マッサージを基礎から学んだ新人時代。どんな経験も必ず役に立つ【Joelleエステティシャン橋本さほさん】#2
Joelleエステティシャン橋本さほさんは、老舗エステサロンで花嫁へのブライダルエステを担当。結婚・出産を経て、エステサロンJoelleに転職し、人生初となる脱毛ワックスを習得しました。前編では、いちばん行程の長いフェイシャル合格のために、先輩の施術を目に焼き付けて、合格をつかんだお話を伺いました。
この後編では、転職先のJoelleで、初経験となる脱毛ワックスの数々の失敗談、それをどうやって乗り越えたのか、新人時代のリアルな体験談を語っていただきました。
お話を伺ったのは…
Joelle エステティシャン橋本さほさん
老舗エステサロンのエステティシャンとして、百貨店や外資系ホテルのサロンに配属。ブライダルエステを主に担当。結婚・出産のため退職し、産後、自由が丘のプライベートエステサロンJoelleに勤務。ブラジリアンワックスやSHR光脱毛など脱毛メニューを新たに習得し、現在6年目。
知り合いやスタッフをモデルに、初のワックス脱毛に挑戦
――Joelleに入社されたきっかけを教えてください。
Joelleのオーナーが老舗エステサロン時代の同期だったんです。妊娠中にお客さんとしてJoelleを訪れたり、練習モデルをやったりと10年ぶりに会うようになって、オーナーから「手伝ってもらえない?」と誘ってもらいました。当時は、まだ長男が保育園に入る前だったので週1でスタート。保育園に通うようになってからは週3~4日勤務しています。
――Joelle1年目はどんな経験をされましたか?
最初はオーナーとふたりだったので、オーナーの施術のサポートに入ったり、あとは事務的な仕事や雑用を担当していました。ときどき、フェイシャルやボディのお客様に入るようになり、それと並行してワックス脱毛の練習もしていました。
――Joelle1年目で大変だったことはありますか?
光脱毛は前のサロンでもやっていましたが、ワックス脱毛はそれとはまったく違う施術なので、慣れるまではちょっと大変でした。当時はまだオーナーとふたり体制だったので、練習時間があまりとれなくて、時間がとれるときに知り合いやスタッフにモデルになってもらって練習を重ねていきました。毛量も毛質もひとりひとり違うので、誰でも同じやり方というわけにはいかないんですよね。3ヶ月くらい経った頃からお客様に入って、さまざまなパターンを習得していきました。
まったく毛が取れず、オーナーにヘルプに入ってもらったことも
――なにか失敗談とかありますか?
ワックス脱毛はまったく初めての分野だったので、いろんな失敗がありました。始めた当初は、毛質が分かってなかったんだと思うんですが、毛が途中で切れてしまって。そうするとツィザーで抜くことになるんですが、それでお客様にすごく痛い思いをさせてしまったこともあります。
それからワックスの量が多かったり、温度が適温でないと、毛がまったく取れないということがあるんですね。でもお客様の時間は迫ってくるし、次の予約も入っているし、という状況でオーナーにヘルプに入ってもらったことが何度かありました。
あとはVラインをハート型に残すお客様がいらしたんですが、お客様とわたしの間でイメージが違ってしまって、ご満足いただけなかったこともありました。
施術前と施術中の確認作業でお客様のイメージに沿うことができる
――それらの失敗をどう乗り越えたのですか?
まずは、施術前のカウンセリングを丁寧にするように心がけました。お客様に鏡を見ていただいて、毛を残す幅はこれくらい、こんな形でと細部まで確認してから施術に入るようにしました。初めての方や久しぶりのご来店ですでに形がなくなっている方は、とくに丁寧にカウンセリングをするようにしました。
形を残したい方は、やっぱり形にこだわりがある方が多いので、施術前だけでなく、施術中にもこまめに確認するようにしました。お客様も途中経過が確認できて安心できますし、その時点で「上のほうをもう少しとってください」ということも。施術中にも確認することで、お客様のイメージに極力沿うことができるようになりました。
――写真を撮っておいたりはしないのですか?
それはちょっとできないですね。カルテはあるので、「指一本分」とか「細長い楕円」とか、そういった表現で残しておきます。それをもとに、カウンセリングで細かいところやニュアンスが伝わりにくいところを確認しています。
――施術前のカウンセリングと施術中の確認作業が大事ということですね。
そうですね。いまでは、経験を重ねてスピードもついてきましたが、毛量が多くて時間がかかりそうなお客様には、お時間がとれるかどうかも施術前に確認するようにしています。
マッサージを基礎から叩き込んでもらった新人時代
――いま振り返ってみると、新人時代はどんな経験でしたか?
老舗エステサロンは、マッサージを基礎から叩き込んでもらった時期ですね。政治家のご婦人などVIPのお客様が多かったので、そういった方との話し方や接し方を学べたことも大きな収穫だったと思います。Joelleでは、ワックス脱毛という新たな技術を習得するために努力した日々でした。
――最後に、これから美容業界を目指す方へアドバイスをお願いします。
美容の仕事は、肌のことや身体のことなど、自分自身にも直結します。奥が深いので、まだまだ知らないこともたくさんあって、そういうところが楽しいですね。
最初は、お客様に入れなくて、雑用ばかりで辞めたくなってしまう人も多いと思います。でもそれは、美容業界に限ったことではなく、どの業界も同じですよね。雑用の中にも施術に繋がることはたくさんあるので、ひとつひとつ丁寧にやっていれば、それが必ず役に立ちます。最初の数年で辞めてしまうのは、本当にもったいないこと。そこをがんばって乗り越えたときに、はじめてエステティシャンとしての楽しみが味わえるので、諦めずにがんばってほしいです。
取材・文/永瀬紀子