ロング推しはブルーオーシャン!「ZA/ZA AOYAMA」斉藤弘之さんのブランディング術

斉藤弘之さんは「ZA/ZA AOYAMA」でサロンマネージャーとして活躍している人気美容師。ショートやボブをコンセプトに据える美容師が多いなか、斉藤さんは「ロングヘア」を前面に打ち出しています。

多くの女性の共感を生んでいるのは、ロングならではのネガティブ面をプラスに変える独自のアプローチ。「お客さまの声から自分のスタイルを生み出すことが重要ですね」という、斉藤さんの言葉の背景には、業界を冷静に見つめる観察眼や、刺さりやすいネーミングを生み出す発信術がありました。前編では、そのブランディング方法に迫ります。

今回お話を伺ったのは…

斉藤弘之さん

ZA/ZA AOYAMA プレミアムスタイリスト/サロンマネージャー
2005年に美容学校を卒業し「ZA/ZA」に入社。2009年のスタイリストデビュー後、2015年頃にはロングヘアをコンセプトに設定。2020年頃からInstagramで「ロングのお悩み解消」を発信して多くの方から支持を集め、2022年4月時点でフォロワー数は1.5万人。
Instagram:@hirosaito_zaza

ロングをウリにする美容師は少ない。その2大要因とは?

高い技術力により生み出される、美しいロングヘア

――ショートやボブをコンセプトに設定する美容師が多いなかで、斉藤さんはロングを前面に打ち出しています。まずは、その理由を教えてください。

ロングを武器にしている美容師が、ほとんどいなかったからです。正直にいうと、現在のスタイルを取り入れた2015年当初には、ほとんど手応えがありませんでした。それでもホームページにアップしていた作品をきっかけに、ご予約をくださる方が月に2人くらいはいて「少しでも反応があるなら可能性を追いかけよう」と続けた結果、本格的にInstagramをスタートした2020年頃から成果が表れ始め、現在に至ります

――そもそも、ロングをコンセプトに設定する美容師はなぜ少ないのでしょうか?

大きく2つの理由があり、まず1つ目は「ヘアスタイルを作っている!」という実感があまりないからです。ショートやボブを切っているときには、彫刻を削っているような独特の感覚がありますが、ロングは美容師ならではのこのクリエイティブを感じられません

ようするに、ロングよりもショートやボブを担当している施術のほうが楽しい。短いスタイルを売りにする美容師がこれだけ多い背景には、この気持ちがあると思います。

――なるほど。とても興味深いお話です。続いて2つ目の理由を教えてください。

2つ目の理由は、ネガティブな面のほうが先行するからです。ロングヘアというスタイルの印象は「セットが面倒くさい」「乾かすのに時間がかかる」「シャンプーをたくさん使うからお手入れが大変」などのマイナスの感情が湧く方が、おそらく多いことでしょう。

一方、ショートやボブは「スタイリングが楽」「乾かすのが早い」「頭の骨格が綺麗に見える」など、プラス面を見つけることが簡単です。この大きく2つが、ロングをコンセプトに打ち出しにくい理由ですね。

ロングのマイナス面をプラスに変えた、「お悩み解消」という打ち出し方

丁寧なヒアリングも高いリピート率を誇る理由

――確かに、どちらかというとネガティブな印象を持ってしまいますね。斉藤さんは、この避けられがちなロングをどのように強みに変えたのでしょうか?

ロングのネガティブな一面を利用して「そのお悩みはこうすれば解消できるよ!」という主題で情報を発信しました。「ロングというデザインを売る」のではなくて、「すでにロングの人の悩みを解決する」というアプローチです。

現在では「コテ巻きが簡単で朝が楽になるロングヘア」「結んでも可愛いヘア」「ペタンコ解消のふんわりレイヤーカット」「小顔に見せるおくれ毛」の4つを前面に打ち出しています。

――それぞれについて詳しく教えてください。

まず「コテ巻きが簡単で朝が楽になるロングヘア」は「セットが面倒くさい」という悩みを解消するスタイルです。実はロングヘアには、ショートに比べて寝ぐせが付きにくいという大きなメリットがあります

「本当は朝のセットが楽」というこの長所は、思いのほか多くの方が見落としているポイントです。そこでInstagramでは、このメリットに「簡単なコテ巻きで、もっと可愛くなれます!」という魅力を足して打ち出すことにしました。日頃の投稿では、コテ巻きの解説動画もアップしていて「簡単!」「参考になる」など高評価をいただいています。

――続いて「結んでも可愛いヘア」は、どのようなスタイルでしょうか?

これも、セットについてのお悩みを解消するスタイルです。ロングの方のなかには、「面倒くさいから結んでしまおう」と考える方が多くいらっしゃいます。その気持ちはよく分かりますが、そのままではせっかくのロングがもったいない。

そこで、私は「結んだときに、下ろしているときとは違う可愛さが引き出されたら嬉しくありませんか?」という発信をしています。結ぶ高さによる印象の違いなどを解説した投稿が人気ですね。

レイヤーカット&おくれ毛で「ロングなのに小顔」を実現!

お客さまの心を掴んでいる、女性らしく柔らかなスタイル

――それでは、3つ目の「ペタンコ解消のふんわりレイヤーカット」について教えてください。

この髪型は「ロングにより顔が大きく見えてしまう」という問題を解消するスタイルです。施術では、頭の上のほうだけをカットする「レイヤーカット」により、髪全体をふんわりとさせていきます。輪郭の外側のこのフワフワ感が小顔を作る秘密。これが、お顔をキュッと引き締める効果を生んでいるんですよ

ロングの方は髪の重さにより、フワフワではなくペタンとなってしまいがちで、この状態ではお顔が大きく見えてしまいます。ロング×レイヤーカットはウリにしている美容師が本当に少ないので、私の大きな武器のひとつですね。

――最後に「小顔に見せるおくれ毛」とは、どのようなスタイルでしょうか?

これも、小顔のお悩みを解決するスタイルです。ロングでは、ショートにはない「おくれ毛(顔まわりに落ちる髪)」を作りだすことができます。このちょっとしたワンポイントが、小顔に見せるおくれ毛。輪郭の変化を生みだす、ロングならではの魅力のひとつです

――斉藤さんはロング推しで勝負をしていますが、お客さまのニーズの高さで考えるならショート・ボブ・ミディアム・ロングは、どのような順番になるのでしょうか?

私の経験でいうと「ミディアム、ロング、ボブ、ショート」の順でニーズが高いと思います。街の風景を思い浮かべてみても、こう感じる方がきっと多いことでしょう。

前半でもお話しましたが、美容師はどちらかというと短いスタイルをコンセプトとして打ち出したがります。ようするにボブやショートの分野は、ニーズが少ないところに多くの美容師が集まっているレッドオーシャンの状態です

一方ロングには、まだそれほど強いスポットライトが当たっていません。このポイントもロング推しの強みだと思いますよ。

 


美容師のブランディング術3POINT

「ZA/ZA AOYAMA」斉藤弘之さんから聞いた、美容師のブランディング術をまとめると以下の3つが鍵でした。

1.周りの美容師が掲げていないコンセプトを設定する

2.そのスタイルのマイナス面をプラスに変えて武器にする

3.キャッチ―な名前を付けて、発信する

後編では、Instagramの発信術にフォーカス。また、組織人としてサロンで働く魅力にも迫ります。後編もぜひチェックしてください!

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Salon Data

ZA/ZA AOYAMA
住所:東京都渋谷区神宮前5-51-8 ラ・ポルト青山9F
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