美容師の転職は難しい?おすすめの転職先と活かせるスキルを紹介
美容師から転職を検討している人のなかには、ほかの業種への転職は難しいのではないかと不安に思う人も少なくないでしょう。また、転職することで働き方や職場環境が改善されるのか、疑問に感じる人もいるかもしれません。
本記事では、美容師から他業種へ転職する際に活かせるスキルや、美容師として培った経験や能力が活かしやすい職種や転職先について紹介します。転職の際におすすめの民間資格も紹介しているため、美容師からの転職を検討している人は、ぜひ参考にしてください。
美容師の転職は難しい?
美容師だからといって、ほかの業種への転職が難しいということはありません。確かに美容師として習得してきたカットやカラーなどの技術は、ほかでは活かしづらいかもしれませんが、それ以外にも活かせるスキルを美容師はたくさん持っています。
他業種でも活かせる美容師のスキル
美容師として身に付けたスキルのうち、他業種でも活用できるものを紹介します。
いずれのスキルも一朝一夕では身につかないため、すでにそのスキルが身に付いていて業務に活かせるということは、他業種に転職する場合にも大きなアドバンテージとなるでしょう。
コミュニケーション能力
幅広い年代の方が利用する美容室での接客で培ったコミュニケーション能力は、他業種でも役立ちます。
特に美容師は1対1でお客様と接する機会が多く、施術に関する専門的な会話だけでなく、幅広い話題での雑談にも柔軟に対応する能力が求められます。
さらに、お客様にリピートしていただくためには、高い技術力はもちろんのこと、施術中に適切な会話や雰囲気づくりを通じて居心地の良い空間を提供できることも重要です。
これらのことから、美容師は日々の業務の中で、汎用性のあるコミュニケーションスキルを身につけていると言えるでしょう。
接客マナー
あいさつや言葉遣い、身だしなみへの配慮などの基本的な接客マナーは、美容師以外の接客業でも役立ちます。
特に美容師は、長時間にわたってお客様と接する機会も多いです。そのため、適切な距離感を保った言葉遣いや、雰囲気から会話のタイミングや量を見極めるなど、お客様の快適さを常に意識したマナーが必要です。
このように細部にまで気配りできるスキルは、対人サービス業全般で高く評価されるでしょう。
ヒアリング能力と提案力
お客様の言語化しきれていないイメージや要望もしっかりと聞くヒアリング能力と、それを踏まえた提案をわかりやすい言葉でお客様に提示する提案力は、美容師として働くなかで日々磨かれています。
お客様の悩みや要望をくみ取り、改善方法を提示するスキルは、幅広い業種で活かせるスキルです。
忍耐力
美容師は、国家資格を取得するまでの期間と、アシスタントとして就職してからスタイリストとしてデビューするまでの期間、どちらも長期にわたる努力と忍耐を要します。これらの過程で培われた粘り強さは、他業種でも高く評価されるでしょう。
マネジメント能力
店長やマネージャーなどといった立場で店舗運営を経験していた場合、マネジメントスキルも身についていることでしょう。
また、運営に直接関わる立場ではないスタイリストの場合でも、施術がスムーズに進むように段取りを組んだり、アシスタントに指示を出したりすることで、管理能力が身に付くシーンが少なからずあるはずです。
これらの業務が円滑に進むよう管理・調整する能力は、どんな職場でも高く評価される普遍的なスキルとして歓迎されます。
美容師からの転職におすすめの職種・転職先
美容師として身に付けた経験・スキルが活かせる職種や転職先として、下記の5つを紹介します。
・カット・カラー専門店
・アイリスト・アイブロウリスト
・ネイリスト
・エステティシャン
・美容部員
今回紹介する職種・転職先はいずれも、お客様の「きれいになりたい」という気持ちをサポートするような美容関連の仕事です。
どのようなスキルが活かせる職場なのか、順番に解説します。
カット・カラー専門店
カットのみまたはカラーとシャンプーのみの施術を行うため、回転率が高く、その分スキルアップできる環境です。
カット・カラーのどちらかに苦手意識がある場合でも、得意な方に特化した専門店を選ぶことで、美容師免許を活かして仕事ができます。
