有名サロンに合格する秘訣は、自分に合ったアピール方法を模索して表現することが必要【AFLOAT D’L スタイリスト 知紘さん】#1
一流のスタイリストを目指す人なら、一度は憧れる有名サロン。合格できるのはどんな人? そのために必要な準備って? 入社してから売れっ子になる秘訣は? 就活から入社までさまざまな疑問や不安に思うことを先輩にインタビュー。
今回は、トップクラスの技術力が集結する「AFLOAT」の「AFLOAT D’L」で、スタイリストをしている知紘さんが「AFLOAT」に合格できた経緯を深掘り!
前編では、知紘さんが「AFLOAT D’L」を目指した経緯や、合格するまでの取り組み、就職活動の際に必要なことをお聞きします。
お話を伺ったのは…
AFLOAT D’L スタイリスト 知紘さん
入社試験時期:2014年5月頃
アシスタント歴:5年
地元・静岡県から上京し、山野美容専門学校へ進学。現在は、第1希望の「AFLOAT」に入社して8年目。「くびれレイヤーカット」を武器にInstagramのフォロワーは9万人を突破し、今目が離せないスタイリストとして活躍中。※2023年9月現在
地元サロンの施術にショックを受け、都内で有名なサロン「AFLOAT」を目指す
――まずは、スタイリストを目指したきっかけをお聞かせください。
小学生の頃、カットしてもらったヘアスタイルにショックを受けた出来事がきっかけ。
地元のサロンで形を変えずに2センチくらいのカットをお願いしたところ、想像とは違うヘアスタイルにされてしまったんです。今ではしょうがないと思いますが、当時の私はとても許せなくて。幼いながらに、「他にも同じような思いをして悲しんでいる人がいるはず。同じ思いをする人を1人でも減らしたい!」と想いが芽生え、美容師を目指しました。
――その後の進路は?
高校卒業後は、都内にある山野美容専門学校に進学。卒業後はやはりネームバリューのあるサロンに就職したいと考え、先生から紹介していただいたのが「AFLOAT」でした。子どもの頃からスタイリストに憧れていた分、しっかり技術を身につけて活躍できる美容師になりたいと思っていた私にとって、都内で有名なサロンを選ぶことはマストだったんです。
――とはいえ、有名サロンの入社試験は不安ではなかったですか?
紹介いただいた先生たちからは「簡単には受からないよ」と言われていましたから、一筋縄でいくとは思っていませんでした。ただ、当時の私は怖いもの知らずな性格だったため、クラスの人たちに「AFLOAT」を受けると宣言して自分を奮い立たせ、かなり強気の姿勢でいました。
――入社試験に向けて、まずはどんな準備を?
私が在籍していた山野美容専門学校には、キャリアサポートセンターという就活についてのアドバイスが受けられるサービスがあり、そこで「AFLOAT」を受けた先輩にどんな試験だったのか、どんな準備が必要かを聞いて試験に望みました。
当時、面接時の自己アピールとして一番多かった報告が、「蝉の鳴き声をする」といったちょっとした「一発芸」を披露すること。聞いたときは驚きましたが、試験を突破するためには必要だと感じて、準備をしました。
入社試験は「印象を残す」ことを最優先に、自分をさらけ出してアピール
――アドバイスを受けて、面接ではどのような工夫を?
とにかく顔と名前を覚えてもらおうと思い、インパクト重視でお笑い芸人さんの変顔を披露しました(笑)。退室する際も真似をした芸人さんのニックネームで呼んでくださいと、グイグイアピール。その甲斐があってか、今では上層部の方々からそのニックネームで呼んでいただけるくらいになりました。
「一発芸」は、あくまでも「私」の印象を残すために選んだ方法ですから、必ずしも一発芸が必要なわけではありません。自分を存分に表現するためのアピールが大事だと思います。
――面接ではインパクトが大事なようですね。ほかに大事なことは?
基本中の基本になってしまいますが、「気持ちを真っ直ぐに伝えること」が必要だと感じました。面接官は、全部の試験を合わせるとデビューしたてのスタイリスト、活躍中のスタイリスト、幹部…と幅広い人たちから見られます。どの層にも響くように話すのは難しいですが、最低限、基本的なことができていれば、合格率は上がるはずです。
――試験を受けてみて、大変だったことは?
試験は筆記と面接を合わせて4次までありました。その中でも3次試験のサロンワークは、もともと明るい私でも精神的に参ってしまうほど難しかったです。周りにいるスタッフみんなが審査員だと思うとずっと緊張してしまい、試験期間中はいつも胃が痛かったです。
期間が明けて気持ちは軽くなりましたが、あのときもう少し声が出せたなとか、もっと笑顔を意識できたらよかったなとか、少し後悔が残りました。面接のときは数時間で緊張が解けますが、実際に働くとなるとそれ以上に自分を良く見せながら働くことが求められるので、自分の精神と周りからの印象を保つことがとても大変でした。
――そんなに大変だった試験を経験して、成長に繋がったと感じる部分はありましたか?
今と昔では教育方法は違うとは思いますが、入社時の試験期間で忍耐力と精神力を鍛えられたことは、私にとっては貴重な経験になりました。改めて、自分が働きたいサロンの方針を肌で感じられたので、覚悟の度合いが増したようにも感じます。
――では、就職活動をする際に必要なことは何でしょうか?
まずは、自分が取り組みたい分野を明確にして目標を立てておくと良いと思います。
美容師を目指しているのなら、「このスタイルが好きだからこういうブランディングをしているサロンで働きたい」「いつまでにはこのくらいのレベルに到達したいから、そのレベルに達せられるサロンを選びたい」…など、なりたい自分をイメージして、その方向性によって働き方とかサロンの選び方が決まってくると思うんです。
私は、アシスタント歴5年でスタイリストデビューしましたが、もう少し明確に目標を設定しておけば良かったかも…と思うときがあります。もちろん、アシスタントを長く経験したおかげで今の実力が兼ね備わったと感じるので後悔はしていませんが、ある程度の目標を立てることは、将来の選択肢を広げることに繋がります。いろいろ取り組むのは良いと思いますが、何よりもそのとき決断した自分を信じて突き進むと良いのではないでしょうか。
都内でも有数のトップサロン「AFLOAT」に強い気持ちで自己アピールをした結果、見事合格を勝ち取った知紘さん。5年のアシスタント期間を経て、スタイリストデビュー後、Instagramがバズり、フォロワー数が9万人を突破するまでになります。後編では、そんな知紘さんのInstagramを活用した集客術について伺います。
取材・文/東 菜々
撮影/生駒由美