貪欲に旬な情報を取り込み、変化し続けてきた30年『SHOUT』
『SHOUT』がオープンしたのは1987年のこと。まだインターネットが一般的ではなく、当たり前ですがFacebookもTwitterもInstagramもなかった時代です。めまぐるしく変わりゆく時代のなかで、『SHOUT』はどのように変化を受け止めていったのでしょうか。代表取締役の石井和美さんに、時代の変化の捉え方と取り込み方について話を伺いました。
接客が苦手なら技術で、技術が未熟なら接客で補う
――お客さまの幸せをつくるために、どのようなホスピタリティの提供を心がけているのでしょうか?
「お客さま1人ひとりに、担当者がつきます。でも、だからといって“誰かのお客さま”という接し方はしません。お店にいらっしゃったときには、全員がお客さまのほうに体を向けて『いらっしゃいませ』とお迎えして、お帰りになるときもみんなで『ありがとうございました』と感謝の気持ちを伝えています。
『SHOUT』のシャンプー台はフルフラットになっています。お客さまが完全に横になってリラックスできるつくりになっているのです。ゆっくり静かに過ごしていただきたいので、話しかけるときも、そのときは声のトーンは小さくします。横になっているときに頭のそばで大きな声を出されたら嫌ですものね。そういった基本的な気遣いは身につけてもらうようにしています。
お客さまとどんなふうに関わるかは天性のものがあるのかなと思っています。でも、おしゃべりが苦手なのであれば技術でカバーすればいいし、技術が不足しているのであればコミュニケーション力でカバーすればいい。努力はいくらでもしていけると考えています」
お店のスタッフをお客さまが育ててくださいます
――マネジメント層の方が従業員のみなさんとのコミュニケーションをとても大切にしていらっしゃるのかなと感じました。
「そうですね。やっぱりコミュニケーションは大切ですね。ですから、お客さまとのコミュニケーションも大切にしていますよ。もう30年もやっていますから、長く通ってくださっているお客さまがたくさんいます。当然、従業員の入れ替わりもよく見ていらっしゃいます。『先日入った美容師さん、以前より気遣いが上手になりましたね』など、おっしゃっていただけることもあるのです。もちろん、よくない点を指摘されることもあります。ですから、このように長くお店をやっていると、お客さまに従業員を育てていただいているということを実感しますね」
――長く通われているお客さまの言葉があるというのは、30年もやっている『SHOUT』さんならではですね。
「現場でいただいた言葉を柔軟に取り入れながら、お客さまと向き合ってきたからこそ、いまの『SHOUT』があると思っています。続けていくためには変化に敏感に対応していかなくてはなりませんからね。その努力は続けています。いまの店舗も2年半前に改装したばかり。ガラス張りのかわいい雰囲気にして、女の子が来店しやすい見た目に変えてみました。変わり続けることが大事なんですよね」
発信し続けることで、旬な情報を捉えることができる
――そのような変化に対するアンテナはどのように立てているのですか?
「それはもう若い子たちと話をして、流行っているものなどを教えてもらうことですね。若い従業員はベテランに比べて技術は劣るかもしれませんが、旬の情報には詳しいものです。ですから、みんなで交流をしていけば、自然にお店の全体の技術レベルが底上げされるし、旬な情報も仕入れることができるわけです。
最近はInstagramで『SHOUT』を知ったお客さまが来店することも多いですね。昔はそんなことありませんでしたが、いまはFacebookにTwitterにInstagramにと、お客さまに情報を発信していけるツールがどんどん広がっています。そういうものもどんどん取り入れていくといいですよね。
発信していくことは大切です。発信するからこそ情報は集まってくるのだと思います。たとえば、ヘアカットのモデルさんを募集するとかわいい子がたくさん集まってきます。彼女たちもまた口コミの発信源になってくれるんですよね。そんなふうに常に時代に合わせて変化し続けてきたからこそ、『SHOUT』はこの場所にあり続けることができているのだと感じています」