理想があるなら食らいつけ!成長にはハングリーさも大切「Vardy omotesando」FUJIさん
東京・表参道に店舗を構える「Vardy omotesando」は、カラー特化型の人気サロン。FUJIさんは同店でジュニアスタイリストとして活躍しています。
前編では、FUJIさんが美容師になった理由や、「Vardy omotesando」への転職の経緯、入社後の様子を伺いました。
後編では、まもなくデビューを迎えるFUJIさんがぶつかった壁とその乗り越え方について伺います。ショートやレイヤーのカットのよさが理解できず、技術習得に苦戦したというFUJIさん。まずはショートやレイヤーの魅力を理解できるよう、情報収集などに励んだといいます。
現在、モード感のあるスタイルで人気を博すFUJIさんですが、SNSのフォロワーが増加すると同時に、指名のお客様が増えてきたそう。
今回、お話を伺ったのは…
「Vardy omotesando」ジュニアスタイリスト
FUJIさん
美容師歴3年目。中途社員として2023年に「Vardy omotesando」に入社。ブリーチワークとデザインカラーを得意とする。モードでグランジ感のある攻めたスタイルが、顧客の支持を集めている。Instagramのフォロワーは1.1万人。
努力を支えるのは「負けず嫌いの性格」
――FUJIさんは、本格的なデビューに向けて現在、練習中だと伺いました。今、課題を感じていることはありますか?
まさに今、カットで壁にぶつかっています。とくにレイヤーとショートカットに、まだ少し苦手意識がありますね。
私自身がレイヤーとショートをあまりしてこなかったので、どんなところが魅力的なのかがいまいち分からなかったんです。だからまずはレイヤーとショートの可愛さを理解するために、たくさんのスタイルを見ることから始めました。
その画像のスタイルを再現する方法を、先輩スタイリストに聞いて練習するというのを3、4か月繰り返して、なんとか克服しようとしています。今は先輩がうんざりするくらい、「このスタイルって、どうやってカットしたらいいんですか?」と、しつこく質問をしに行っていますね(笑)。
――なぜモチベーションを維持できるのですか?
分からないことがあったり、他の人ができているのに自分はできないことがあったりするのが嫌なんです。あとは、「いつも1番にゴールしたい」と思っています。だからクラスで最初に内定を取れるようにがんばっていたんですよね 。
もしかしたら、とても負けず嫌いなのかもしれません。
――いつも前向きに仕事に取り組むFUJIさん。やる気がなくなるときもありますか?
モデルさんが見つからずテストが受けられないときや、頑張って練習しても自分の成長が感じられないときは、モチベーションが下がることもあります。
でも「自分の機嫌は自分で取る」と決めているので、大好きなお寿司を食べて、いつもよりちょっといいコスメを使って丁寧にお化粧して、元気を100%チャージするようにしています。自分をいたわっているうちに、だんだん元気が出てきて、徐々に「悔しい!」という気持ちが出てくるんですよね。そうなったらしめたもの。いつもより早めに出勤して、練習に励みます。
新人時代はできないことが多いので、落ち込む機会も多いですよね。だから気持ちの切り替えの方法を知っておくことも、すごく大切だと思います。
自分の好きを追求したら生まれた「好循環」
――接客で意識していることを教えてください。
自信を持って接客することを意識しています。入社したばかりの頃は、お客様にクロスを掛けるだけでも緊張するもの。でもその緊張を出さずに、「できてる風」を演じるようにしています。
おどおどして緊張した感じで接客されたら、お客様は自分の髪を預けるのが不安になりますよね。安心して施術を受けていただくためにも、自信満々なふるまいをするようにしています。形から入っていくと、いつの間にかそれが板についてくるということもあるんじゃないかなと思いますね。
――FUJIさんは、モードなヘアの再現がお得意とのことですが、自分の強みはどのように見つけましたか?
元々好きな、モードでかっこいいスタイルを追及した結果、それが自分の強みになったように思います。
タトゥーを入れたり、黒髪のロングにしたり、色の濃いリップをしたり、グレーのカラコンをしたりと、自分の好きな恰好を追求していたら、それが私自身の名刺代わりのようになっていったんです。
――好きなものを追求したら、自然と今のスタイルになったのですね!
SNSに自分の服装などを投稿するようになってから、私と好みの近いお客様がたくさん来店してくださるようになりました。自分が好きなヘアスタイルの施術のほうが得意なので、「SNSで発信をする→私と好みが似ている方が来店する→得意な施術を提供できる→お客様に満足してもらえる」という好循環が生まれたように思います。
「どうやったらうまくなれるか」を考え抜いた新人時代
――新人時代はFUJIさんにとってどんな経験でしたか?
高い水準で仕事をしている先輩方と自分を比べて、いかに自分が未熟で何もできないかを知る時間だったように思います。私は1社目を経験してから今のサロンに来たので、「私、できるかも」と天狗になっていました。しかし今のサロンの先輩方の圧倒的な技術を見て、自分がおごっていたことに気づいたんです。
新人時代は、自分が何もできないことを自覚したうえで、「どうやったらできるようになるのか」を考える訓練の時間だったように思います。
――最後に、これから美容師を志す人にアドバイスをお願いします。
これまで美容師として働いてきた経験上、「自我が強い人」の成長スピードが速いような気がしています。
たとえば、アシスタントとして働いているときに、先輩から「もうフォローに入らなくていいよ」と言われたら、多くの人は下がってしまうと思うんです。でも私はうまくなりたいので、先輩に「やらせてください!」と食い下がるようにしています。そのほうがチャンスも増えるし、絶対にうまくなるスピードが速いと思うんですよね。
「うまくなりたい」「1番にデビューしたい」など理想があるなら、先輩の仕事を奪い取るくらいの気持ちで仕事に臨んでもいいんじゃないかと思うんです。がむしゃらすぎて、私もたまにキャパオーバーしてしまいますが、「どんな仕事も自分がやるんだ!」と強い気持ちを持っていることは大切だと思います。
FUJIさんの新人時代が充実した3つのポイント
1. 壁にぶつかったときは、自分で自分の機嫌を取りながら練習に励んだ
2. 自分が苦手なことやできないことを自覚し、どうやったら上達できるかを考え抜いた
3. 常にハングリーに仕事に臨んだ
モードでかっこいい見た目とは裏腹に、ハングリーで熱い心を持ったなFUJIさん。多くの人に支持されるFUJIさんのスタイルの秘訣を伺い知ることができた取材でした。これから美容師として活躍を目指す方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。