就職する際には必ずチェック!知っておきたい美容師の保険

普段は特に必要と感じることがなくても、いざという時に大きな助けとなるのが保険です。予測することができないケガや病気は突然、我が身に降りかかります。そして、起きてしまってから対応するのでは既に遅く慌ててしまうといったケースも少なくないのです。就職や転職の際に通勤のアクセス、収入、スタイリストやお店の知名度といったことを選択の参考とする人は多くいます。しかし、長く働くことを考慮するならば加入できる保険にはどのようなものがあるのかといった労働条件を事前にチェックしておくことも重要です。そこで美容師に関わる保険について詳しく解説します。

社会保険ってなに?いざという時に助けてくれる一般的な保険の種類とは

毎日の生活の中で人はさまざまなリスクを抱えて生きていますが、そのリスクを背負うこととなったときに生活するための最低限の保障を受けることができるように備えられているのが社会保障制度です。そして、そんな社会保障制度の中心として社会保険が存在しています。社会保険は保険加入者があらかじめ支払っていた保険料などを元手に生活の保障を受けることができるシステムです。

一般的には病気やケガをした時に対応する医療保険、高齢になったときに生活支援として支給を受けることができる年金保険、労働者の生活や雇用の安定を目的とした雇用保険、仕事に関わるケガや病気を補償する労災保険と、大きく4つの種類があります。

医療保険には市区町村が運営する国民健康保険、勤務先によって加入先が異なる健康保険や共済組合、船員保険といったいくつかの種類の保険があり、すべての日本国民は、これらの公的な医療保険のいずれかに加入することが義務です。医療保険に加入すると被保険者証が交付され、被保険者証を医療機関に提示することによって医療費の一部負担だけで医療を受けることができるようになります。さらに高額な医療を受けたり、長期の入院をしたりして医療費の負担額が多額となった場合には、自己負担額の限度額を超える医療費分を払い戻してもらうことができる高額療養費の制度もあるのです。

高齢になったときに生活費の支給を受け取ることができる年金保険には主に3つの種類があります。国民年金、厚生年金、共済年金です。国民年金は20歳以上60歳未満である日本国民であれば加入が義務づけられている保険です。年金保険のベースとなっていて「基礎年金」とも呼ばれています。

一方、厚生年金は厚生年金保険の適用を受ける企業に就職した場合に就業者すべてが加入する保険です。共済年金は厚生年金と同じく常時勤務者すべてに加入が求められる年金保険で、加入の対象は公務員や私立学校の教員といった人たちとなっています。厚生年金や共済年金は国民年金の上乗せとして積まれる存在で、国民年金だけの加入者と比べて将来支給を多く受けることができるようになるのです。上乗せできる年金には他にも国民年金基金、付加年金、個人型確定拠出年金といったものもあります。ただし2015年10月から共済年金は厚生年金に統合され、厚生年金の一本化となっています。

勤労者のための雇用保険には具体的には病気やケガの際に受け取ることが可能な疾病手当金や失業した際に受給対象となる失業保険といった制度があります。また、育児休業期間中に支給となる育児休業気給付金や家族の介護のために休み中に就業中に受けていた支給額の一部を受け取ることができる介護休業給付といった補償なども雇用保険によるサポートの1つです。

そして労災保険は正式な名称を労働者災害補償保険といい、通勤時や仕事をするために被ったケガや病気、障害、死亡などに対して治療費などの給付を受けることができるものです。ただし通勤時であっても、勤務ルート以外の場所で事故に遭ったりケガをしたりした場合には給付対象とはなりません。

