ケアビューティストになるにはどうすればいい?求められるスキルや役立つ資格・将来性についても紹介
超高齢社会となっている現代では、さまざまな福祉・介護サービスが展開されています。介護美容もその一つで、ケアビューティストと呼ばれる人たちが活躍しているのをご存じでしょうか。
この記事では、ケアビューティストについて詳しくお伝えするとともに、ケアビューティストになる方法や求められるスキル・役立つ資格・将来性などを紹介します。
ケアビューティストとは?

ケアビューティストとは、高齢者に特化した美容サービスの提供を行う人のことです。介護美容研究所によって商標登録されています。
ケアビューティストは、介護が必要などの理由で、美容室に通うことが難しい高齢者の自宅や介護施設を訪れ、さまざまな美容サービスを行います。
介護が必要になると、美容を諦めてしまう人も少なくありません。そういった人たちに、美容サービスを通じて、明るい気持ちや笑顔を取り戻してもらう支援をしているのです。
引用元
介護美容研究所|「ケアビューティスト」の名称の取扱いについて
ケアビューティー(介護美容)の種類
ケアビューティストが提供する介護美容は、ケアメイク・ケアネイル・ケアエステなどが主です。
ケアメイクではスキンケアのほか、シミやしわをカバーしたり、血色がよく見えたりするメイクなど、ひとりひとりに合ったメイクを施します。
ケアネイルは、甘皮処理や保湿をするネイルケアや、利用者の好きなカラーで爪を彩る施術も多いです。ネイルは、その日だけでなく長い時間楽しめるという魅力があります。
ケアエステは、顔や全身の保湿・リラクゼーションのほかにも、寝たきりの身体をほぐすなどのケアを実施。とくにフットケアは、足のむくみや足の裏の乾燥を和らげる効果があり、医療分野でも注目されている取り組みです。
ほかにも、介護美容師(訪問美容師)として、ヘアカットやシャンプー・ヘアカラーなどのヘアケアをメインに行う人もいます。
ケアビューティストになるには?

ケアビューティストになるには、介護美容研究所のカリキュラム(ケアビューティーコースまたは理美容師向けの訪問美容師コース)を修了しなければなりません。以下でケアビューティーコースについて紹介します。
引用元
介護美容研究所|「ケアビューティスト」の名称の取扱いについて
ケアビューティーコース
介護美容研究所のケアビューティーコースでは、以下のような知識やスキルを身につけることができます。
・美容のオーダー全般に対応できるトータルビューティースキル
・ビジネスとして展開するために必要な企画・運営手法
・その他現場で活かせる知識・技術
コースは3カ月・6カ月・8カ月・1年で、期間が長いほどより専門的な内容を学びます。
【3カ月コース:48コマ】
ケアメイク・ケアエステ・ケアネイル・アロマテラピー・カラーコーディネート
【6カ月コース:88コマ】
・3カ月コースの内容
・より高度なケアメイク・ケアエステ・ケアネイルのいずれかひとつを選択
・介護美容レクリエーション/ビジネス
【8カ月コース:112コマ】
・6カ月コースの内容
・美容心理/セルフブランディング
・緩和ケア・ターミナルケア
・フォトテクニック
・WEBマーケティング
・アセスメントプロジェクト
【1年コース:152コマ】
8カ月の内容と同じ。ただし、より高度なケアメイク・ケアエステ・ケアネイルのすべてを習得(8カ月コースまではいずれかひとつの選択)。
ケアビューティストに求められるスキル

