笹沼彩子 interview #2:「雌ガール」「色素薄い系女子」個性的な言葉を生み出す方法

1995年に、“美しいわたし新発見マガジン”として誕生した女性誌『ar』。最新のヘアスタイルやメイクなどの情報を中心に、美容グッズやファッション情報も掲載。また、“雌ガール”や“おフェロ”といった新たなトレンドを作り、注目を集めています。そんな、個性的な女性誌を生み出しているのが編集長の笹沼彩子さん。いったい、どのように編集部員をまとめ、arを作りあげているのでしょうか。
中編では、編集長になりどのように雑誌を作り変えたのか、そして編集部員の個性をどう生かしているのかを伺いました。

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コンセプトは“雌ガール”

笹沼さん

――編集長に就任した時に、意識した点を教えてください。
「チームワークを高めたいと思いましたね。それまでは、企画出しから校了までを担当者だけで行い、チーム制で仕事をしたことがありませんでした。個性が出やすいという良い点もありましたが、編集部員の中に“自分のページさえ良ければそれでいい”という気持ちが生まれている気がしていたんです。そこで、私が編集長になったタイミングで、話し合いを多く持つようにし、それぞれが考えていることをぶつけ合う機会を増やしました」

――話し合いを増やすと、どんな良いことがあったのでしょうか?
「多くの意見が混じることで新しい発想が生まれやすくなりました。例えば、『ご機嫌でヘルシーなエロい女子』を表す言葉である『雌ガール』が会議の中で誕生したんです。この言葉を雑誌全体のコンセプトにし、それぞれの担当が企画を進めていくことで、以前よりも世界観がはっきりとした雑誌が作れるようになりました」

“色素薄い系女子”の誕生秘話

笹沼さん

――新しい企画はどのようにして生まれるのでしょうか?
「それぞれの担当が、日頃から感じていることを形にしていますね。たとえば、顔立ちのはっきりした人ばかりが雑誌に取り上げられている気がするから、私はもっと薄顔を推したいという意見が編集部員から出たんです。そこで、企画をまとめるためにリサーチをしてみると、肌を焼かないことや髪色を変えないことなど、元々の素材を大切にする傾向が強くなっているとわかりました。そこで、ナチュラルな雰囲気の女性を“色素薄い系女子”と名付け、自然に見えるメイク法などを紹介する企画ができましたね」

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あえて趣味とは真逆の企画をぶつける

笹沼さん

――編集部員の個性を引き出すために気を付けていることはありますか?
「普段から編集部員の私服や会話の内容などを気にして、それぞれの趣味や嗜好とは真逆の企画をぶつけることを意識しています。たとえば、女の子らしいピンクや白のふんわりとした『甘い系』の服装が好きスタッフには、クールでボーイッシュな『辛い系』の服を取り上げる企画を任せますね。好きなテイストの企画を任せると、甘い系と辛い系のページでその色が強く出過ぎてしまい、arという雑誌の方向性がブレてしまうんですよ。あえて好きな雰囲気とは逆のページを任せることで、雑誌全体のイメージを崩さない、ちょうどいいバランスのページができるんです」

arでは、女性が誰しも持っているお尻の丸みなどといった“曲線美”が際立つファッションを意識していると語ってくれた笹沼さん。バストの話をすると個人差があり、共感できない人が出てくるんだとか。女性が共通して持っている特徴を取り上げることで、読者がより安心して読んでくれるんだそうです。後編では、雑誌を作る上で大切なことや魅力的な女性について伺いました。

Profile

笹沼さん

笹沼彩子さん

1997年に『主婦と生活社』に入社後、ar編集部に配属。2012年に編集長に就任、現在に至る。

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