エステでその人の人生が変わるような瞬間に立ち会えることがある【エステティシャン谷真由美さん】#2

大学生のときに始めたメイクがきっかけで、アトピーに悩まされた谷真由美さん。生活習慣を変えることでアトピーの悩みを解消した谷さんは、同じ悩みを持つ人にそれを伝えるためにエステティシャンを目指します。前編では、開店直後、売り上げを確保するために3000枚のチラシを撒いたエピソードや、エステティシャンとしての接客のテンプレートをつくるまでのことを伺いました。

この後編では、お客様の冷えを解消するためによもぎ蒸しを導入したこと、よもぎ蒸しの普及のために設立したよもぎ温熱セラピー協会について、そしてエステティシャンとして現場をやり尽くしたからこそ生まれたオリジナルブランド「Yomogina」について聞きました。現場をとことん知ることで、次のステップが見えてくるのだそう。

お客様の冷えを解消するためによもぎ蒸しを導入


20才の頃に、自身のアトピー性皮膚炎がきっかけで様々な治療法と向き合うことになる。大手食品メーカーの製造管理責任者時代は、化学薬品による製造工程の危険性に着目。転職した下着メーカーでは、製品を洗濯する洗剤にこそ注意を払うべきと、化学薬品を徹底排除した生活を行うことで自らの体質改善に成功。美肌を手に入れた経験から、1997年体質改善サロンを開店。2001年、一般社団法人よもぎ温熱セラピー協会を設立。オリジナルブランド「Yomogina」を扱う認定サロンは全国に250ヶ所以上。「よもぎの女王」の別名をもつ。

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――よもぎ蒸しを始めたきっかけを教えてください。

エステサロンを始めて3年後に移転したのですが、当時、体が冷えているお客様がとても多かったんです。アレルギーがある方も、痩せたいけどなかなか結果が出ない方も、その一因に冷えがあることは分かっていたので、温める施術を入れたかったんですね

そんなとき、たまたまテレビでよもぎ蒸し専門店の特集を見ました。椅子一つで体を温められるなんてすごい。「これだ!」と思いました。調べると、広島によもぎ蒸しを教えている方がいたので、すぐにその方にコンタクトをとり、同じものをまず一台譲っていただいて、サロンに導入しました。

――初めてよもぎ蒸しを体験された方はどんな感想でしたか?

日本ではまだまだ知られていなかったので、何にいいの? 直接こんなところに蒸気をあてて大丈夫なの? と不安を持たれる方が多かったです。でも、よもぎ蒸しを体験することで、冷え性が改善した、生理痛が楽になった、アトピーの改善を実感される方も多く、不妊に悩んでいたけれど妊娠される方もいました。体を温めることは、こんなに体にいいんだということを実感されて、リピートする方が多かったです。そして、お客様がお客様を呼んでくださるようになりました

――フェムケアという言葉が出てきたのはここ数年ですが、実は30年前にすでにフェムケアをされていたということですよね?

お客様が実感されるのを目の当たりにして、当時からよもぎ蒸しがデリケートゾーンのケアになるんだということは分かっていました。でも、膣ケアとして発信するには、日本の文化がまだまだ追いついていなかったんですね。なので、デリケートゾーンのケアというよりデトックスや冷え性改善として打ち出していました。VIO脱毛が浸透してきたくらいから、フェムケアも認知されてきましたよね。

エステティシャンにやさしい協会でありたい

京都でエステテサロン「彩」を経営する谷さん。

――よもぎ温熱セラピー協会はどのタイミングで設立されたのですか?

最初は、知り合いのエステサロンから欲しいと言われると、よもぎ蒸しセットをお譲りしていたのですが、使い方がわからない、お客様に提供する際にどんなことに注意すればいいのかと聞かれることが多くなり、これはちゃんと伝えないといけないなということで、2001年一般社団法人よもぎ温熱セラピー協会を設立しました。

――協会では、具体的にどんな活動をされているのですか?

