コロナ禍の売上減でジェンダーレスコスメを開発! エステティシャン大澤隼人さん♯1

以前モアリジョブで、「男性による女性への施術で新境地を切り開く男性エステティシャン」として紹介させていただいた大澤隼人さん。

コロナ禍での売上減の危機を乗り越えるために、2022年7月、大澤さんがジェンダーレスコスメ「a+(エープラス)」を開発したということで、再度インタビューさせていただきました。前編では、a+の前身として美顔器のサブスク事業があったこと、そこから試行錯誤を重ねて化粧品の開発に至ったお話を伺います。

お話を伺ったのは…
(株)アニムスディレト代表取締役
大澤隼人さん


(株)アニムスディレト代表取締役  男性による施術で新境地を切り開く、歴14年のエステティシャン。エステティックと整体を融合させた「姿整美」の考案者でもある。美顔器のサブスクなどサロン以外のビジネスも精力的に行い、2022年7月にはジェンダーレスなセルフケアコスメブランド「a+」を開発。

a+ホームページ:a+(エープラス) (animus.co.jp)

大澤隼人さんのInstagram:@hayato_osawa

a+の前身として、美顔器のサブスク事業があった

ジェンダーレスなセルフケアコスメブランドa+のコンセプトは、「高品質を、続けやすい価格で」。

――大澤さんは昨年、a+というコスメブランドを開発されたそうですが、まずは開発理由を教えてください。

コロナ禍でサロンの売上が50~60%減になってしまい、このままだと会社の存続自体が危ういという時期があったんですね。対面ビジネスそのものが難しくなってきて、でもこの非常事態をどうにか乗り越えなければいけない。サロン以外で何かビジネスできないかと僕なりにいろいろ考えた結果、a+というセルフケアコスメブランドを開発することになりました。でも、a+は突然生まれたわけではなくて、その前身となる美顔器のサブスク事業があったんです

――美顔器のサブスクですか?

はい。家電量販店に勤めている友だちが、「緊急事態宣言中なのに、ひっきりなしにお客様が来る」と言うんです。その友だちになにが売れているのか聞いてみると、「パナソニックの美顔器が売れている」と。コロナ禍で出かけられなくても、美意識の高い人はお手入れを欠かさないということですよね。じゃあ、パナソニックの美顔器でレンタルビジネスができないかと調べたところ、すでに大手のIT企業が参入していました。資金力では勝てないけれど、僕たちの強みは何か? それは、美容のスペシャリストが在籍していること。美容のスペシャリストであるスタッフが実際に使ってみて、本当に効果を実感できるものを伝えていくことが必要だと思ったんです

――スペシャリストがセレクトした美顔器はどんなものだったんですか?

当時、田中みなみさんがインスタライブで紹介してバズッた「セルキュア4Tplus」という美顔器です。これ1台で、毛穴クレンジング・表情筋エクササイズ・細胞活性・美容液導入の4つのトリートメントが可能なアイテムです。180,400円とちょっと高価なものなんですが、ちょうど中小法人・個人事業者向けのコロナ給付金が給付されたので、購入して早速スタッフ間で試してみました

1台4役の「セルキュア4Tplus」。

――実際使ってみてどうでしたか?

みんな口を揃えて「すごくいいね!」と。医療機器から派生した商品なので、EMSの強さもしっかりしていて、ぐっと引き上がって持っていかれる感じがちゃんと出るんですよね。正直、それまで美顔器にはあまりいい印象がなかったのですが、これは特別でした。

すぐに、セルキュアのサブスクをやっているところがあるのか調べたら、まだなかったんですよ。さっそくメーカーに連絡して、「実はうちでレンタルビジネスをやりたいんです」と伝えると、ECで売るのはNGだけれど、レンタルビジネスNGのルールはない。すでにメーカー直系のエステサロンがあって、サロンのお客様に貸し出すことはあるけれど、レンタルビジネスはまだないということでした。身分証明書の提示などなしで180,400円のものをレンタルするのは、やっぱりリスクもあるんですよね。いろいろと細かな問題はありましたが、なんとかセルキュアサブスクのGOサインをいただくことができました。

――サブスク事業がスタートしたんですね。

BASEを利用して、月々11,000円でセルキュアのサブスクを始めました。単に美顔器を貸し出すだけでは、高いイメージになってしまうので、うちの特徴を出すために、オンラインカウンセリングを必須で受講していただくシステムを導入しました

商品到着後に、お客様全員に予約制で使い方の説明を受けていただきます。メリットとしては、お客様の顔を確認できるので、レンタル料金の支払いなどの面で安心感が持てること。そして、正しい方法をお伝えすることで肌の変化を確実に感じてもらえるので2ヶ月、3ヶ月と継続率が上がること。サブスクビジネスは、1ヶ月で解約されてしまうと利益が出ないので、やっぱり継続がいちばん大事なんですね。効果を感じていただいて、継続していただく。離脱率を下げるためにも、オンラインカウンセリングのメリットは大きいですね。

最初は不安だったので、10台からスタートしましたが、「セルキュア」「レンタル」と検索する方が潜在的にいて、そうするとうちしか出てこないので、ひっきりなしに注文をいただくようになりました。20台、30台と順調にレンタル台数が増えていき、60台がフル稼働していたこともあります。

いま使っているコスメラインにプラスワンして、もっと良い肌に

手入れが行き届いた大澤さんのお肌はツヤツヤ。

――美顔器のサブスクから、a+の開発へとどのようにつなげたのですか?

