【美容師のカット技術】Belle Kichijoji 新井直樹さん流 『長めマッシュバングの小顔ショート』#1
小顔効果の高い髪型として人気のショートスタイル。その反面、頭の骨格が顕著にあらわれるため、カット技術が試されるレングスでもあります。そんな骨格補正効果の高いショートスタイルを、「Belle Kichijoji」の新井直樹さんが伝授。前編では、新井さんが技術力向上のために取り込んできたことと、ショートスタイルのトレンドについてお伺いします。
技術ひとつひとつにこだわったアシスタント時代
「Belle Kichijoji」副店長 新井直樹さん
――美容師を目指したきっかけは?
高校2年生のときに初めて、いつも行っていた地元の美容室じゃない、街にあるサロンに行ったんです。そこで、かっこいい美容師さんに出会ったのがきっかけでした。それから、ずっとそのサロンに通って、地元の美容学校に入学してからも、インターンでもお世話になりました。卒業後は、都内のサロンで1年アシスタントをして、2010年のBelle立ち上げのときに声をかけていただいて参加することに。Belleでは4年ほどアシスタントを経験し、25歳でスタイリストになりました。
――アシスタント時代に力を入れていたことは?
「シャンプーがうまいと売れる」っていうジンクスがあるんですよ。それを信じて、かなり練習していましたね。休日には、シャンプーがうまいと有名なサロンに講習を受けに行ったりして。そうしたら、業界誌で特集を組んでもらえるほどになって、「日本一シャンプーがうまい」って(笑)。今になって思うと、そのジンクスの意味って、美容師にとって大切なことを表していたのかなと。
――大切なこととは?
ひとつは、お客様に対してのホスピタリティ精神。シャンプーで、気持ちよくリラックスしてほしいという気持ちを持つことです。もうひとつは、技術を向上させたいという気持ち。シャンプーって、美容師になるための一番最初の技術なので、そこを突き詰めるってなかなかしないんです。テストに受かったら、すぐ次の技術にいくんじゃなくて、どんな些細な技術でも「うまくなりたい」と思うことが大切ってことなのかなと。結局、自分の場合はデビューまでかなり遠回りになりましたけど(笑)。シャンプーのあとの技術も、いちいちこだわっちゃって…。結果として、いろいろな技術は身についたので、今はよかったと思えます。
――デビュー後は、どんなふうに技術を磨いていましたか?
ひたすらカットの練習をしていましたね。カリキュラムに受かってからも、代表に「教えてください」って頼んだり。忙しい方たちなので、なかなかマンツーマンで教えてもらうことってできないんです。だから、僕はパソコンが得意なのでショーとかセミナー用の映像などを作る代わりに、1週間カットを教えてください、と(笑)。あとは、セミナーに行ったり、業界誌を読んだり。
――美容学生時代は、何を学ぶべきだと思いますか?
学生時代は、よく先輩方に「とにかく遊べ」って言われてたんです。そのときはわからなかったけど、それは「好きなことを見つけて、チャレンジしろ」ってこと。学生のころ一番重要なのは、「就職先を決めること」で、有名店を受けることにステータスがありました。でもそうじゃなくて、周りの目に流されず、自分が本当に好きなことを見つけてほしい。そのために、旅行でも、コンテストでも、雑誌を読むのでも…なんでもいいので、好きなことを見つけるために時間を使ってほしいですね。
――アシスタント時代は?
僕はかなり完璧主義だったので、今でこそよかったと思いますけど、アシスタント時代はもっと適当でも良かったかな(笑)。アシスタントでしか使わない技術ってあって、それがスタイリストになったら無駄になるということは決してないけれど、要領よくやらないと自分に負担になってしまうのかも。スタイリストになったら、全部70点より、1つ120点の武器を持っているほうが結局強い。好きなことに特化して、だれにも負けないくらいに仕上げるには、アシスタント時代からじゃないと身に付きません。そのためにも、抜くところは抜いて、しっかりやるところはやる。スタイリストになったら、お店のことや教育のことも考えていかないといけませんし、そのほうが結果自分に返ってくるようになります。だからこそ、若いうちは自分だけのことを考えて、追及していくのもいいんじゃないかなと思います。
若い力に刺激を受けデザインをアップデートしていく
――ヘアデザインを考えるためのインプットは?
以前は業界紙や一般誌が多かったけど、今はやっぱりSNSですね。僕はよく、若いスタイリストさんの投稿を見ます。勢いのある若いスタイリストさん、多いですよね。投稿を見ると、自分と感覚が違うなっていうのを感じます。美容師の感覚ってこうやって古くなるんだなって、節々で感じるので(笑)、自分がうまいな、かっこいいなと思うものよりも、新鮮さを感じるものを見ることで、感覚が古くならないように意識しています。そういう新しい感覚を知っているのと知らないのとでは、提案するデザインも変わるのかなと。
――集客でもSNSを使っていますか?
僕自身は、SNSの投稿が苦手で(笑)。お客様は、口コミや紹介が多いですね。僕のお客様は半分くらいショートカットで、しかもカットのみの方が多いんです。自分自身、ここ1年くらいで自分のカットがいい感じになってきたと感じているんですが、それにつれて口コミや紹介も増えました。そういうお客様は、カットにこだわりを持った方が多くて。僕はカットがすごく好きなので、とてもうれしいんです。
――では、最近のショートスタイルのトレンドを教えてください。
ここ数年、前髪長めのショートがすごく流行っていますよね。とくにセンターパートの、いわゆるハンサムショートは主流。あと人気が高まっているのが、マッシュバング。耳にかけたときに前髪が独立せず、サイドとつながるラインがキレイなので、おすすめです。どちらにしても、サイドバングは長めにしたいところ。バックはウエイトポイントを低めに設定すると、今っぽいと思います。
新井さんが提案する『長めマッシュバングの小顔ショート』
前髪を長めに設定したマッシュバングのショートスタイル。バックのウエイトポイントを低めに設定し、襟足は角を残して。骨格補正効果で、小顔&細首に見える。耳にかけても、そのまま下ろしてもかわいい!
新井さん流『長めマッシュバングの小顔ショート』のいいところ
1.顔型、頭のかたち、首の太さを補整して小顔に!
2.楽ちんスタイリングで朝の準備も時短
3.年齢問わず似合って、若見え効果も
アシスタント時代から、さまざまな技術力の向上にこだわってきた新井さん。スタイリストになってからも追求しつづけたカット技術で、力が問われるショートスタイルでもお客様から高い支持を得ています。そんな新井さんが提案してくれた『長めマッシュバングの小顔ショート』。後編では、その詳しいカット方法をご紹介します。
▽後編はこちら▽
【美容師のカット技術】Belle Kichijoji 新井直樹さん流 『長めマッシュバングの小顔ショート』#2>>
取材・文:山本二季
撮影:奥村亮介(スタジオバンバン)
ヘア&メイク:新井直樹(Belle Kichijoji)
モデル:りりあ
教えてくれたのはこの人!
新井直樹さん
Belle Kichijoij 副店長
骨格矯正級の小顔見せショートカットや、柔らか質感パーマが得意。国内外でのセミナー講師や雑誌撮影、ヘアメイクなど幅広く活躍。丁寧なカウンセリングと確かな技術で、リピーター、口コミでの集客も多数。
インスタグラム https://www.instagram.com/belle__magic/
Salon Data
Belle Kichijoji(ベル 吉祥寺)
住所 東京都武蔵野市御殿山1-2-3
TEL 0422-29-8589
URL https://bellekichijoji.amebaownd.com/