どちらかというと、会社の利益よりも普及活動に力を入れています。よもぎ蒸しは、温度管理やお客様に合った施術時間の設定などが大事になってくるので、エステティシャンの方にカウンセリングの重要性などを伝えています。

いろいろな協会がたくさんありますが、わたし自身、何のために加盟金を払っているのか分からないような協会に所属することもありました。だから、よもぎ温熱セラピー協会は、年会費などは頂かずに、よもぎ蒸しを導入されるエステティシャンの方に必要なことを学んでいただいて、エステティシャンの方にやさしい協会でありたいと考えています。

エステティシャンだからこそ分かることを商品化

「協会の設立、オリジナルブランドの展開、すべてにエステティシャンとしての経験が活かされています」(谷さん)

――谷さんは、オリジナルブランド「Yomogina」も手がけていらっしゃいます。

よもぎを中心とした化粧品とデリケートゾーンの商品、あとは無添加の食品をラインナップしています。これは、エステシャンとしてお客様と関わっていく中で、冷えの原因は食べ物だなとか、お家でこういうことをしていただくとよりきれいになれるなと思ったことを商品化したものなんです。

よもぎ蒸しに使う椅子もわたしが監修しているのですが、椅子の上部がクッションになっていてすべて取り外せるので、お手入れがしやすいんです。現場でお客様と接しているエステティシャンだからこそ分かることってたくさんあるんですよね

エステティシャンだけやるのももちろん素敵な生き方だと思いますが、経験した分だけいろいろな道が開かれると思うので、ぜひ現場をしっかりと知り、現場をやり尽くしてほしいと思います。そこから必ず次のステップが見つけられます

働くということは、自己表現すること

谷さんの推活は、宝塚歌劇団花組 男役トップスターの柚香光さんとFANTASTICS 木村慧人さん。推活することで4大幸せホルモンがアップ。

――「よもぎの谷子」の別名をもつ谷さんですが、エステティシャンとして働く喜びや魅力はどこにありますか?

エステによってその方の人生が変わるような瞬間に立ち会えることがあるんです。例えば、ひどいニキビで顔を隠して歩いていた人がエステと出会ったことで悩みが消え、笑顔になって、彼氏もできて、ブライダルエステまで任せていただける。そういう瞬間に関われたときは、最高にやりがいを感じます。直接お客様からありがとうと言ってもらえる仕事って、あるようでそれほどないと思うんですよね。

もしかしたら、お客様と深く関わるのが面倒だと思う人もいるかもしれませんが、エステティシャンの仕事には、それ相応のやりがいや楽しさがあります。すごくいいお仕事だと思いますよ

――直接感謝される仕事って確かに少ないかもしれませんね。他にもエステティシャンの魅力はありますか?

フェイシャルやボディの技術は、10年休んでも忘れるわけではないので、一生続けられます。産休明けも、技術がある方はエステサロンに復帰しやすいし、わたしも60歳になりますがいまでも現役です。がんばり次第で給与面も期待できるし、独立もしやすいです

エステティシャンの魅力はいろいろありますが、わたしがいちばん楽しかったのは、自分のきれいにつながる知識が山ほど入ってくること。仕事中に研修やセミナーに参加できて、最新の美容成分や美容テクニック、美容機器についても知れる。もちろん体験もできて、自分もきれいになれるのはうれしいですよね。

――エステティシャンの仕事にはメリットがたくさんありますね。最後に、谷さんにとって働くとはどういうことでしょうか?

自分が伝えたいことや表現したいことを、仕事を通して世の中に提案する。働くということは、自己表現だと思っています。わたしが美容の道に入ったきっかけは、生活習慣を変えることでアトピーがよくなったことを、同じ悩みを持つ人に伝えたいと思ったことでした。病院に行ったり、薬をもらう前に、よもぎ蒸しを試したりエステサロンを利用してほしい。その思いをエステティシャンという仕事で表現しています。

だから皆さんも、なぜエステティシャンになりたいのか、なぜ美容業界なのか。仕事を通じて、自分の表現したいことを世の中に提案するために、その仕事をする意味や目的をじっくりと考えてみるといいと思います。

谷さんの成功の秘訣

1.自身のアトピー改善体験を伝えたいというコンセプトをブラさなかった

2.情報のアンテナを貼り、ピンときたら即行動

3.エステティシャンとしての現場をやり尽くして次のステップにつなげた

取材・文/永瀬紀子

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