セルキュアのサブスクでは、全国のお客様と繋がることができたので、このチャンスを逃してはいけない。セルキュアでも使える化粧品を自社で作ってみてはどうかという発想で、a+を開発することになりました

――a+というブランド名にはどんな意味があるんですか?

化粧品デビューというと、化粧水・美容液・乳液とラインで出すのが一般的だと思いますが、なかなかラインで使っていただくことは難しいんじゃないかと思っていて。そこで、いま使っているラインにプラスワンして、もっと良い肌の状態になってほしい。それと、アニムスのもうひとつのブランドという意味でa+という名前に決定しました

――第一弾に導入乳液と洗顔料を発売するのは珍しいですよね。

これには裏話があって、実はいちばん最初に商品化を検討したのは、スリーピングホワイトマスクだったんです。アニムスでは、毎週インスタライブをやっているんですが、a+開発責任者のアニムス・ア・ラ・モード店長・中山が、大手S社のナイトマスクをインスタライブでご紹介したところ、「早速買いました」という反響が大きかったんですね。就寝前に厚めに塗って、翌朝ツヤ肌になるという商品なんですが、みんなが持っていないものをプラスワンしてもらうというa+のコンセプトに合っているし、ナイトマスクという言葉も浸透していないから、ナイトマスクを作ろうということになったんです。

――ナイトマスクが発売第一弾としての候補だったんですね。

そうなんです。でも、化粧品を作るのが初めてだったので、薬機法にちょっとてこづった部分がありまして…。せっかくだったら効果効能をうたえる医薬部外品を出したい。中山の提案で、シワの改善とシミ予防ができる”ナイアシンアミド”という成分を入れたかったんですが、医薬部外品の許可がとれるまでには、申請から約1年かかると言われてしまったんです。だったら、申請している間に他の商品を開発しようということになって、中山が導入乳液を、僕は毛穴にアプローチする洗顔料を作りたいと提案しました。

――中山さんご提案のブースターエマルションの特徴を教えてください。

リポソーム化されたヒト型セラミドを配合した導入乳液です。「リポソーム化」とは、配合成分を小さなミルフィーユカプセル状にするテクノロジー。通常のセラミドは分子が大きいため、奥深くまでは浸透しないのですが、リポソーム化することで角質層の隅々までセラミドをしっかり浸透させることができます。セラミドが角質層にいきわたると肌が柔らかくなり、次にのせるアイテムの浸透力が格段に上がります。

a+のもうひとつのコンセプトは、「高品質を続けやすい価格で」。大手の導入美容液だと1万円以上しますが、ブースターエマルションはその半額でほとんど変わらない効果を得ることができます。

お客様からは「肌荒れしにくくなった」という声が多いそう。a+ ブースターエマルション(導入乳液)4,950円(税込)

――大澤さんご提案のディープクレインズホイップはどんな商品なんですか?

炭酸・泥・酵素のトリプル配合で、毛穴汚れや古い角質によるくすみを飛ばし、透明感のある肌へ導くスペシャル洗顔料です。パック感覚で3~5分顔全体にのせて、その後、小鼻など黒ずみや角質が気になる部分をクルクルとマッサージ。洗い流した後は、毛穴の奥の汚れまでしっかり除去できて、スベスベの肌になります。

a+ ディープクレインズホイップ(炭酸どろ酵素洗顔)3,300円(税込)

「しっかりした弾力のある泡が特徴です。炭酸を配合することで血流が促進されるので、ほんのり温かく感じると思います。毎日のお手入れやスペシャルケアとしてもおすすめです」。

――a+の開発にあたっては、中山さんの存在が大きいんですね。

うちでコスメを作るときは、中山がいいというものを作ると決めていました。彼女は、入社当時から肌にコンプレックスがあって、自分の肌にどの配合成分が合って、どれが合わないのか、いろいろな化粧品を使って検証していたんです。だから、悩んでいるお客様の気持ちも分かるし、改善策も見つけられる。それ故に、コスメの流行にも敏感になるのではないのかなと思ったんです。彼女には、自分のコンプレックスは絶対に今後の仕事に生きるから、追求したほうがいいよと言い続けてきました。

大澤さんがa+を開発するまでのポイント

1.コロナ禍の売上減で、まずは美顔器のサブスク事業を始めた。

2.美顔器のサブスクのお客様に使えるコスメを開発した。

3.コンセプトは、日常にプラスワンするセルフケア。

後編では、ジェンダーレスコスメとしての特徴、商品化するまでのご苦労や、売上増のための工夫などをお伺いします。

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Salon Data

トータルビューティーサロンanimus(アニムス)
住所:東京都渋谷区神宮前6-6-8
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