仕事で落ち込んだらこの石!こころを高める天然石 #4 グリーン系
サロンのお客さまが身につけていらっしゃるアクセサリー、ストラップやバッグチャームなどにも、もしかしたら天然石が使われているかもしれません。
いまや、日常的なファッションアイテムとしてすっかり定着しつつある天然石。
ネイルビューティでは、天然石をモチーフにしたデザインやドゥルジーネイルも、最近、人気を集めています。
そこでこのシリーズでは、天然石をカラートーン別に分けて、その石自体がもつ本来の意味や魅力を解説していきます。お客さまとの会話のきっかけとして生かしてくださいね。
天然石の色が変わった気がする!?
天然石のアクセサリーを身につけていたら、石の色が変わったように感じる…そんなことはありませんか? そんなとき、何か良くないことがあって悪い念を吸い取ってくれたから、と考える人もいます。
でもその前に、まず知っておいてもらいたいのは、天然石は色が変わるものである! ということです。
美術館に飾られている絵は、直射日光を避けて、湿度や光の色や強さもきちんと管理されています。だから色の変化がおさえられて、何百年も前の絵であっても描かれた当時に近い状態に保たれています。
じつは天然石にも同じことが言えるのです。直射日光に当て続ければ、色はあせていき色味が薄くなるでしょう。
身につけたまま水仕事をすれば、何度も何度も水浸しになった天然石は、当然、輝きを失ってしまいます。汗も影響しますから、汗をかく夏は、天然石のアクセサリーの取り扱いには注意が必要です。
とても身近な天然石であるラピスラズリやターコイズは、直射日光にも水にも弱いとされています。
天然石は、元々の色にばらつきがある場合、色を一定にするために染めたり、また変色を避けるためにコーティングされていることがあります。さらに、愛用して身につけ続けるほど、変色は避けられないのです。
身につけるときは石が水に浸からないようにする、家に置いておくときは直射日光に当たらないような場所にしまうなど、取り扱いに気をつけることで、少しでも長く美しい状態の天然石を楽しむことができます。
それでは今回は、心のバランスを保ってくれるグリーンの天然石をご紹介しましょう。
アマゾナイト:バランス感覚を研ぎ澄ましてくれるブルーグリーン
「アマゾナイト」の名前の由来は、南米を横断するように流れる世界最大の川・アマゾン川です。アマゾン川周辺だけで産出するわけではありませんが、グリーンやブルー、白い縞が混じったグリーンなど、いずれも美しい川の流れを彷彿とさせる色合いを持つ石です。
和名は「天河石」。名付けた人は、夜空に輝く天の河を思い描いたのでしょう。
川がその勢いですべてを流し、とがった岩をも平らにしていくように、アマゾナイトも極端になりがちな物事を丸くおさめてくれるとされています。
例えば心と体。本来は一体であるべきものなのに、仕事をがんばりたいと思う心だけが強く飛び出だして、体は疲れ切って弱ってしまったり、その逆に体は元気だけど心が追いつかなくなったり、そんなことはありませんか。
アマゾナイトはそんなとき、心や体の流れを正して、バランスをとってくれることでしょう。
また、人間関係がうまくいかないときには、ただ自分の意見を押し通すだけでなく、相手の考えもくむことで、改善できる場合があります。
アマゾナイトを身につけて、相手のことを考えてバランスを図る、そんな勇気をもらってみてはいかがですか。
ペリドット:澄んだイエローグリーンが不安を取り除く
8月の誕生石であり、宝石としてもよく知られているペリドットは、透明感のある黄色がかったグリーンが特徴です。一般に、「黄金石」という意味のギリシャ語がその名の由来とされていますが、本来のギリシャ語の黄金石とは発音が違うため、似たような別の言葉から来ている可能性もあるようです。
古代エジプトの時代から太陽のシンボルとされ、王族が身につける装飾品などに使われるなど、威厳を示す存在として扱われてきました。中世になると、この美しいイエローグリーンの石はヨーロッパへ持ち込まれ、薄暗い光の下でも明るさを保つことから、魔よけとしても重宝されるようになりました。
このように、どんな状況でも太陽のようにきらきらと輝くペリドットは、身につける人の不安を取り除き、明るさや希望を与えてくれます。
仕事やプライベートで落ち込んでしまったときなどには、ぜひペリドットのリングやピアスをつけてみましょう。消極的になっていた気持ちを後押ししてくれ、太陽が持つ強い力を発することができる、そんなお守りとしての役割を発揮してくれることでしょう。
翡翠(ひすい): 高貴な深いグリーン色が繁栄を約束してくれる
多くの天然石が、一般にギリシャ語、ラテン語などを由来とした名前で呼ばれている中で、「翡翠(ひすい)」は漢字での呼び名が定着しています。元々は中国語ですが、和名でも「翡翠輝石」という同じ言葉を使っています。
英語では「ジェダイド」(スペイン語由来とされています)、または「ジェイド」と言いますが、あまりなじみがありませんね。
「翡翠」というのは中国でカワセミを意味する言葉でした。カワセミの羽根(グリーン)やおなかの色(橙色)に似ていたことから、この名前がつけられたとされています。
このように、翡翠は白や橙色などさまざまな色がありますが、普通に思い浮かべるのはグリーンの翡翠でしょう。
深いグリーンの翡翠は古代から世界中で神聖なものとされ、古くは王族のみが身に付けることを許されたといいます。また、日本では勾玉(まがたま)に多く使われるなど、お守りや長寿、繁栄の象徴としても大切にされてきました。
高貴な力を持つこの石は、アクセサリーとしてつねに体につけておくよりも、手のひらに乗るくらいの大きさのものを仕事場の棚に飾ったり、バッグに入れておくことをおすすめします。
身近に翡翠があるだけで、自分が持っている良い面が引き出され、仕事上でもプライベートでも幸運をもたらしてくれるはずです。
仕事でここぞ、という大切な交渉のときなどに、翡翠を1分間、手に握りしめたり、あるいはポケットに忍ばせてその場に臨めば、心配していたことがいつの間にか消え去っていることでしょう。
仕事中は、アクセサリーとして天然石を身につけることはできない方も多いと思います。プライベートのときや通勤中に身につけたり、バッグに忍ばせておくというのも一つの手です。天然石の個性をよく知って、上手に利用してみてくださいね。
写真協力/ニルヴァーナストーン
http://www.nirvanastone.jp/
撮影/AJHAJHA
文・SAKURA
参考資料
『天然石(ジェムストーン)がわかる本・上下巻』(飯田孝一著/京都マリア書房)
『プロが教える鉱物・宝石のすべてがわかる本』(下林典正・石橋隆監修/ナツメ社)
『パワーストーン百科全書』(八川シズヱ著/中央アート出版社)
『パワーストーン魔法の石カタログ』(森村あこ/実業之日本社)