なりたい美容師像があるだけで、学校生活も就活も変わる!【kakimoto arms ROPPONGI HILLSスタイリスト栗原彩さん】#1
新しい道を切り開くとき、誰もが不安を感じるもの。先輩たちはどうやって乗り越えてきたのかを紹介するこの企画。今回はkakimoto arms ROPPONGI HILLSのスタイリスト、栗原彩さんにお話しを伺います。
前編では学校を卒業後、就職先にkakimoto armsを選んだ理由、アシスタント時代にチャレンジしたことなどを語っていただきました。
お話しを伺ったのは…
kakimoto arms ROPPONGI HILLS
スタイリスト 栗原彩さん
2017年に国際文化理容美容専門学校 渋谷校を卒業後、kakimoto armsに入社し、ROPPONGI HILLS店に配属される。‘19年にスタイリストデビューをし、‘22年に三つ星トップスタイリストに昇格する。
入社を決めたポイントは30年後もここで働いている姿が想像できたこと
――栗原さんが美容師を目指すきっかけは何ですか?
家族みんながお世話になっている美容室が地元にあって、そこの美容師さんに出会えたことがきっかけです。私も子どもの頃からその方に髪を切ってもらっていました。とても素敵な方で、今でも尊敬しています。その方に「美容師になりたいなら国際文化理容美容専門学校がいい」と勧めていただきました。
――就職先にkakimoto armsを選んだのはなぜですか?
就活を始める前は地元の美容室に就職をして、地域に密着した美容師になろうと思っていました。ところが先生に「ランクの高いところから下げることは簡単にできる。でも低いところから高いところを目指すのは難しい」とアドバイスされたんです。地元で美容師になるのはいつでもできると思い直して、就活を始めました。kakimoto armsは、先生に勧めていただいたサロンのひとつです。
――kakimoto armsのほかにサロンの見学をしましたか?
いくつか回りました。kakimoto armsか、もうひとつのサロンか、ものすごく迷って、願書を出すギリギリまで悩みました。本当は1か所しか申請できないのですが、先生から「そんなに悩んでいるなら、特別に2か所出してもいい」と許可ももらったのですが、結局kakimoto armsに決めました。
――どちらのサロンにするか、悩んでいたポイントは何ですか?
2つのサロンは雰囲気がぜんぜん違うんです。もうひとつのサロンは、今の私とはまったく違うけれど、そういうカッコいい自分を目指してもいいかも…と思えました。kakimoto armsは今の自分にいちばんしっくりきて、30年後もここで働いている姿が想像できたんです。
さらに決め手になったのは、アシスタントの期間です。サロンにもよりますが、最低3年というところが多くて、中にはスタイリストになるまで6~7年かかるところもあります。kakimoto armsは2年間と決まっていて、早くデビューしたかった私にピッタリだと思いました。
――先生のアドバイスなどを考えると、栗原さんは学校でもかなり優秀だったのでは?
コンテストに積極的に挑戦していたことと、技術や筆記試験の成績が発表される学校だったので、自分なりに頑張ったと思います(笑)。
――卒業して国家試験さえパスできれば成績は関係ない…と思いがちですが。
ある程度、成績は影響します。でも、自分がなりたい美容師像をしっかり描いておくことも大事。そのために作品撮りに力を入れておけば、就活に役立つと思います。
得意なことだけでなく、不得意なことにもチャレンジ!
――一般的に3年かかるところを2年でデビューするにはカリキュラムがきつかったのでは?
ウィッグを使った練習もありましたが、早くからモデルを呼んで実践練習をしました。サロン内で練習するときは必ず先輩が付き添ってくれて、週1回は本社の技術教育部の方が練習に立ち会ってくれるので、同期と連絡を取り合って通いました。
――アシスタント時代は掃除や後片づけもあって、練習も大変ですよね?
ここでは役職に関係なくスタッフ全員で掃除や後片づけに取りかかります。なので、営業が終わり次第、すぐ練習に入れるんです。平日だと9時、土日祝日が8時に営業が終わって、だいたい10時半まで練習していました。遅いときで11時半でしょうか。
今、自分が教える立場になって、アシスタントも大変だけれど教える方も体力的にキツいことがよく分かりました(笑)。営業が終わって疲れているところに、よく見てもらえたなぁ…と(笑)。アシスタント時代は手が遅いので、1つのことをやるにも時間がかかってしまう。それをよく辛抱してくださったなぁと、感謝しかありません。
――アシスタント時代を乗り越えるために、どんな心構えでいましたか?
2年間のカリキュラムをこなして、誰よりも早くデビューしてお客さまに寄り添った接客と技術を磨いて、たくさんのお客さまを担当したいと思っていました。そのために、モデルさんを呼んで実習するときも、お客さまとして来ていただく意識を常に持って取り組んでいました。
kakimoto armsには、スタイリストだけではなくアシスタントも参加できるコンテストがあるんです。私もアシスタント時代に参加していました。
――そうやって技術力を磨いてきたんですね。
練習するとき、得意なことに偏りがちですよね。私は女性らしい柔らかなスタイルが得意なんですが、逆にエッジが効いたモードなスタイルが苦手。柔らかなスタイルばかりだと、コンサバになりすぎてしまいます。エッジをどうやって効かせるのかをトライし、先輩にアドバイスをもらって、またチャレンジする…というのを繰り返しました。
2年でスタイリストにはなれますが、「どこまでできるか」と言えば実力はまだまだ。私の感覚だと、アシスタント時代が終わってもトップスタイリストになるまでは、一人前ではないと思います。それまでの間、課題や問題があればそのたびに先輩に聞いたり、先輩の仕事を観て真似をしたり。「これで終わり」ではなく、これからもずっと学び続けていくんだろうなと思っています。
地元に密着した美容師を目指していた栗原さん。学校の先生のアドバイスに従って、kakimoto armsに入社しました。アドバイスを受け入れた上でじっくり考え、何が自分に合っているのかを突き詰める姿勢に、揺るぎない芯の強さを感じました。
後編では、スタイリストになってぶち当たった壁をどう乗り越えたのか、ハイクラスなお客さまを接客するための努力について、ご紹介します。
撮影/森 浩司