「お客様一人一人にもっと向き合った接客がしたい」と独立。新規客も増え続ける現在地【フリーランス美容師 鈴木杏奈さん】#2
10代で東京・原宿の人気サロンMINXに入社。最年少スタイリストデビュー、最年少ディレクター昇格という快挙を達成した鈴木杏奈さん。退社後は、フリーランスの美容師としてシェアサロン「GO TODAY SHAiRE SALON新宿」で、理想の働き方を叶えた充実した日々を過ごしています。
後編では、自分を追い詰めすぎて体を壊した経験から、SNSで感じた集客への自信。もっと一人のお客様と向き合いたい、との思いから独立した現在までを伺います。
お話を伺ったのは…
美容師 鈴木杏奈さん
ヘア&メイクアップアーティストに憧れ、中学卒業後バンタン研究所高等部に進学。並行してハリウッドビューティ専門学校と通信制の高校というトリプルスクールに通いながら、資格を取得。卒業後は原宿の人気サロンMINXに入社。最年少スタイリスト、最年少ディレクターデビューというキャリアを経て、24歳で独立。
働き方を見つめ直した時に「ずっとは続けられないな」と感じた
――スタイリストデビュー後、がむしゃらに働いて、トップスタイリスト、ディレクターに昇格。次々と最年少記録を更新していきます。
もともとヘア&メイクになるための経験値として入社したので、とにかく早くデビューしたかったんですよね。たくさん練習して、たくさん場数をこなして、結果的に当時のMINXで最年少記録ということになりました。
――スタイリストになってからの働き方も相変わらずハードでしたか?
そうですね。それで一時期体を壊してしまい、お休みをしたこともありました。そこで一度立ち止まって考えた時に「いつまでもこの働き方では体が持たないな」と思い、集客のためにさらにSNSを活用することにしたんす。
私の場合はインスタグラムだったんですが、テーマはコンプレックスの解消。自分自身が10代の頃からコンプレックスだった、「前髪」や「小顔ヘア」に力を入れることにしました。
インスタグラムでは気になった思った人に1日100件ぐらいDMを送って、カットモデルになっていただき、仕上がりを撮影してそれを投稿。そんなことを1か月ほど続けているうちに、投稿を見たお客様からの問い合わせがみるみる増えていきました。
最初から最後まで自分が納得のいく施術をしたい
――独立を考え始めた理由はなんですか?
ありがたいことにお客様が増えてきて、同じ時間に5人とか同時に施術するようになりました。もちろんアシスタントさんにも手伝ってもらうのですが、そのやり方が私には合わなくて。
私はもともと不安が強い方なので、あとでいろいろと考えてしまうんです。「あそこもう少し切ったほうが良かったんじゃないか」とか、「あのお客様の接客時間が短かったけれど、満足して帰られたかな」とか。閉店後にくよくよ後悔したり、夢にまで出てくるぐらいでした。
――もっと時間をかけて施術がしたいと。
そうですね。私は接客も好きですが、カラー、パーマ、シャンプーといった繊細な作業も好きなんです。なので、本心では、サロンではアシスタント作業になるようなことも全部自分でやりたいと思っていました。
そういった思いを持ちながら、数年かかって自分が目標にしていた集客や売り上げを達成。
同じころに働いていたサロンがビルの取り壊してなくなることになりました。ここがタイミングかな、と思い退社することにしました。
「失敗しない」のは当たり前
――フリーランスでやっていくことに不安はありませんでしたか?
私が退社をした時はコロナ禍の終盤ごろでした。お客様が減って空き時間が増えたので、インスタの更新を頑張っていたんです。その期間でさらにフォロワーが増えて、「これなら独立しても大丈夫かな」という自信がつきました。
――お話を伺っていると、杏奈さんは組織で働くよりも一人で考えて行動することが合っている気がします。
そうかもしれません。私自身自分にはとても厳しいのですが、みんなで何かをするとか、後輩を指導するとか、そういったことにはあまり興味が持てませんでしたね(笑)
フリーランスだからこそお金のこともシビアに考えて
――フリーランスは自由な反面、すべての責任が自分にかかってきます。
はい。私が信念にしているのは「絶対に失敗しないこと」です。「このぐらいでいっか」とか「90%の出来なら十分」と思うことは絶対にしません。
たとえばカットだと、スピーディにかっこよく切る見せ方には興味がなくて、自分とお客様が納得するまで何回も細かくハサミを入れます。慎重に丁寧にが、私のやり方ですね。
それで「いつ来ても杏奈さんならかわいくしてくれる」と思っていただけるのが、最高の喜びですね。
――フリーランスを続けるにあたって、必要なことはありますか?
SNSなどで発信を続けて集客を欠かさないこと。売り上げ目標を立てて、それを実現するためにはどうすればいいか考えて行動すること、ですかね。
待っていてもお客様は来てくれません。フリーランスになった以上は、お金のことも含め、自分ですべての舵取りをする覚悟が必要です。
私は独立した時に、サロン時代よりもメニューの料金を上げました。それは最初から最後まで自分が手がけることで、1日に接客できる人数が限られるから。「この価格だとお客様が減るかも」という心配ももちろんありましたが、その分満足いただけるように精一杯の施術を提供しています。
――今後の展望はありますか?
シェアサロンという形態は変わるかもしれませんが、美容師という職業はずっと続けていきたいです。今来ていただいているお客様と一緒に歳を重ねて、おばあちゃん・おじいちゃんになるまで担当させていただくのが夢です。
また、これからはプライベートも充実させていければと思っています。旅行が好きなので、国内海外問わずいろいろなところに出かけていきたいですね。
鈴木杏奈さんの成功の秘訣
1.同じことの繰り返しでも継続すること
2.常に謙虚でいること
3.身も心も自由でいること
取材・文/皆川知子(tokiwa)
撮影/ワタナベミカ
Salon Data
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住所:東京都渋谷区代々木2-7-3 第7荒井ビル 3F
※鈴木さんは現在こちらのシェアサロンで活動しています。