予約対応などのサロン業務はない店舗がほとんどとなっているため、その点も「働きやすい」と人気です。
また、カット専門店の場合はシャンプーやカラーなどをほとんど行わないため、手荒れの心配を減らせるというメリットもあります。
アイリスト・アイブロウリスト
アイリストはまつエクなど目元周りの施術、アイブロウリストは眉毛への施術を行う技術者です。両方のサービスを提供しているサロンも少なくありません。
アイリストは美容師免許が必須となっているため、資格を活かして働ける転職先を検討している人に特におすすめです。
未経験からアイリストになる方法やおすすめの民間資格については、下記の記事を参考にしてください。
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ネイリスト
美容師として培ってきた、手先の器用さ・提案力・雑談力が活かせる転職先です。
お客様が特に希望のデザインを決めていない場合、好みやリクエストを聞いてデザインを提案します。この際に、コミュニケーション能力や提案力が活かせるでしょう。
また、ネイルサロンのなかには、未経験者の採用を行っているケースも少なくありません。未経験からネイリストになる方法については、下記の記事を参考にしてください。
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未経験でネイリストになるには?未経験OKのサロンを探すポイントや探し方を紹介
エステティシャン
エステティシャンは、フェイシャル・ボディ・脱毛など、髪の毛以外の全身美容のための施術を行います。
その際、お客様との会話からライフスタイルや悩みを聞き出すカウンセリングスキルは、エステティシャンの仕事でも、とても重宝されるスキルです。さらに接客スキルや提案力・雑談力も活かせるでしょう。
ヘッドスパの施術を提供しているサロンでは、美容師免許を持っていることが採用条件になっている場合もあるため、美容師の資格と経験が役立ちます。
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美容部員
美容部員はデパートやドラッグストアなどで、化粧品類の販売やアドバイスを行う職業です。お客様の肌やメイクに関する悩みを聞き、その内容に合った商品を提案したり、実際にお客様にメイクを施しながら使い方を説明したりします。
このお客様の肌やメイクに関する悩みを聞く際に、美容師として培われたカウンセリングスキルや接客力、提案力が活かせるでしょう。
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美容師から他業種へ転職するメリット
美容師から他業種へ転職するメリットを紹介します。転職する先や職場環境による差も多少ありますが、主に下記のようなメリットが期待できるでしょう。
収入アップが見込める
転職によって、より高い固定給や充実した賞与・インセンティブ制度を持つ職場に移ることで、収入アップが見込めます。
さらに、現在の職場で厚生年金などの社会保険に未加入の場合、これらが適用される職場へ移ることで、将来的な経済面での不安も軽減できる可能性があります。
プライベートな時間が増える
美容師は業務時間以外にも、スキルを磨くために練習時間を確保したり、アシスタントの練習に付き合ったりすることで、拘束時間が長くなりがちです。また、休日でも美容コンテストへの参加や研修などの予定が入ることもあります。
しかし、拘束時間が短く休みが充実している職場を転職先に選ぶことで、自分の時間を増やせる可能性があるでしょう。
身体の負担が軽減できる
シャンプーやカラー剤などの刺激物による手荒れや、長時間の立ち仕事による腰痛など、身体に負担を与えていた要因から離れることで症状の改善が期待できます。
また、休日が少なく拘束時間の長い環境を離れることで、身体をしっかりと休めるための時間の確保もできるようになるでしょう。
職業復帰のハードルが比較的低い
美容師は他業種に転職した後でも、また美容師に戻ることも可能です。
実際の美容師求人でも、「ブランクOK」と記載されているものは少なくありません。美容師の国家資格を持った上で実務経験があれば、再就職のハードルは比較的低いと言えるでしょう。
