【フリーランスのライフスタイル】イシダユリさんの趣味を生かした接客術
シェアサロンの普及などに伴い、最近増えてきたフリーランスという働き方。「どのようにして生計を立てているのか?」興味がある方も多いはずです。そこで、実際に活躍している現役のフリーランス美容師にインタビュー。今回は、2020年の7月からフリーランスとして働いているイシダユリさんに登場していただきました。
旅が大好きなイシダさんは「旅する美容師」の肩書で活躍しています。果たして、どのようにして現在のスタイルにたどり着いたのでしょうか?「フリーランスになってからは旅行を兼ねた遠征の仕事も行なっています」と語るイシダさん。プライベートと仕事をどのように両立しているのかも気になります。
前編では、フリーランスに至るまでの経緯などについて伺いました。
効率よく時間を使うためにフリーランスに転身
――――まずは、フリーランスに転身するまでの経緯について教えてください。
「大阪の専門学校を卒業後、目黒のサロンに正社員として勤務。2年目からは原宿のサロンで4年半働きました。2020年の7月からフリーランスの美容師として働いています。原宿のサロンがメンズサロンだったので、今もほとんどが男性のお客さまです」
――――なぜフリーランスに転身したのでしょうか?
「効率のよい時間の使い方をしたいと思ったからです。当時働いていたサロンは歩合性でお客さまを担当した分給与が発生する仕組みでした。しかし、勤務時間は決まっているため、予約以外の時間もサロンに拘束されることに違和感を感じ始めたんです。また、私は旅行が大好きなので、もっとうまく時間を使って旅をしながら仕事をしたいと思ったのもフリーランスに興味をもったきっかけの1つです。独立する半年前くらいから先にフリーランスとして働いていた友人に相談をしながら準備を進めました」
自分を求めて来てくださるお客さまに感動
――――フリーランスに転身するにあたって大変だったことはありますか?
「直前まで勤めていたサロンの決まりで、いままでのSNSを全部削除したことです。とくに当時はインスタグラムからの予約もあったので、それをすべて1からやり直すのは大変でした。今のアカウントはフリーランスを始めてから作ったものです。しかし今では目標の売上を達成し、フォロワーも少しずつ増えているので、その問題を引きずることなく働けています。
退職を直接お伝えできなかった方のなかには、名前の検索や、以前勤めていたサロンにお問い合わせをして探しだしてくださる方もいました。サロンの肩書がなくなっても私個人を求めて来てくださるお客さまがいることを実感し喜びを感じています。前のサロンから継続して来てくださる方以外には、紹介やインスタグラムからのご予約方が多いです。広告は一切使わずに想像以上のお客さまに来ていただいています」
いつでも楽しく居心地のよい空間をつくる
――――SNSの更新で気を付けていることがあれば教えてください。
「インスタグラムでの投稿がメインですが、工夫やルールを設けることはしていません。今の美容業界はSNSでの集客が多いので、文章や写真など意識して発信しなければ、と思ったこともありました。しかし、義務として更新するのが苦手で。その苦手意識は見ている方にも伝わると思ったので、自分の気持ちや、感銘を受けたことをありのままに更新するようにしています。内容は過去も含めた旅の写真やスタイリング、いただいた差し入れなどさまざまです。見た人にどうなってほしいかとかは考えずに、自分はこういう風に生きているので感じ方は人それぞれ、というスタンスで利用しています。それでも幸いなことに、興味を持ってくれて、『ユリさんとお話ししてみたいです!』と予約をしてくださる方もたくさんいらっしゃいます」
――――接客で意識されていることはありますか?
「居心地のよい空間を作れるように心掛けています。友達に会いに来るような感覚で来てほしいと思っていて。親近感を持ってもらうコツはお客さまの地元トーク。旅行が趣味である私は、47都道府県制覇を目標にしていて、今まで37都道府県を旅しました。そのためどこの出身の方でも、話がとても盛り上がるんです。初回のお客さまともすぐに距離を縮められます。
また、リピーターの方にも何かを感じてもらう時間を提供できていたらうれしいです。たとえば、3週間に1回カットとヘッドスパ、トリートメント、眉カットとフルコースで予約してくださる20歳のお客さまがいます。男性で月に1回はかなり頻度が高いのですが、『ここでの時間が楽しいので、がんばった自分へのご褒美として来ています』と話してくださったんです。そんな貴重な時間とお金を使って来てくださっているので私も毎月アップデートした自分でいたいという気持ちが強くなりました。その点で、旅行の経験をお客さまが楽しんで聞いてくださるのはとても幸せなことです。
旅行は行っている時も楽しいのですが、帰ってきて話をすることでその土地の美しさや楽しさを共有できるのも魅力の1つだと思います。美容師としての技術はもちろん、つねに経験値を更新した自分でお客さまを迎えたいという気持ちが大きいです」
後編では、旅好きのイシダさんによる遠征先でのお仕事について伺います。
▽後編はこちら▽
【フリーランスのライフスタイル】イシダユリさんの旅をしながら働く方法>>
Profile
イシダユリさん
インスタグラム:@lily941121
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住所:渋谷区神宮前6-29-3 原宿KYビル9F