ここからは、ケアビューティストとして働くうえで求められるスキルを紹介します。
介護の知識|介護職員初任者研修
要介護の人を対象にするため、介護の知識が必須です。地域で行われる介護セミナーに参加したり、資格を取得したりするとよいでしょう。
介護に関する認定資格である「介護初任者研修」なら、介護の基本的な知識や利用者への支援方法・食事や排せつ、入浴介助の技術などを身につけられます。
介護初任者研修は、介護美容研究所の訪問美容コースや、ハローワークが実施する職業訓練で取得できるほか、民間のスクールなどでも取得可能です。
また、東京都では昨年、無料で受講できる「初任者研修等資格取得支援事業」を実施していたようなので、自治体でそういった取り組みがないか調べてみるとよいでしょう。
引用元
介護美容研究所|訪問美容コース
東京都産業労働局|令和7年3月入校生 東京都公共職業訓練 受講生募集のご案内
東京都|資格を取得できる無料介護職員初任者研修開講
美容の知識や技術
メイクやネイル・エステなどの施術を行うため、それぞれの技術が必要です。高齢者の負担にならないよう、時間に制限があるケースもあるため、スムーズな施術スキルが求められます。
また、症状や年齢も加味したうえで肌や髪の状態を把握したり、安全な施術方法を判断したりするための知識も必要です。
コミュニケーション能力
高齢者とのやりとりは、やさしく聞くことが大切です。また、なかには意思疎通が難しい人もいるため、家族や施設の人とのコミュニケーションを必要とする場面もあります。
美容サービスを提供するうえでカウンセリングや会話は欠かせないため、利用者や家族、施設関係者とていねいなコミュニケーションが取れるスキルが必要です。
ケアビューティストに役立つ資格

ケアビューティストの仕事に活かせる資格は豊富です。取得方法は資格によって異なり、専門学校やスクール・通信講座・独学などの方法で学んだのち、試験が行われるものもあります。
以下で、ケアビューティストに役立つ資格を見ていきましょう。
【国家資格】美容師・理容師
ヘアケアを行う場合は、美容師免許を取得する必要があります。また、施術で顔そりをする場合は理容師免許が必須です。
美容師・理容師のどちらも国家資格であるため、各養成施設を修了したうえで国家試験に合格し、免許申請を行えば取得できます。修学期間は、昼間・夜間課程は2年以上、通信課程は3年以上です。
高齢者を対象に施術を行う介護美容師については、以下の記事をご確認ください。
介護美容師として働くために必要な資格とは?資格の取得方法や費用について解説
引用元
厚生労働省|理容師・美容師免許の取得まで
厚生労働省|理容師・美容師制度の概要等について
メイクに関する民間資格
メイクに関する民間資格について紹介します。
【日本化粧品検定】
化粧品の正しい使い方・肌の悩みに応じた対策・化粧品に含まれる成分などを習得。1級・2級・準2級・3級まであり、スキンケア・メイク・ボディケア・ヘアケア・ネイルケアなど幅広い知識が身につきます。
【JMA日本メイクアップ知識検定試験】
メイクアップ・スキンケア・化粧品・皮膚・顔分析・メイクアップの修整方法などの知識を習得。基礎知識を問うベーシックと応用知識を問うアドバンスがあります。
【JMA日本メイクアップ技術検定試験】
スキンケア・フルメイクアップ・モデルの悩みや要望に沿ったイメージメイクなどの正しいメイク技術を習得。1~3級まであり、JMAが定める正しいメイク基準を基本とした実技試験が行われます。
【メイクセラピー検定】
メイクを通じた心理学・コミュニケーション・メイクアップなどの知識・技術を習得。特級・1級・2級・準2級・3級まであり、準2級以上は実技試験も行われます。
各資格の詳細は、以下の記事で紹介しています。
メイクにまつわる資格にはなにがある?種類や特徴、取得のメリットを解説
引用元
日本化粧品検定協会|日本化粧品検定
JMA|日本メイクアップ知識検定試験(ベーシック・アドバンス)
JMA|日本メイクアップ技術検定試験
メイクセラピストジャパン|メイクセラピー検定とは
メイクセラピストジャパン|試験内容
ネイルに関する民間資格
ネイルに関する民間資格は、以下のようなものがあります。
【ネイリスト技能検定】
ネイリストに必要な知識や技術を習得。1〜3級まであり、1級はトップレベルのネイリストに必要な総合的な知識や技術・2級はサロンワークで通用するレベル・3級は基礎が必要です。
【JNAジェルネイル技能検定】
ネイルケアとジェルネイルの知識や技術を習得。初級から上級まであり、初級はベーシック、中級はサロンワークに必要な知識と技術、上級はジェルネイルのスペシャリストに必要な総合的知識と技術が問われます。
ネイリストの資格に関して、以下の記事もあわせてご覧ください。
ネイリストになるには?資格の種類や資格をとる4つの方法、ネイリストの働き方や将来性も紹介!
引用元
JNEC|ネイリスト技能検定試験とは
JNA|JNAジェルネイル技能検定試験
エステに関する民間資格
エステに関する民間資格は、以下の2つが代表的です。
【AJESTHE認定エステティシャン】
エステ(フェイシャル・ボディ)に関する基本的な知識と技術を習得。認定校での300時間以上コースまたは1,000時間以上コースを修了している人か、実務経験が1年以上ある人が受験できます。
【AEA認定エステティシャン】
エステの基礎的な知識や技術と、禁忌や注意事項についても習得したうえで、安全な施術を提供できるスキルを身につけられます。受験には、認定校で規定のカリキュラムを履修するまたは実務経験(フェイシャルまたはボディ)が必要です。
関連記事
エステティシャンになるには資格が必要? 資格の種類と取得方法を紹介
引用元
AJESTHE|AJESTHE認定エステティシャン – 資格・検定
AEA|エステティシャンになる
AEA|資格取得について
ケアビューティー(介護美容)のメリット

