成長も居心地のよさもどちらも選べる。「無理をさせない」成長戦略「BeautyGrow」中村宗平さん
日本の美容業界を支える企業の魅力を紹介する本企画。今回登場いただくのは、株式会社BeautyGrowです。ヘアカラーサロンやアイラッシュサロンを展開するSPEEDYグループ、ヘアサロンの「美髪⾰命CELESTE」、「OAKhair」などを集結させて2024年10⽉に設⽴された会社で、関東、中部、九州・沖縄エリアを拠点に全国に75店舗を展開しています。
前編では2年前から執行役員としてSPEEDYグループに参画している中村宗平さんに、企業理念や会社の強みを伺いました。
「BeautyGrow」で大切にしているのが、「キャリアアップをすることも、しないことも選べる」ことだと話す中村さん。個人の意思に合わせて、月の勤務時間を選ぶこともできるといいます。
その根底にあるのは、「美容を通じて笑顔を作る」という企業理念。スタッフが無理なく働けて、業界で長く活躍できることを目指しており、それが結果的にお客様や関連する企業まで笑顔にすると考えているそうです。
お話を伺ったのは・・・
株式会社BeautyGrow
執行役員
中村宗平さん
2002年早稲田大学卒。新卒でコンサルティング会社に就職し、27歳で独立後はブライダル企業や飲食企業の立ち上げに携わる。2014年に英会話スクールを創業し取締役COOとして11店舗生徒数7000人、スタッフ150人のマネジメントを担当。2022年より株式会社SPEEDY(BeautyGrowの前身)に参画し今に至る。
美容を通じて、お客様にもスタッフにも「笑顔を作る」
――「BeautyGrow」の経営ビジョンについて教えてください。
前身である「SPEEDY」から引き継いでいる企業理念は「美容を通じて笑顔を作る」ということです。「SPEEDY」から変わらず代表を務める斎藤が大切にしている考え方でもあります。
――そのビジョン実現のために、具体的にはどんなことに取り組んでいるのでしょうか?
3つのミッション、「高品質で低価格なサービスをスピーディーに提供します」、「働く仲間が自分らしく自由に輝けるように応援し続けます」、「人として『モテる』人をたくさん創ります」を掲げています。
ひとつ目のミッションは分かりやすいと思うのですが、ふたつ目に込めた思いとしては、働く仲間の希望やライフステージに沿った働き方を尊重するということです。仕事をがんばりたい、稼げる自分になりたいというスタッフには成長機会を提供しますし、マイペースでプライベートや家庭の時間を優先して働きたいというスタッフにはその働き方も選択できるようにしています。その一環として月の勤務時間が140、160、180、200、220 時間から選ぶことが可能ですし、主婦の方でも働きやすいような時短勤務にも対応しています。これは弊社の大きな特徴だと思っています。
3つ目の「モテる」というのは、内面も魅力的で愛されていて、自分と周囲の人を笑顔にできる人です。お客様や働く仲間からモテる人になれれば、自分に自信がつきますし、よい出会いを引き寄せることができると考えています。そして自分と周囲の人を笑顔にできて、より豊かな人生が歩めると思うんです。
――ミッションも明確に定められているのですね。
はい。さらにこれらのミッションが単なる飾りになってしまわないように、「顧客満足度を追求する」、「常に笑顔を心掛ける」、「自分と仲間の給料を上げる行動をとる」というような行動指針も明文化して定めていまして、これらの評価が高い人はお給料にも反映されるようになっています。業績、スキル面、成果だけでなく、人としての部分で理念にのっとっている人がより評価される仕組みです。
行動指針は、研修にもその内容を入れたり、全体の総会のときに改めて話したりすることで浸透させるようにしています。
「選べる」働き方で多様性を実現
――中村さんが、この会社に入社された理由は?
僕は新卒で入った会社で、代表の斎藤と同僚として働いていました。その後、斎藤はさまざまな会社経営などを経験し、「BeautyGrow」の前身である「SPEEDY」の代表に就いたわけですが、僕が前職を辞めるときに斎藤から声をかけられたのがきっかけで、「SPEEDY」に入社をすることになりました。
僕はこれまで、まったく美容には携わってこなかったのですが、それでも入社を決めたのは、斎藤の強い思いに心を動かされたからです。この会社の理念である「美容を通じて『笑顔』を創る」というビジョンは、昔から斎藤が持っていた、人を喜ばせたい、笑顔にすることが好きだということに通じていると感じました。ずっとぶれない姿を見てきたので、本心から関わる人すべてを笑顔にしたい思いがあることを感じて、その実現を応援したいと思ったんです。
――そういった経緯があったのですね。スタッフの方を笑顔にするために、大切にしていることはありますか?
