質問は人それぞれ。重要視しているのは「DaB」への熱意とそれにかけた労力【DaB DAIKANYAMA 鯨岡有樹さん】#3
美容師を目指す学生、新天地を目指すスタイリストさんにとって、避けては通れない就職活動。採用を勝ち取るためには、どんな準備が必要? 心がまえは? そんな疑問を、実際のサロン採用担当者にインタビュー!
カラーもカットもデザインも、他にはない唯一無二のスタイルを提案する「DaB」。前回に引き続き、「DaB DAIKANYAMA」ディレクター兼マネージャーを兼務する鯨岡有樹さんにお話を伺います。
第3回目は、「DaB」の一次試験と二次試験の面接&実技について。昨年の例をもとにその内容についてお聞きします。
お話しを伺ったのは…
DaB DAIKANYAMA 鯨岡有樹さん

スタイリスト歴は18年目。教育担当を経て、現在は「DaB DAIKANYAMA」にてディレクター兼マネージャーを務める。ラフウェーブなどのデザインパーマが得意。お客様一人ひとりの髪質と向き合い、それぞれに合わせたスタイル提案が人気。
決まりはなく一人一人の個性に合わせた質問を
――はじめに、一次面接のフローについて教えてください。
学生4人に対して、各店舗の店長と副店長、そしてスタイリスト数名が集団面接を行い、面接官の偏りがないように毎年メンバーをシャッフルしています。
面接内容は、「一般」と「美容」の2つのテーマで質問を行います。
――必ず聞く質問は?
まずは提出していただいた履歴書をもとに疑問に思ったことや、もう少し詳しく聞いてみたいと感じたことを質問します。例えば、「志望動機にこう書かれていますが、もっと具体的に教えてください」とか、「自己PRのこの部分、もう少し詳しく教えてもらえますか?」といった感じです。一人ひとり書いていることが全く違うので、決まった質問リストみたいなものはほとんどなく、その方に合わせた質問をしています。
美容に関しては、今のトレンドやその将来性に対しての考え方を聞きます。その時々のトレンドは最低限知っているものとし、DaBが今後取り組むべき課題をテーマに、「もし自分がDaBの美容師だったら」という視点のもと、答えてもらうこともあります。特に「正解」はなくて、その方が美容という仕事や業界をどう捉えているのか、その視点や考え方のプロセスを知りたいんです。
――今までで良かった答え方は?
あるテーマについて議論した時のこと。ある学生が、そのテーマに対する自身の考えを述べるだけでなく、異なる視点からの分析や今後の可能性など、より広い視野での意見を展開してくれたんです。その思考の深さから、非常にポテンシャルを感じましたね。
実技試験は残りの10分がカギに。器用さや対応力をチェックしている

――次に、二次面接と実技の流れをお聞かせください。
一次面接と同様に、二次面接もグループにわかれて実施しています。
――まず、二次面接ではどのような質問を?
以前行った試験の例ですが、まずはグループディスカッションを行ってみなさんの意見を聞いたあと、その内容を踏まえて個別に面接で質問していきます。 そのため二次面接では、一次面接よりも時間を多めに設定しています。
――実技はどのようなところを見ている?
実技は至ってシンプルで、ブロー、パーマ、ワインディング、カットの中から、毎年テーマを一つ決めて、まず私たちがお手本を15分ほどで見せます。その後、20分間で同じものを作ってもらいます。
開始10分くらいで一度手を止めてもらって、分からないことがあればアドバイスします。そのあとは残りの10分で仕上げてもらうのですが、私たちが特に注目しているのは、実はこの後半の10分なんです。アドバイスを受けてからどう修正するか、限られた時間でどれだけ再現できるか、その器用さや対応力、飲み込みの速さなどを重点的に見ています。
「DaB」に入るためにどれだけの熱意と労力を注いだかが肝心!
――二次面接に伴う試験で総合的に見ているところは?
突き詰めると、「DaBに入るために、どれだけの熱意と労力を注いでくれたか」に尽きます。例えば、スタイルブックを5つのパターンで表現してきた場合、同じ「5パターン作る」でも、一人のモデルさんで髪型だけ変えるのと、モデルさん自体を5人探してきて撮影するのとでは、かかる手間も熱意も全く違いますよね。そういう「こだわり」や「本気度」が見えると、ぐっときます。
たまに他社のために作ったスタイルブックを持ってくる人もいます。ダメとは言いませんが、DaBのために「もうひと手間かける」という労力を惜しんだのかな、と感じてしまい、少し残念な気持ちにはなりますね。
やっぱり、「DaBに入りたくてこれだけ準備してきました!」と言ってもらえるくらいの熱量が伝わるアピールが一番心に響きます。
――採用がお見送りになってしまう人の特徴はありますか?
周りの状況が読めなかったり、自分本位な言動が目立つ方は、難しいかもしれません。例えば「一発ギャグをします」と言われても、それが美容の面接の場で本当に適切なのか、なぜそれを今やろうと思ったのか…その思考のプロセス自体に少し懸念を感じてしまいますし、「お客様に対しても、TPOをわきまえずに同じようなことをしてしまうのでは?」と心配になってしまいます。
面接で緊張するのは当然で、自然体でいることは難しいかもしれませんが、「今、自分はどういう場にいて、相手(面接官)は何を知りたいと思っているんだろう?」と、少し相手の立場に立って考えて行動してもらえれば、大きくマイナスになることは少ないと思いますよ。
採用される面接のまとめ
1.美容への知識と探求心を持ち、スタイリストの立場を想定した意見が言える
2.自分が置かれている状況を読み、場に応じたコミュニケーションや行動がとれる
3.採用されるために労力を惜しまず力を尽くし切ることができる
取材・文/東 菜々
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