サロンを営んでいけるスタッフを育てる 『LR Nail Salon』
現在もサロンワークを続けながら講師として、またスタッフの教育責任者として技術を教える立場にある高木さんは、自身を「厳しい」講師だと分析。その厳しさの裏側にある思いや、これから取り組みたいことは一体何なのでしょうか。
悩みを打ち明けやすい環境をつくる
――お話ししていてもかなりサバサバしたご性格で、スタッフの方との距離感も近いように感じます。実際に社員や教え子にとってご自身ではどのような講師であり上司だと思われますか?
「私、怒るときはものすごく怒るんで、怖いと思われる時もあるかもしれないですね(笑)。サロンでもそうですが、例えばマナーだとしているメイクをせずに、すっぴんで出勤してきたら帰るよう促しますし、1度伝えたにも関わらず直っていない部分があれば怒ります。ただ怒りを次の日に持ち越さず、昨日は昨日、今日は今日という風にメリハリをつけるようにはしていますね。最近は怒らない上司も多いようですが私の考えでは怒ることも教育。その代わりにスタッフ1人1人をよく観察し、何か悩んでいる様子があればマンツーマンで食事に行くなど、悩みを打ち明けやすい環境を作るように気をつけています。ネイル部門のスタッフにとってのお母さん的役割なので、私に隠し事はしない、嘘はつかないで欲しい。正直に向き合うからこそサポートできると思います。また、教え子に対しても精神的なフォローは欠かせません。必要であれば気づいた点をメモして渡したり、人によってより理解しやすいよう指導法を変えることも。この辺りは幼稚園教諭をしていた経験が役立っていると感じます。」
プロのネイリストが受講するスクール
――現在スクールはレギュラーのコースではなくピンポイントで学べるコースが中心だそうですが、どのような方が習いに来ているのでしょうか?
「以前は毎日定刻授業のあるプロコースをやっていたのですが、現在は私が多忙なためにあえてレギュラーのコースは停止し、学びたいネイル技術を1時間からでも受けられるコースを導入しています。これらを受けに来るのは主にプロのネイリストで、自身の弱点をカバーしたり検定などに向け磨きたい技術にスポットを当ててスキルアップのために受講する方が中心です。スクール生に対して心掛けているのは、サロンで生計を立てられるネイリストに育てること。そのためネイル&ハンドに関わる幅広いメニューができるようになるだけでなく、例えば美しいフォルムを作らせたら右に出る者がいないなど、自分の得意な分野を見つけてそこを追求するように指導します。ネイリストとして生計を立てていくには指名をされるようになる、つまり自分のお客様を持つことが必須なので、生徒がプロであってもさらに得意分野を磨くよう勧めていますね。」
ネイリストの今後のサポートも視野に
――5月末には梅田店に今までの店舗を集約することで全社員と一緒に働く夢が叶うとおっしゃっていましたが、それ以外にも今後取り組みたい活動はありますか?
「当社のネイル事業部で働くネイリストの大半が10年以上務めてくれているベテランばかり。なので、まだ構想の段階ですが、彼女らが年を重ねた時にも安心して働ける事業を立ち上げたいと考えています。ネイリストって集中力も必要で座りっぱなしでと、意外に体力的にハード。だから一定以上の年齢で現役でいることは身体的に負担が大きくなるので、ネイリストを引退してからでも活躍できる場を作りたいですね。現在私は増毛の講師もしているのですが、現役ネイリストが副業で学ぶケースも多く、これから増毛の需要は増えると考えています。こう言った美容関連のことだけでなく、広い視野でより社員が安心して楽しく働ける環境を作っていくのが、今後取り組みたい大きな夢でしょうか。」
厳しさの反面、自分が信頼を寄せるスタッフとともに人生を歩みたいと語ってくださった高木さん。ネイルの分野にとどまらず、いち企業人としてもともに働く社員の今後を考える母親的存在だからこそ、かつての教え子からの信頼も厚いのだと感じました。
Profile
高木香織さん
株式会社ババガンプ社
取締役 ラーニングランニング事業部事業部長
サロンワークやスタッフ教育などを中心に、日本ネイリスト協会本部認定講師やクリストリオプラチナエディケーター、SHINY GELアンバサダーとしてもネイル業界の発展に尽力。また、日本増毛スクール梅田校の講師としてネイル分野以外にも活躍の場を広げている。
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