美容業界に革命を起こす! 「ALBUM」が人気サロンになるまで【槙野光昭さん】#1

2014年に美容業界を揺るがす存在として創業されたALBUM。経営者は、元カカクコム創業者としてIT業界を盛り上げてきた、株式会社オニカム代表の槙野光昭さん。IT業界で引く手数多な槙野さんが、美容業界へ参入した理由とは?

お話を伺ったのは…

株式会社オニカム代表 槙野光昭さん

大学卒業後、パソコン周辺機器のメーカーに営業職として従事し、退職後は「価格.com」の前身となるサイトを開設。2001年に会社を売却し、2014年にサロン「ALBUM」を創業。現在は、東京都心部に5店舗拡大し、幅広い層から支持を集めている。

アプリを広めたい気持ちからサロン「ALBUM」を創業

話してみると、気さくなお人柄なのが伝ってきます

――槙野さんご自身が未経験の美容業界で、サロン「ALBUM」を立ち上げた経緯をお聞かせください。

実は以前の会社を辞めてから10年間くらい仕事をせずに、子どもの世話とか家事を中途半端に手伝いながら暮らしていました。ただ、その間ずっと次の事業テーマを考えていて…。

目を向けたのが、サロンでの床屋談義。スタイリストってお客様との距離がすごく近くて、例えると家族くらい近いんですよ。この美容師のマーケティング力を活かしたいと感じたことが、美容業界に注目したきっかけです。

いろいろと調べていくと当時の美容業界はIT化されておらず、アナログなサロンが多かったんです。そこで、サロン向けの顧客管理&スタッフ教育アプリを開発し、ベースとして活用していけば美容業界はもちろん、すごいマーケティングができるのではないか?と思いました。

――アプリをベースに、ALBUMを作られたのですね。

そうなんです。僕はこのアプリを「IKINA」と名付け、美容業界へ広めるためにサロンを立ち上げました。もちろん、サロンをやるからには一流のサロンにしてやるぞという気持ちが前提のうえ。このあと、サロンを立ち上げる前段階で何度も何度も計画を練り直すことになります(笑)。

――どんな計画だったのですか?

最初は、自転車や徒歩で行けるかつ競争率が低い地方型のサロンを目指していました。ひと昔前のサロンの集客方法は駅前に店舗を構え、ビラ配りをする集客が主流。主流を抑え、まずは業界1位の売上を目指しつつアプリも一緒に開発していこうと思っていました。

ところが、協力者に相談してみると、アプリを広めるためのテストをするなら最初からサロン激戦区(表参道、青山、原宿、渋谷など)で出店するべき、とアドバイスを受けて。相談相手は当時うちの社員ですが、もともとそのエリアで活動していたスタイリスト。お前が言うならと、完全にアドバイスをもらってサロン激戦区を選んで出店する作戦に変更し、準備を進めました。

ALBUMの「低価格」「高品質」は、当時流行していたファストブランドから着想を得ていた

意欲的にファッション業界について、自ら調べていた槙野さん。「調べていくと、ビジュアルが大事なんだと気づいて。サロンをサイトに掲載する際の写真に気を遣うようになりましたね」

――どんな準備をしたのでしょう?

ALBUMに来店いただくお客様に対して徹底的に、満足のいくサービスを提供できるように、ペルソナを絞り込むことから取り組みました。

――絞り込むためにどういった方法を?

そこで参考になったのは、夜のお店(ラウンジ)。既に海外で生活していて、仕事のとき泊まるのは決まって渋谷のホテルでした。たまたま夜に出歩いていたところ、渋谷のマークシティ周辺に「2時間¥6000」の文字が! 僕はその看板と料金設定がすごく気になって気になって(笑)。お店に行ってみたら、昼に仕事をしていながら夜のお店で働いている方ばかり。その中に、元美容師が何人かいたんですよ。また、アパレル、美容部員など美容業界やファッション業界の人もいたりして、業界の裏話とかたくさん聞いて、これは勉強になると感じて日本に来るたびに情報収集の為通っていました。僕は、アパレルと美容業界は親和性があるだろうと感じていたので、その女性たちの会話はとても勉強になりましたね。

――意外なところにヒントがあるものですね!

あとは、その時々の流行を把握するために女性誌を読み漁りました。赤線を引いてワードをインプットするんです、「マニッシュ」「オフショルダー」「オーガンジー」などなど。それらの得た情報を実際にお店で教えてもらったり、最近のファッションのトレンドなどを教えてもらいました。109はもちろん、ルミネエストなどの若い女性が服を買いに行くトレンドショッピンモールや、アパレルブランドを教えてもらいました。そのブランドごとのInstagramのフォロワー数をチェックしてデータ化し、トップクラスの影響力があるアパレルブランドを絞り込み、ターゲット層を決める参考にしました。

そのときはファストファッションが流行っていて、広告手法でインスピレーションを受けたのがH&M。当時大人気だった、サッカーのベッカム選手がH&MのTシャツを着たアップの写真の上にあった文字が「¥3500」だったか?記憶は定かでないが、写真とギャップの有る低価格。それを見たとき、「これだ!」って思いました。

――ベッカムの広告を見て、「低価格」「高品質」を思いついたと…?

もともとお客様に満足いただけるように徹底的なサービスを低価格で…とは考えていましたが、広告の打ち出し方に心を奪われましたね。

「低価格」「高品質ビジュアル」を叶えつつ、さらにはスタッフへの還元率は50%を実現しています。

――「低価格」でも還元率50%が実現できる秘訣は?

低料金でも1ヶ月に1万人ものお客様がご来店いただいているため、売上が出せていることです。

以前の美容業界はオーナーが搾取しているようで、売上の10%をオーナーが貰っていいといった条件が横行していたのです。そんなことがまかり通っているのはいかがなものかと思い、そうした見えないところも変えていきたくてブランディングを徹底し、実現させています。

――ALBUMは確固としたブランディングを築き上げることで集客にも成功したようですね。

ALBUMが成功した要因の一つは、Instagramに力を入れたからです。

――どういう仕組みなのでしょう?

会社には広報担当がいて、公式アカウントALBUMを運営するほか、ALBUMで働くスタイリストたちそれぞれに、個人アカウントを運営してもらっています。

毎日ユーザーの反応をみんなにフィードバックして課題を細かく検証するようにしたら、徐々にフォロワーが増えていき、Instagramに強いと言われ始めるようになりました。

美容業界は当時IT化がやっぱり遅れていて、IT化など全く意識をしているようにみえませんでした。ヒットするサロンはSNSではなく、女性雑誌に載ること。新規参入でなかなか女性誌に掲載されないので、誰でも平等なSNSをとことんマーケティングして、実戦したところ、Instagram=ALBUMと言われるまでになりました。

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SNSを使いこなす世代がこぞって憧れるALBUM。地道なマーケティングを実戦した結果、若者が夢をかなえるために入社を望むサロンとなったようです。後編では、サロン「ALBUM」を立ち上げることになったアプリ「IKINA」について、さらにALBUMの教育面にも注目します。

取材・文/東 菜々(レ・キャトル)

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