業務委託の美容師とは? 業務委託で働くメリットと注意点を紹介
美容師として活躍する人のなかには、サロンに就職してスタイリストとして働くほかに、「業務委託」を選ぶ人がいることをご存じですか?業務委託は、フリーランスや個人事業主と呼ばれる立場になり、サロンと契約を結んだうえで勤務する方法の一つです。
今回は美容師の働き方の一つである業務委託について紹介します。雇用契約やメリット、注意点もまとめているので、美容師を目指す人や美容師の働き方について知りたい人は、ぜひ最後までチェックしてください。
業務委託の美容師とは? 雇用契約や面貸しとどこが違うの?
業務委託契約と雇用契約のもっとも大きな違いは、雇用契約の場合、そのお店の社員として雇用されるのに対し、業務委託契約ではサロンという事業主と美容師という個人事業主の事業者同士の契約になるという点です。
業務委託契約で働く場合、委託元であるサロンにある施術台や備品を使って、お客様へ施術を提供します。給与は報酬となり、金額はお客様が支払った料金に対して、契約で取り決めた範囲で支払われる仕組みです。
面貸しとの違いとは?
面貸しとは、サロンにある鏡や施術台などを間借りし、その範囲で施術を行い報酬を得る働き方です。業務委託では備品の使用が許可されていますが、面貸しの場合は自分で用意した物を使用し、お客様も自分で探す必要があります。
面貸しでの報酬は、売上に対してのパーセンテージで支払われる歩合制と、利用時間に対しての利用料を支払う時間制の二つです。
面貸しについてはこちらのページでまとめているので、この機会にあわせてご覧ください。
面貸しとは? 業務委託やシェアサロンとはどこが違うの? 美容師とオーナーのメリットと注意点を紹介
業務委託で働くメリットとは?
サロンに勤務する働き方ではあっても、より自分らしく働けるのが業務委託という雇用形態。では、具体的にどのような部分にメリットがあるのでしょうか。
1. 働いた分だけ収入UP
業務委託では、美容室に支払う費用以外のすべての売上が自分のものになります。売上が上がれば上がるだけ収入も増えるため、努力や頑張りが目に見えてわかるのがメリットです。
求人サイトのリジョブの調査によると、2024年1月現在の業務委託の給与はこのような結果でした。
月給下限 | 月給上限 | 平均 | ||
アシスタント | 266,556円 | 546,670円 | 406,613円 | |
スタッフ | 269,562円 | 441,368円 | 355,465円 | |
店長(候補) | 293,596円 | 912,430円 | 603,013円 |
一方、同調査による正社員の給与は下表のとおりです。
月給下限 | 月給上限 | 平均 | |
アシスタント | 202,215円 | 265,489円 | 233,852円 |
スタッフ | 231,753円 | 410,359円 | 321,056円 |
店長(候補) | 282,990円 | 613,346円 | 448,168円 |
このように正社員と給与を比較してみると、業務委託という働き方は、努力次第で収入を大きく増やせることが一目でわかるでしょう。
2. ライフスタイルに合わせて働ける
勤務時間や出勤日、休日などを自分で決められるのも業務委託のメリットです。自分のライフスタイルにあわせて働くことができるので、心身のバランスをたもつこともできます。
契約時間外の残業をする必要がない、自分以外のお客様の対応をする必要がない場合もあるため、契約によっては業務内容がかなりシンプルになると考えてよいでしょう。
3. マンツーマンでしっかり対応できる
業務委託での働き方は、アシスタントをつけず美容師ひとりでお客様をお迎えし、接客するのが一般的。マンツーマンのため接客のかけもちがなく、時間をかけてていねいな施術が行えるのもメリットです。
業務委託で働く際の注意点とは?
業務委託の場合、雇用契約の美容師とは異なる扱いとなりますので、契約内容によってはサロンの機材や備品を使えない可能性もあります。売上から経費として備品代などの出費が必要となる点に注意が必要です。
また、自由である反面、労働基準法が適用されないため、長時間労働や業務・通勤中の事故やケガなどの保障もありません。さらに売上管理や確定申告などの事務作業を一人でこなすことに、たいへんさを感じることも。
ここでは、さらに考えられる業務委託の注意点を紹介します。努力の分だけ収入が上がる一方で増える手続きや、体調不良などによって働くことができない場合に考えられることを解説するので、業務委託を検討する人は必ず目を通しておきましょう。
1. 仕事が増える|確定申告や保険手続きなど
一つめは、確定申告や国民健康保険など、各種手続きを自分で行わなければならない点です。これらの手続きを失念していると、収入の申告や所得税の納税、国民健康保険を使っての医療機関の受診ができません。
雇用されていた時は会社が行っていた手続きであり、知らない人の多い手続きですが、業務委託で働くときはこれらの手続きを自分で行う必要があることを念頭に置きましょう。
2. 収入が不安定になる可能性がある
二つめは、自由な働き方ができるからこそ収入が不安定になりやすい点です。業務委託は一人当たりの売上に対してパーセンテージを設け、施術を行う回数で報酬が上がる仕組み。
雇用されていたときのように固定給ではないので、施術回数によっては収入が不安定になる可能性があります。
3. スキルアップの機会が減る
三つめは、先輩との関係性をつくる機会がないことから、スキルアップの機会が減る点です。
サロンで勤務しているときは、先輩の技術を近くで見ることができたり、勉強会や研修会などに参加できたりと、さまざまなスキルアップのチャンスがあります。
しかし業務委託にはそのような機会はなく、自分で勉強したり、勉強会があれば自主的に参加したりするなど工夫しながら技術を高めていかなければなりません。仕事を多く入れてしまえばスキルアップの時間を減らすことにもつながるので、時間調整に難しさを感じることもあるでしょう。
4. 契約書は忘れずに作ろう!