どれくらい支払うの?保険に負担する保険額とは

健康保険を利用して医療を受けた場合の自己負担額は、75歳以上であれば通常は1割負担、平成26年4月以降に70歳になった人から74歳までは2割負担、義務教育を終えてから69歳までの年齢の人が3割負担、義務教育就学前であれば2割負担となっています。ただし、70歳以上であっても現役の頃と同じくらいの所得を受けている場合には3割負担が原則です。そのほかの実費は健康保険により補われます。このように医療費が全額自己負担とならないためには健康保険に加入し、毎月一定の保険料を支払うことが必要です。ただし、健康保険のために支払う保険額は人によって異なります。たとえば、国民健康保険の場合、40歳から64歳の人数や世帯所得によって異なってくるため家族構成により保険額に差が出てしまうのです。また、自治体によっても保険料を計算する際に使用される保険料率に違いがあります。

企業や団体に所属している場合でも個々の保険額に差が出ます。保険料は会社と加入者本人である従業員が折半して負担しますが、折半される保険料は支給される給与やボーナスの金額により定められた保険料率を乗じたものです。このため、給与額が異なる個々で金額に違いが出てしまうのです。また、保険料を計算する際に使用する保険料率も加入する健康保険組合によって違っています。ちなみに保険料の計算は年間を通して毎月行われるわけではありません。変動する個々の給与で毎月計算することはたいへんな作業となるため4月から6月の3カ月間の給与を平均した給与額を7月に標準報酬月額として定め、9月から翌年の8月までの保険料率として適用しているのです。

年金保険のベースとなる国民年金額は第1号被保険者及び任意加入被保険者の場合、一定額に定められていて2017年の1カ月の国民年金保険額は1万6490円です。ただし保険料額は毎年見直されていて賃金の伸びや物価を考慮した上で調整されています。第2号被保険者の場合、厚生年金や共済といった加入する制度からまとめて年金の拠出金が支払われています。加入する制度が加入者から受け取っている掛け金や保険料の一部が基礎年金拠出金となっているのです。このため厚生年金や共済の保険料とは別途で保険料を負担しなければいけないということはありません。また、第3号被保険者も保険料の自己負担は不要です。配偶者となる第2号被保険者の加入制度により負担されているからです。

雇用保険額は年度により見直される雇用保険料率によって算出されます。また、雇用保険料率は職種によっても異なって定められているのです。これらの保険とは異なり、全額を事業主が負担することになっているのが労災保険です。労災保険の保険料は従業員が支払う必要はありません。

美容師が対象となるのは?美容師が入れるいろいろな保険

保険にはさまざまな種類があります。美容師として働きながら生活の安心を手に入れるために保険に加入したいと考えた場合、加入条件を踏まえた上で加入先をしっかりと選ぶことが必要です。

医療保険であれば国民健康保険、社会保険、美容師保険の3つが候補となります。国民健康保険は個人経営のような小さなお店で働いている美容師が多く加入する保険です。規模が大きな美容院やサロンであれば組織で加入する社会保険に入ることも可能となります。ただし、保険額の半分の支払いが求められる負担の重さから社会保険未加入となっている美容院も多くあるため、事前に確認をしておくことが必要です。美容師保険は東京と大阪に組合がある、美容師を対象とした保険です。東京の組合では東京都内にお店があり、東京都のほか神奈川県、千葉県、埼玉県、茨城県、及び山梨県の区域に住んでいる美容業務従事者などが対象となっています。大阪の組合は大阪府下に個人経営のお店があり、大阪府のほか、兵庫県や奈良県、京都府、和歌山県、滋賀県、三重県の指定の市町村に住んでいることなどが加入条件です。

年金保険については美容師保険などへの加入者も含めて国民年金への加入が選択肢です。ただし、社会保険に加入している美容師であれば厚生年金に加入することになります。しかし社会保険の中でも全国健康保険協会ではなく、全日本理美容健康保険組合に加入している場合は国民年金を支払わなければいけないことを知っておきましょう。

その他にも雇用保険や労災保険も美容師が加入する権利を持った保険です。1週間の所定労働時間が20時間以上もしくは31日以上の雇用見込みがある美容師であれば正社員であってもパートであっても雇用保険に入ることができます。また、原則1人以上のスタッフを雇用している事業所に義務付けられている労災保険も美容師が入ることができる保険です。正社員であってもアルバイトであっても保険の適用対象となります。

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