収入や働き方の自由度を高められるのが魅力です。

プロの着付け師として大切にしたいこと

お客様に心から喜んでいただくためには、着物を着せる技術以外にも、大切にしたい心構えやスキルがあります。

例えば、浴衣から振袖、留袖まで、TPOに合わせた着物に対応できる幅広い知識。長時間着ていても美しく、そして苦しくない着付けを施す確かな技術。

そして、お客様の好みや雰囲気に寄り添い、最適なコーディネートを提案できる力も、プロとして信頼されるためには不可欠です。

また、お客様の大切なお着物や、肌に触れる小物を扱うからこそ、道具を常に清潔に保つ衛生意識や、お客様のご要望を丁寧に聞き取り、リラックスした時間を提供する温かいコミュニケーション能力も、技術と同じくらい大切にしたいポイントです。

着付け師の収入とキャリアステップ

着付け師としてのお給料や収入は、働き方(正社員、フリーランス等)、経験、スキル、地域で変わります。正社員として美容室や結婚式場などに勤務する場合は、比較的安定した収入が期待できるでしょう。フリーランスとして独立する場合は、ご自身の努力や人気次第で高収入も可能です。

キャリアパスも様々で、経験を積んでより格の高い着付けを担当したり、後進を指導する講師になったり、自分のお店や教室を開いたりする道があります。美容師免許があれば、ヘアメイクと着付けをトータルで提案でき、さらに活躍の幅が広がります。

将来フリーランスや独立を考えるなら

もし将来、フリーランスの着付け師として自分のペースで活動したり、自分のお店を持ちたいという夢をお持ちでしたら、着付けの技術を磨くことと同時に、お客様にあなたの存在やサービスを知ってもらうための工夫や、個人で仕事をする上での基本的な知識についても、少しずつ学んでいくと良いでしょう。

FAQ|着付け師に関するよくある質問

着付け師を目指す方がよく持つ疑問にQ&A形式でお答えします。

Q1. 着付け師になるには、絶対に資格が必要ですか?
A1. いいえ、必須ではありません。ただ、資格は技術や知識の証明になり、就職やお客様からの信頼に繋がることが多いです。

Q2. 未経験でも着付け師になれますか?
A2. はい、目指せます。多くの方がスクールで基礎から学んだり、研修制度のある職場で経験を積んだりしてプロになっています。

Q3. 着付けスクールに通う費用や期間はどれくらいですか?
A3. スクールや内容によりますが、趣味なら数万円から、プロコースなら数十万円以上、期間も数ヶ月から1年以上と様々です。

Q4. 男性でも着付け師になれますか?
A4. はい、もちろんです。男性着付け師も活躍しており、男性用着付けなどで需要があります。

Q5. 着付け師の仕事は体力的に大変ですか?年齢は関係ありますか?
A5. 長時間立ったりお客様を支えたりするのである程度の体力は必要です。年齢制限は特にありませんが健康管理は大切です。経験と知識が重視されます。

着付けに関する資格を取得して着付け師を目指そう

着付け師は、未経験からでも目指せる、やりがいのある 仕事です。この記事が、あなたの第一歩の参考になれば幸いです。

プロとして活躍するには、正しい知識と技術を身につけ、常に学び続ける姿勢が大切です。

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