独立のリスクを背負わない! 考えておきたいお金の貯め方 #2

美容業界で働く20代30代はナンバー2やナンバー3で長く働きたいと希望している安定志向があるようです。けれども将来、余裕のある生活を送るためにも今から貯蓄についても考えることは、悪いことではありません。そこでファイナンシャルプランナーの山中伸枝さんに、年齢におけるお金に対する考え方や投資の方法を伺いました。

若い今だからこそ将来の自分に仕送り

お金の貯め方

――まず、なかなかお金が貯まらない方にアドバイスをお願いします。
「自動的にお金が貯まる仕組みをつくっておくことですね。口座から自動引き落としされる積み立てをすることでしょうか。国民年金にしか加入していない場合、将来的に月5万から6万円しかもらえないわけですから、生活を維持していくためには、かなり厳しい金額といえます。若いときに将来の自分に仕送りしておくことが不安なく安定した未来を迎えるために大切です」

――年齢を重ねた後のことも考えて貯蓄するということですね。
「はい。例えば65歳でリタイアして90歳までと考えると25年。25年の生活を維持する資金作りは20代から始めないと間に合わない計算になります。まだ早いと思いがちな20代から将来の自分に仕送りができるように準備をして欲しいと思います。さらに、それが実現できるようにお金について社会の仕組みを知っておくことが、とても重要です」

――個人事業主の場合はいかがでしょうか。
「個人事業主さんだったら小規模事業共済という制度を利用すれば全額所得控除になるのでおすすめです。小規模金融共済は国に準ずる仕組みなので金融機関では教えてくれません。ですが個人事業主として知っておけば大きなメリットを得ることができます。ほかには個人事業主だけではなく、働いている方にもお勧めしたいのが個人型確定拠出年金(イデコ)です」

知らないと損をするお金の仕組みや制度

お金の貯め方

――イデコとはどのような制度ですか。
「イデコは自営業や会社員の方が将来のために積み立てていき、自分で運用していく仕組みです。大きなメリットとしては積み立てた全額分が所得控除になるということ。節税をしながら将来の自分への仕送りを準備できることが最大の魅力です」

――具体的にはどのような流れになりますか。
「例えば会社勤めの方の場合、給料に対して所得税は5%、住民税は10%の税金を支払うことになりますが、イデコを活用することで、最低でも掛金に対する税金15%が節税できますから15%の利回りを受けるのと同じになります。税率は所得によって異なりますが」

――ほかにもイデコの利点はありますか。
「年末調整でまとまったお金が返ってきても結局は使ったり、翌年の税金として持って行かれるなど、なかなか貯めることができないので一定額を積み立てることができるイデコは手堅くお金を残すことができます。さらに積み立てた利息分にも税金がかかりません。60歳まで引き出すことはできませんが、受け取る時には退職金扱いになるので、ここでも税金を抑えることができます」

――法律や国の制度を知らないと損をすることになるんですね。
「そうです。“お金の勉強は面倒”“よく分からない”と避けるのではなく、一般常識レベルから、さらにプラスアルファの知識を習得することで、お金の仕組みや世の中の経済が少しずつ見えてくるようになります。未来の自分を助けるのは、今現在の自分だということを忘れないでくださいね」

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Profile

山中さん

山中伸枝(やまなか のぶえ)

ファイナンシャルプランナー(CFP)、確定拠出年金アドバイザー。株式会社アセット・アドバンテージ 代表取締役。
1993年米国オハイオ州立大学ビジネス学部卒業。留学経験や海外業務・人事業務などを通じ、これからはひとりひとりが、自らの知識と信念で自分の人生を切り開いていく時代と痛感し、お金のアドバイザーであるファイナンシャルプランナーとして、講演・相談・執筆を中心に活動。著書は『ど素人が始めるiDeCo(個人型確定拠出年金)の本』(翔泳社)、『「なんとかなる」ではどうにもならない定年後のお金の教科書』(クロスメディア・パブリッシング)など。
アセット・アドバンテージhttp://asset-advantage.com/

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