サロンと業務委託契約を結ぶときは、一般的に契約書を交わしてから業務に入ります。しかしサロンによっては、口頭の打ち合わせのみで契約を交わすところも。契約書をきちんと交わしていないまま仕事をしてしまうと、トラブルが発生した際に解決が難しくなる可能性があるので、必ず契約書を作成してください。
契約書には、業務委託契約を交わすうえで必要なことを必ず盛り込みます。サロン側と美容師側で抑えておきたい内容は異なりますが、美容師側が必ず入れておきたいのは、大きく分けて「報酬などお金に関すること」「勤務時間に関すること」「業務に関すること」の3つです。
契約書のひな形はサロン側が持っている場合も多いですが、インターネットからダウンロードして使うこともできます。作成した契約書は、可能であれば弁護士に目を通してもらい、双方が納得したうえで契約を交わすようにしましょう。
自分にぴったりなサロンを探すには?
業務委託としてサロンで働く場合、できれば自分の理想を叶えられるような場所で働きたいもの。しかし、どのように探せばぴったりのサロンが見つけられるのかわからない、といった人も多いでしょう。そのようなときは、これから紹介する方法を試してみてください。
1. エージェントを利用する
自分のなかでどのようなサロンでどのように働きたいのかが明確なら、転職エージェントを利用してみましょう。業務委託はもちろん、フリーランスに強いエージェントを選ぶことで、自由度の高いサロンと出会うことができます。
転職エージェントは民間の人材会社が運営しているので、気軽に利用できるだけでなく、転職への手厚いサポートが受けられるのも大きな特徴です。
2. 求人サイトで探す
業務委託やフリーランスに強い求人サイトの利用もおすすめです。求人サイトの場合、理想的なサロンを見つけやすいよう、詳細な検索条件を設定していることも。雇用形態に限らず、希望する休日の日数などを絞り込めるので、理想に近いサロンを見つけられます。
リジョブではこれらの項目以外にも、インセンティブ・ボーナス・賞与の有無や開業支援など、業務委託で働く人や将来的に独立を目指す人にもうれしい項目が豊富です。
美容師が履歴書で押さえておきたいポイントとは?
転職エージェントや求人サイトを利用し、自分にぴったりのサロンを見つけた後は、業務委託契約につなげるための応募書類を作成しましょう。
履歴書の作成ではビジネスマナーを押さえ、社会人らしい内容にまとめることが大切です。しかし、具体的にどのようなマナーがあるのか、忘れてしまった人もいるでしょう。
モアリジョブでは美容師の履歴書の書き方についてまとめた記事も公開中です。とくに迷いやすい志望動機の書き方にも触れているので、この機会にぜひチェックしてみてください。
美容師の履歴書の書き方を詳しく解説|志望動機の例文やアピール方法、注意点や面接のポイントも紹介
サロン面接で好印象を与えるには?
面接日が決まったら、次は面接対策を行いましょう。美容師が業務委託として働く場合は、会社の代表としての意識が欠かせません。業務委託は、会社と対等に契約を交わすイメージのため、一人の事業主としてサロンで働くことにどのような目標があるのかをきちんと話せるよう用意することが大切です。
モアリジョブでは、美容師の面接についてまとめた記事も公開しています。面接の流れや質問の意図などにも触れているので、面接対策を行いたい人はぜひご覧ください。
美容師の面接|面接の流れやマナー、質問の意図や回答のポイントを紹介
業務委託のメリットと注意点を押さえて自分に合ったサロンを見つけよう
業務委託契約と雇用契約の大きな違いとして、「働き方を選べる」という点があげられます。雇用契約の場合、美容室は週1日の休みで土日祝日は完全出勤とするところも多いことから、子どもがいる人や家庭の事情で遅くまで働けない人にとっては、業務委託を選ぶのも方法の一つです。
いくつかの注意点はあるものの、一人ひとりのお客様にていねいな施術が行えるなど、美容師としてのやりがいにつなげられるメリットもたくさんあります。
リジョブでは豊富な求人数のなかから詳細な検索条件で自分にぴったりな求人を探すことができます。業務委託という選択肢を選ぶ予定の人は、リジョブで自分に合った求人を探してみましょう。