ここからは、ケアビューティー(介護美容)のメリットについて紹介します。
利用者の心身のストレス緩和
美容ケアによって心身をリラックスさせられるため、利用者の日々のストレスを緩和させることができます。また、見た目が美しくなることで自信を取り戻したり、前向きになれたりする効果も期待できるため、笑顔が増え、普段の生活にも張りが出ます。
積極的なコミュニケーションにつながる
介護美容を利用する高齢者は、カウンセリングや施術中の会話などを通じて、信頼感を覚えるようになることも期待できます。その結果、安心感を持ち積極的なコミュニケーションにつながり、介護者とのさらなる信頼関係を築くことにも役立つのです。
介護者と利用者の関係が良好になりやすい
入浴や食事・リハビリなどに後ろ向きの姿勢だった人でも、介護美容を通じて前向きになったり、社会参加に意欲が湧いたりするケースは少なくありません。明るく前向きに生活を送れるようになることで、介護者や家族などとの関係が良好になりやすいです。
ケアビューティストの将来性

高齢者は今後もさらに増えていきます。ケアビューティストは利用者の心身のケアに貢献するため、需要がますます高まることでしょう。実際、さまざまなメディアにも取り上げられ、注目を浴びています。
ケアビューティストや関連する求人を探すには?

介護美容の仕事は未経験でもスタートでき、ケアビューティストの受講生の過半数以上が、異業種・未経験です。そんなケアビューティストや、介護美容に関連する出張・訪問サービスを行う仕事の求人の探し方を見ていきましょう。
介護美容研究所のサポートを受ける
介護美容研究所では、ケアビューティストの養成だけでなく、介護美容を導入しているサロンの紹介も行っています。また、個別カウンセリングや転職サポートもあるため、就職先・転職先を探す際は大いに役立つでしょう。
出張・訪問サービスならリジョブがおすすめ
美容・ヘルスケアに特化した求人サイト「リジョブ」には、出張・訪問サービスを行う求人も扱っています。職種はセラピスト・エステティシャン・ネイリストのほか、国家資格職である美容師・あん摩マッサージ指圧師・鍼灸師などの求人が多数。
リジョブで扱う求人は、高齢者のみならず、さまざまな方に美容サービスを提供できるのが特徴です。職種や施設形態・仕事内容を細かく指定できるため、自分好みの求人が見つけやすいでしょう。
ケアビューティストには将来性あり!スキルを磨いて介護美容を支えよう

ケアビューティストは、介護施設や高齢者の自宅に出向いて美容サービスを提供する人のことです。メイクやネイル・エステなどの施術を通じて、利用者の自信や笑顔、前向きな姿勢を取り戻すサポートをしています。
ケアビューティストになるには、介護美容研究所のカリキュラムを修了しなければなりません。介護美容の需要は今後も高まることが予想されるため、関連する資格も取得してスキルを磨くのがおすすめです。
なお、スキルや資格はさまざまな職場で活かすことができます。指定できる条件が豊富なリジョブでは、さまざまな出張・訪問サービスの求人を掲載中。未経験OKや柔軟なシフト対応をしている求人などがあるので、ぜひリジョブをチェックしてみてください。
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