需要が高まるパーマ×ショートヘアを成功させる秘訣とは【美容師のカット技術/Belle 原口陽介さん #1】
カジュアルなファッションが主流になり、需要が高まっているショートヘア。同じショートヘアのなかで変化を出すために、パーマを取り入れたデザインを作ることも多いのではないでしょうか。
「Belle 銀座5丁目店」副店長の原口陽介さんは、そんなショート×パーマスタイルで売り上げを伸ばしているスタイリストの1人。今回は原口さんに、ショートヘアのパーマスタイルの需要と、成功させる秘訣について教えていただきます。
お話を伺ったのは…
Belle 銀座5丁目店
副店長/スタイリスト 原口陽介さん
都内1店舗を経て、2018年「Belle」に入社。2021年7月より銀座5丁目店の副店長に。スタイリスト1年目からパーマ×ショートに力を入れ続け、着実に売り上げを伸ばす。ヘアのシルエットと顔周りのバランスに定評あり。
Instagram:haraguchi___belle
自分の“好き”を武器にするため、ショートヘアに注力!
―原口さんはショートのパーマスタイルに力を入れています。そこに注力した理由は?
ショートカットには、スタイリストになった1年目から力を入れていました。得意分野を持ちたい、美容師として1つ武器が欲しいと考えたときに、好きなショートレングスのヘアスタイルを突き詰めていこうと決めたんです。
それからは、どんなショートヘアが可愛いのかというのを研究してきました。その流れのなかで、パーマにも力を入れるようになりました。
―実際、ショートのパーマスタイルの需要はいかがですか?
ショート×パーマにしたいと、ご来店いただける方は多いです。最近のファッションの動向を見ても、ショートヘアが似合うデザインが増えているなと感じます。それを受けて、髪を短くしたいと思う方も増えているんじゃないでしょうか。
あとショートカットにしている方のなかには、髪の扱いが苦手で、スタイリングを簡単に済ませたいという気持ちを持っている方がすごく多いんです。そういった方がパーマを取り入れるメリットはとても大きいので、ご提案すると挑戦したいと言ってくださる方は多いですね。
―ショートカットのお客様は、ショートを継続することが多いのでしょうか?
そうですね。やはり一度ショートにすると、継続される率は高いです。その分、どんなショートが自分に似合うのか模索される方、ショートのなかで変化を求める方も多いんですよね。
だから、その方に似合って扱いやすいショートヘアを見つけて、いろんなバリエーションで提案していく必要があります。
ショートにもいろんなデザインがある。追求すれば提案力につながる
―提案の引き出しを増やすためには、どうしたらいいのでしょうか?
常に疑問を持つことと、その疑問を追求して考えて答えを出していくことです。僕はお客様の悩みや疑問を1人1人きちんと聞くようにしています。そこで自分が何を提案できるのか考えていくんです。続けていくと大体パターン化されていくので、そうなれば提案の引き出しにつながっていきます。
その先になって初めて、トレンドを押さえた提案が必要になります。だからまずは、その人の悩みが何なのかを、いかに短いカウンセリングで引き出し、解決できる方法を提案できるかが大切なんです。
―技術力を高めるためにすべきことは?
まずは何が可愛いのかというデザインの追求。自分的に可愛いと思う髪型のバランスをしっかり見つけるのは、その後のスタイリストとしての在り方にも関わってくると思います。僕はショート推しですが、ショートの中だけでも何通りものデザインがある。自分にとって可愛いデザインを探す過程で、どのデザインがどんな人に似合うのかもわかるようになります。
そしてひたすら練習すること。ただ練習するんじゃなくて、1つ目的を決めて練習すると良いと思います。数をこなすことが目的になってしまうと、あまり上達しないんです。きちんと目的、目標を決めて、作業にならない練習をすることが大切だと思います。
ショートデザインのカギは「全体像のバランス」
―ショートカットのデザイン成功のポイントは?
どのレングスでもそうですが、全体のバランスのよさはとても重要。その人の骨格に合った髪のフォルム、レングスの設定…それらがキレイに組み合わさって、全体のバランスが取れていることが大前提です。
そのためには、一歩離れて全体像を見ることが大切です。とくにショートカットはレングスが短い分、目線がポイントに集中しやすい。全体像を意識しながらカットするだけで違ってくると思います。
―パーマを取り入れる際のポイントは?
パーマの提案は、髪質によって変えています。髪が硬くて直毛だとクリクリのパーマはちょっと難しいので別の提案をしますし、逆に細くて根元がペタッとしてしまう方は悩みの原因を解消できるように巻き方を変えたり。その人に合った巻き方、巻きの構成を考えることが必須です。
あとは、パーマをする上でのカットの大切さというのは、常々感じています。毛量調節の少しの違いで、パーマの仕上がりはガラッと変わるんですよね。例えば髪が傷んでいる方はパーマがかかりやすいので、かかりすぎないような毛量調節が必要だったりするんです。パーマは、カットのデザインありき。カットの段階で、パーマを見越した全体像をイメージできるかがカギになると思います。
原口さんが作る『パーマ×ショートヘア』のポイント
ショートヘアでパーマを成功させるためには、カット前に全体像をしっかりイメージしておくことが大切だという原口さん。パーマ後の毛流れまで考えたカットは、なんとパーマなしでも動きと立体感、浮遊感のある仕上がりに!そのポイントは、シェープする時にテンションをかけずにカットすることなのだとか。さらにパーマをプラスすれば、髪質まで柔らかい印象に仕上がるんです。
パーマなしでも可愛いけど、パーマをプラスするともっと可愛い! お客様に「パーマをプラスする喜び」を提供できるデザインです。
『パーマ×ショートヘア』お客様への提案キーワード
1.直毛や硬い髪、ペタッとしてしまうというお悩み解決に
2.ヘアアイロンで巻かずにスタイリングが簡単
3.いつものショートヘアに変化をつけられる
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需要の高まりを感じるショートレングスのパーマスタイル。パーマが成功するには、まず「カット」が重要だと原口さんは言います。後編では、そんなパーマのためのカット技術について、詳しく教えていただきます。
取材・文:山本二季
撮影:片岡 祥
モデル:福江美羽