子供の頃からの「好き」が仕事という形になるまで【Ten Nail/PART OF NATURE代表 秋山かなさん】#1
ネイルサロンDISCOで経験を積み、自身のサロン「Ten Nail」をオープンさせたのは2017年のこと。まるで爪をキャンバスに見立てたような繊細なアートや色使いが秀逸で、その魅力的なデザインを求めてリピーターも増えています。
子供の頃から大好きだったネイルが、自分の目指す形で“職業”として実現するまで。秋山さんが歩んできた道のりを振り返ります。
お話を伺ったのは…
Ten Nail/PART OF NATURE代表 秋山かなさん
都内2店舗を経て2017年に独立。表参道にネイルサロン「Ten Nail」をオープンさせる。さらに2018年から立ち上げたヴィンテージショップ「PART OF NATURE」では、海外を旅しながら買い付けた花瓶やオブジェなどのインテリア商品を販売。ネイルアート、ショップのセレクトともにセンスあふれる秋山さんの世界観にファンが多い。
KANA’S PROFILE
- お名前
- 秋山かな
- 出身地
- 神奈川県
- プライベートの過ごし方
- ピクニック、お花見
- 仕事道具へのこだわりがあれば
- アナログですが、どこへ行くにも手帳を持ち運んでいます。気になったモノ、コトはすぐにメモが取れるし、スケジュール感も把握しやすいので。
絵を描くこと、爪を磨いてピカピカにするのが好きな子供でした
――ネイリストを目指したきっかけは?
子供の頃から絵を描くのが大好きで、ずっと絵を描いてました。
爪をキレイにすることにも興味があり、爪磨きセットを買ってもらって、爪をピッカピカにするのが楽しくて。体育館の照明ってライトがたくさんついてるから、天井に向かって爪を照らすとピカピカになって、それを見て喜んでました。
あとは、母がいつも真っ赤なネイルを塗っている人で、その上からポスカでアートさせてもらったり。
――爪をキレイに見せることに興味があったんですね。
その爪を褒めてもらったり、喜んでもらえるのが子供ながらすごくうれしくて、よく覚えています。そんな経験が根底にあるのかもしれません。
――ネイリストの道へはどのように進まれたのですか?
昔から好きだったけれど、ネイル=仕事にはなかなか結びつきませんでした。職業としてやっていくのは難しいのかなというのもあり。
当時、保育にも興味があったので、保育科の学校に進学して幼稚園の先生になりました。
――そんな経歴が!
幼稚園でがんばって働いていたもののなかなかうまくいかなくて、自分には不向きだなと感じて一年くらいで辞めてしまいました。
ネイルができない環境にしばらくいたからか、その反動もあったのかもしれませんね。やっぱりネイルがやりたくて、仕事としてネイルに向き合っていくことに。
――どうやって技術を身につけていったのでしょう?
サロンワーク未経験でも働けるネイルサロンを見つけて、そこで先輩にいろいろ教わりながら、スクールにも通いました。
そのネイルサロンで働きながら勉強して、検定1級を取得しました。
――資格を持っているとやはり有利?
ネイルは国家資格ではないので持ってなくてもネイリストにはなれますが、サロンでいざ働くとなると、検定1級以上を持っていないとダメだったり、そういう細かい募集要項が多いんですね。未経験で働けるところは意外と少ないかもしれません。
そういう中で、働きながら勉強もできるサロンに入れたのはありがたかったです。
サロンで働きながら資格を取得。その後、人気店DISCOの門を叩く
――その次に所属されたのが、「DISCO」。業界でも有名な金子渚さんのサロンですよね。
最初にいたサロンはどちらかというとキレイめのデザインが主流で、それも好きだったのですが、やっぱり一番興味のあるアートを本格的に学びたくて。
最初にDISCOへはお客さんとして行って、初めて渚さんにネイルをしてもらったんです。その時の感動は今でも忘れません!
私もネイルでこんな風にお客さんに喜んでもらいたい、そういう仕事がしたいと思いました。
――すぐに採用は決まったのでしょうか?
渚さんはずっと一人で営業されていたんですね。それで当時ずっとアメブロを書いていて、私は毎日読んでいたのですが、ある日、求人の記事が出て。
「これは今がチャンスだ!」という勢いで、すぐに履歴書を送って、面接していただけました。
――DISCOで働いてみてどうでしたか?
まず入って思ったのが、お客様が当たり前のようにアートを求めて来てくださること。アートをやりたかった私にとって、本当にありがたい環境でした。
期待に応えようとがんばるんですが、お客様と会話をしようとすると、どうしても手が遅くなってしまう。「スピード感」というのが課題の一つでした。
お客様をがっかりさせてはいけないし、いつでも完璧にできるようにと、練習もめちゃくちゃたくさんしました。
――学んだことも多かったのでは?
オフする時ってネイルを少しずつ削っていくのですが、その過程でこの色の下にこんな色が出てきた、こうやって重ねていたのか! とか、いろんな発見があるんです。
そんな面からも、渚さんのアートを学ばせてもらいました。
――当時はメディアへの露出も多かったと思います。
そうですね。サロンワークを21時までやって、その後から依頼されたネイルチップの作成をすることが多かったです。
0から1を生み出すことはすごくパワーがいりますよね。もう夜な夜な二人で頭を抱えながらの作業でした。気づけば朝!? ということも。
たくさん練習して、自分のできない部分もいろいろ実感して。スピード感という課題は、数をこなすことで手が一連の工程を覚えたのか、だんだんと速くできるようになっていきました。
2017年に独立。念願のサロン「Ten Nail」をオープン
――DISCOで経験を積み、ご自身のサロンをオープンしたのは?
2017年に独立して、Ten Nailをスタートしました。
将来、お店をやりたいとはずっと考えていましたが、その時が来たのかなという自分なりのタイミングでした。
始めるにあたって大変だったのが物件選び。住居用の物件とはまた違って、いいなと思う部屋で、かつお店をやってもOKというところがなかなか見つからなかった。そういう物件を探している人が多くて、競争率も高かったのでしょうね。
――ここにした決め手はどんなところでしたか?
入った瞬間に、日の光が優しく当たって気持ちがいいなと感じたところです。
――「Ten Nail」の名前の由来は?
「テン」と聞くといろいろ想像できると思うんです。
点と線のテン、お天道様のテン、指は10本でテン、爪も10個でテン。この場所は3階だったから、お天道様に近い感じがして、テンというのがよりしっくりきました。
――お店のコンセプトを教えてください。
「来てくださるお客様が、みんなハッピーな気持ちで帰ってほしい」そんな思いを込めています。
ネイルって、本来なくてもいいこと。それを求めて来てくださるということは、すごく美意識も高いでしょうし、お洒落好きな方も多い。ご褒美としてネイルをするという方もいらっしゃいます。
指先だからいつでも見れて、気分が高まったりワクワクしたり、心を豊かにしてくれるような存在。そんなネイルができるネイリストを目指しています。
実は幼稚園の先生の経験もあった秋山さん。最初のサロンで5年、さらに有名店DISCOで5年と、しっかり下積み時代を過ごしてのTen Nailオープン。後半では、そんなTen Nailの魅力をさらに詳しく。さらにもう一つのお仕事でもあるヴィンテージショップ「PART OF NATURE」についてお聞きします。
取材・文/青木麻理(tokiwa)
撮影/生駒由美
Salon Data
Instagram@mynameiskana
住所:東京都港区北青山3-8-3 青山レジデンス302
*PART OF NATUREは、Ten Nailと同じビルの202にあります。
Instagram@_part_of_nature_