ただし、美容師の職を離れている間に衰えた技術を取り戻したり、トレンドの把握をしたりするなどの努力は求められます。
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美容師の転職を有利にする資格
転職先によっては、持っていることで有利になる可能性がある資格も存在します。希望する転職先に合わせて資格取得を検討してみても良いでしょう。
ここでは、美容関連の転職におすすめの資格を5つ紹介します。
日本まつ毛エクステンション認定機構 技能検定試験
この資格はまつエクに関する知識と技術を持っていることを証明できる資格で、アイリストへの転職を検討している人におすすめです。
基礎的な技術や知識が問われる「安全技術師」から始まり、3級・2級・1級・認定講師と等級が上がります。
いずれの等級でもまつエク装着時の正確性など施術技術のほか、用具の安全な使用や衛生管理についても認識が求められます。
2級ではサロンワークの技術・知識も問われ、さらに1級ではトップデザイナーとしての安定した技術力が問われます。
技能検定試験 | JECA一般社団法人日本まつ毛エクステンション認定機構
ネイリスト技能検定
ネイルケアやネイルアートに関する知識と技術を持っていることを証明できる資格です。ネイリストへの転職を検討している人におすすめの資格ですが、転職後にスキルアップのために取得を目指しても良いでしょう。
3級は義務教育を修了していることのみが受験の条件ですが、2級の場合は3級、1級の場合は2級を取得していることが受験の条件です。
3級はネイルケアやネイルアートの基本的な技術と知識、2級ではサロンワークとして通用するレベルのネイルケアやリペアなどの知識が問われます。さらに1級では、ネイリストとしてトップレベルの技術・知識を有していることが求められます。
公益財団法人日本ネイリスト検定試験センター:ネイリスト検定試験とは
AJESTHE認定エステティシャン
AJESTHE認定エステティシャンは、エステに関する基本的な知識と技術を持ち、適切な施術を提供できる人に与えられる資格です。
試験は下記3つの条件を満たすことで受験できます。
・エステティシャンセンター試験に合格していること
・協会認定校で指定のコースを修了、または1年以上の実務経験があること
・日本エステティシャン協会に正会員として在籍していること
一般財団法人日本エステティック協会:AJESTHE認定エステティシャン
日本化粧品検定
日本化粧品検定は、化粧品の成分・効果効能・正しいメイク方法など、美容や化粧品に関する知識があることを証明できる資格。特に美容部員やメイクアップアーティストへの転職を検討している人におすすめです。
2級では美容皮膚科額を中心とした化粧品の選び方など美容に関する知識、1級では2級までの内容に加え化粧品の安全性や関連する法律の知識なども問われます。
色彩検定
色彩検定は色の心理効果や配色イメージなど、色彩に関する知識を持っていることを証明できる資格。特にヘアカラーを行うカラーリストやネイリスト、美容部員への転職を検討している人におすすめです。
この検定は色彩についての理解度によって、3級・2級・1級・UC(色のユニバーサルデザイン)級の4段階に分かれており、何級からでも受験可能です。
美容師からの転職を成功させるコツ
転職してから「思っていたのと違う」という後悔をしないためにも、自分にとってより良い職場へ就職するためにも、転職のための準備は欠かせません。
具体的にどのような転職準備が必要かを紹介します。
辞めたい理由を明確にする
今の働き方に対する悩みや不安を整理し、辞めたい理由を明確にすることは非常に重要です。
その際に、転職すること自体を目的にするのではなく、実現したい将来を考え、その実現手段のひとつが転職だと認識すると良いでしょう。
もし辞めたい理由を突き詰めた結果、美容師としての仕事ではなく職場に対しての不満が大きい場合には、職場や働き方を変えるという選択肢もあります。
美容師はサロンに雇用されて働く以外にも、面貸しやシェアサロンを活用するなど、さまざまな働き方があります。そのうちの一例として、業務委託美容師として働くという選択もあります。
業務委託美容師の働き方に興味がある人は、下記の記事も参考にしてください。
