学び・キャリア 2025.12.14

提案力が広がり、お客様の喜びも増える。佐藤式スイングショートが生む変化｜「GOALD」佐藤拓弥さんインタビュー

ショートヘアは、シンプルに見えて実は美容師のカット技術がはっきり現れるデザインでもあります。

今回は、高い技術力で業界内外から支持されるヘアサロン「GOALD」の佐藤拓弥さんにインタビュー。佐藤さんが提案する「カットパーマで作るスイングショート」は、どのような経緯で生まれ、どんな魅力を持つのか、詳しく伺いました。

今回、お話を伺ったのは…

「GOALD JAPAN」CCO（最高クリエイティブ責任者）

佐藤拓弥さん

宮崎県出身。ベルエポック美容専門学校卒業後、都内の有名サロンに入社。その後、「GOALD」に入社し、渋谷店の店長や代表取締役を経て、現在は運営会社「GOALD JAPAN」のCCOを務める。ヘアスタイルや美容業界の情報を発信しているインスタグラムのフォロワーは5万2千人を超える。
インスタグラム

スイングショートでお客様の喜びが増えた

取材に応じてくれた佐藤さんは、メンズパーマのテクニック本も出版する業界トッププレイヤー

———まず「スイングショート」とはどんなデザインなのか教えてください。

メンズのトレンドとして、昔からさまざまなショートが登場してきました。たとえば、ベッカムヘアのようなモヒカン系や、ひし形シルエットが特徴のアップバングショートなどがあります。「スイングショート」も、そうした系譜のひとつです。

───その特徴は？

全体を立ち上げてシルエットを作る「スパイキーショート」というデザインがあります。毛量をしっかり残し、スタイリング剤を多めにつけて艶を出す、やや無骨な雰囲気が魅力のスタイルです。

「スイングショート」はその逆で、毛量を調整してやわらかい印象に仕上げます。毛先は軽く、スタイリングでは細かな束感を作りながら、名前の通り「振るように」動かして遊ばせるのがポイントです。

───佐藤さんの作り方は、ほかの美容師さんとどう違うのでしょうか？

誤解を恐れずに言えば何もかも違うと思います。美容師それぞれに考え方や捉え方があって、お客様の骨格や好みによってもアプローチは変わりますからね。

今度のセミナーでは、僕の考え方の伝授に加え、普段のやり方もお見せする予定です。言葉だけでは伝えづらく実際の動きを見てもらえると、カット工程やパーマのかけ方の違いがわかると思います。

───「パーマカットで作るスイングショート」を学ぶことは、美容師にとってどんなメリットがあるのでしょうか。

ショートは昔からニーズが高く、どんな髪型がトレンドになっても廃れないデザインです。提案できるショートのバリエーションが増えるだけで、お客様への提案力が上がり、結果的に集客にもつながります。

───佐藤さんは習得したことでどんな変化が？

スイングショートのオーダーが増え、お客様にもっと喜んでもらえる瞬間が確実に増えました。SNSで仕上がりを投稿した際はかなり反響があって、「新しいトレンドを作る美容師」としての認知にもつながっていると感じています。

お客様の悩み×海外デザインで生まれたスイングショート

———佐藤さんが現在のやり方にたどり着いた経緯を教えてください。

スパイキーショートが流行したころに、「髪に悩みのある方や、このデザインが似合わない方にはどう提案すべきか」と考えるようになったのが始まりでした。

日々、お客様を担当するなかで、「こういう方にはこう切ったほうがいい」と試し続けていくうちに、いまの技術に少しずつ形づくられていった感じです。

———お客様の喜びを考えたことがきっかけだったんですね。

はい。試行錯誤している期間は、韓国や中国など海外で流行している髪型もよく研究していました。韓国へ旅行に行ったときは、街を歩くローカルの人の髪型までつい観察してしまって（笑）。

いまのスイングショートには、そういった他国のシルエットやバランスがエッセンスとして入っています。

───最後に、美容師がスイングショートを学ぶうえで意識すべきことは何ですか？

理想の仕上がりをしっかりイメージすることです。デザインのなかでも、とくに美容師の力量を問われるのがショート。スタイリング剤で毛先を立ち上げてシルエットが浮かび上がるので、シルエット＝カットしたラインになります。マッシュやセンターパートとは違って、ごまかしがきかないので、最初のカウンセリングでイメージを明確にしておくことが大切です。

───イメージが大切なんですね。

そうです。なので、練習のときにはカットだけを繰り返すのではなく、必ずスタイリングまで行うこと。そうすることで、最初に描いていたイメージと実際の仕上がりを比べられるので、もっとスムーズに技術を磨けると思います。