ミッションの部分でもお話ししましたが、ライフステージに合わせて、柔軟に働き方が選べるということです。働き方は3ヶ月ごとに切り替えられる仕組みですが、急な事情がある場合は、すぐに変更することも可能です。
この「選べる」というのが大きなポイントだと私たちは考えています。まず「BeautyGrow」の社名の通り、美容を通して成長したい人を応援しています。美容師は技術職なので、技術を磨いてどんどんお客様につきたい人、キャリアアップをして上の役職につきたいという人が成長できる環境を整えているんです。
一方でもちろんキャリア志向が強い人ばかりではないので、自分のペースで仕事をしたい、現場のお客様と向き合っていい仕事をしたい、という人も大切にしています。成長を前提としている会社というのは、そこにいるのがしんどくなることもあると思うんです。だから本当にどちらを選んでもいいと思っていますし、どちらも許容しているのが大きな特徴だと思っています。
――スタッフ間のキャリア志向が異なることで、摩擦が起こることもあると思うのですが、その点はいかがでしょうか?
弊社の場合は、役職給やインセンティブなどどうすればいくらのお給料をもらえるかの評価基準をオープンにしていますので、その点でもめることはほとんどないと思います。たとえばステップアップしたい人にはそのための研修も用意していて、参加する人は自分の時間を使って努力をしている人ですよね。その対価として収入が上がるというのは当たり前のことなんだと、スタッフにも説明しています。それぞれが多様性をもって働いていることは、みんなが納得していると思います。
――お話しを伺っていると、とてもホワイトな会社ですね。
完全に達成しているとは言えませんが、ホワイトな会社環境は、私たちが目指していることのひとつです。働き方以外にも、不満があったときにすぐに吸い上げて、改善に動くことは大切にしています。本部のマネージャー陣とスタッフが定期的に1on1のミーティングを行うようにしていますし、それでも改善が難しいときは社長が直接飛んでいって、話しを聞いたり、改善したりすることもあるんです。
――その背景にはどんな思いがあるのでしょうか?
無理をせず長く働いてほしい思いがあります。ストレスを抱えていたり、長時間労働をしていたりすると、一時的にお金は稼げるかもしれませんが、それは長くは続かないと思うんです。だからこそ、何十年と働き続けても、体の負担がなく、自分に十分なお給料を働くことができるように、時間単価を上げてほしいと思っています。
たとえば弊社が展開するヘアサロン「美髪革命CELESTE」では「美髪革命」という研修制度があって、それを受けると縮毛矯正などの高い単価メニューを習得できます。そうすると平均して月に10万円くらいは給料があがるわけです。このようにして無理をしなくても、自分の価値を上げられるような仕組みはこれからも考えていきたいと思っています。
4次会、5次会までの飲み会も。会社好きなスタッフが多い企業
――「BeautyGrow」に入社してくる人は、働きやすさを魅力に感じて転職してくる方が多いのでしょうか?
そうですね。美容業界の駆け込み寺、最後の砦のようになっている部分がある気がします。ほかの会社で疲弊してしまって、人間関係に苦しんで。でもやっぱり美容の世界にいたいということで、転職をしてくる人が多いんです。実際に転職してきたスタッフからは「ちょっとゆるさもあるし、寄り添ってくれるので居心地がいい」、「ほかではストレスが強くて働けなかったけれど、ここでなら働ける」と言われたこともありました。また一度は事情があって辞めても、またこの会社に戻ってくるスタッフも多いです。
ちょっと手前みそになるかもしれませんが、社内には、この会社が好きだという人が本当に多くて。飲み会を開いても1次会で終わる会社が多いと聞きますが、うちの会社の場合は強制をしているわけではなくても、4次会、5次会になっても人数が減らないんですよ。社長のほうが疲れて寝てしまっているくらいで(笑)。そんな雰囲気の会社です。
――今後の目標を教えてください。
スタッフ、お客様、関連する会社など、笑顔を増やしていくためには、店舗を増やしていくことが必要だと思っています。店舗展開、企業の拡大はこれからも続けていきたいです。
――この企業を目指す人にメッセージをお願いします。
それぞれのブランドによってスタッフの年齢層が異なるのですが、「美髪革命CELESTE」は大人年齢の業務委託、ヘアカラーとトリートメントの専門店「SPEEDY」は30代~40代ぐらいの正社員やアルバイト、まつ毛パーマは20代前半のスタッフが多く働いています。
このように年齢層は異なりますが、共通する理念として、お客様を笑顔にしたい、喜ばせたいという思いがあるので、そこに共感していただける方、さらに行動指針、大事にしている価値観に合う方に働いてほしいという思いがあります。
また社内の働き方もまだ完成形だとはまったく思っていないので、まだまだ足りないところが多いのですが、今後充実させていきたいという思いがとても強い会社だという自負はあります。常にスタッフの声を聞きながら改善していきますので、ほかの美容の会社で疲れたという方にはぜひ一度お越しいただきたいと思っています。
中村さんのお話しを伺っていて、本当にスタッフ思いで、その信念によって発展してきた会社だということが伝わってきました。その思いがスタッフにも伝わり、社内のやわらかな雰囲気につながっているのだと感じました。
後編では、「BeautyGrow」が展開するカラーとトリートメントの専門店「SPEEDY」で、入社10年目となる今井仁美さんに、現場のお仕事のやりがい、会社の魅力を伺います。
カットが苦手で美容師としてのキャリアに悩んでいた今井さんは、カラー専門店の存在を知り、ここでなら無理なく美容師を続けられると思ったといいます。後編もお楽しみに!