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自分の強みを明確にする
自分にどのような強みがあるかを明確にすることで、転職の際に履歴書や面接で伝える内容の整理になります。もちろん、美容師経験から培ったスキルも十分強みになるでしょう。
希望する転職先で求められるスキルや人柄に対して、自分の強みのうち、どの部分をアピールすることが有効か見極めることは、効果的な自己PRにつながるでしょう。
転職先の業界・会社の特徴を調べる
あいまいなイメージだけを頼りに転職すると、働きはじめてから「こんなはずではなかった」と感じる、いわゆるミスマッチの原因になりかねません。
転職を希望している業界と企業やサロンなどを徹底的にリサーチすることで、就業後のギャップを減らすことに役立つでしょう。
また、企業やサロンについて詳しくなることで、志望動機などに、より具体的なエピソードを添えることができます。
業界特化型の求人サイトを活用する
求人を探す際に、インターネット上で手軽に検索できる求人サイトを利用する人は少なくないでしょう。美容に関する職種など業界を絞って転職先を探す場合は、その業界に特化した求人サイトの利用がおすすめです。
特化型の求人サイトは、幅広い求人を取り扱っているサイトに比べ、より詳しい情報が掲載されていたり、検索条件も業界に適した項目が整っていたりするケースが多いです。そのため、自分の希望や経験に合った求人を効率的に探せるでしょう。
美容関連の求人を探すなら「リジョブ」がおすすめ
美容関連に特化した求人サイト「リジョブ」には、3万件以上の美容・ヘルスケア業界の求人が掲載されています。そのため、豊富な求人のなかから、自分に合ったものが探せます。
美容・ヘルスケア業界に特化しているため、幅広い職種を掲載している求人サイトでは見かけないような検索条件も充実しています。
また、会員登録をした上で希望条件を入力しておくことで、企業からのスカウトや新着求人のお知らせを受け取ることが可能です。
美容師が求人へ応募する際のポイント
美容師経験を活かして転職する際に気をつけたい履歴書・面接のポイントについて紹介します。
履歴書のポイント
履歴書を書く際には、下記の基本的なマナーを守って作成しましょう。
・ほかの職場に応募した際の履歴書は使い回さない
・消せるボールペンや修正テープは使わない
・学校名・会社名・免許・資格名は正式名称で記載する
・書き終わったら誤字・脱字がないか見直す
・書き損じた場合は新しく書き直す
焦ると書き方が雑になりやすいため、時間に余裕を持って、丁寧な字で落ち着いて書く必要があります。
また、美容師として担当していた業務の内容などを記載する際は、業界特有の用語などは避けるよう配慮しましょう。
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美容師の履歴書の書き方を詳しく解説|志望動機の例文やアピール方法、注意点や面接のポイントも紹介
面接のポイント
面接は美容師として培った接客スキルやコミュニケーションスキルを印象づける場になるため、ハキハキとした受け答えが重要です。
また、面接の際の服装・髪型・アクセサリーは派手なものは避け、清潔感のある身だしなみを心掛けましょう。
詳しい面接のマナーや流れについては、下記の記事を参考にしてください。
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美容師の面接|面接の流れやマナー、質問の意図や回答のポイントを紹介
美容師の転職は難しくない!これまでの経験とスキルを活かそう
美容師として培ってきたコミュニケーション能力や提案力などは、ほかの業種でも必要とされる非常に重要なスキルです。特に美容関連の職場では、基礎的な接客マナーや美容に関する知見があることを期待し、「元美容師歓迎」として募集している求人もあります。
美容師からほかの職種への転職は難しいかもしれないと考えるかもしれませんが、そんなことはありません。紹介した職種で少しでも気になるものがあったら、実際にどのような求人があるかチェックしてみてください。
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