生活相談員は初めてでもOK?求められる資格や経験、働くための3つのポイントを紹介
生活相談員は介護・福祉施設において、要介護者やその家族から相談を受けて、それに対して適切なアドバイスをし、スタッフや関係者との連絡調整役を担う仕事です。
生活相談員として働きたいという方の中には「初めて介護現場で働く場合でも、生活相談員として働けるのだろうか」と疑問に思っている方もいるでしょう。
今回は、介護の仕事が初めての人でも生活相談員として働けるのかどうか、生活相談員の具体的な業務内容、働く際の3つのポイント、向いている人の特徴について紹介します。
これから生活相談員として働くことを考えている方は、参考にしてみてください。
生活相談員の仕事が初めてでも働ける?
生活相談員として働くためには、介護・福祉系の資格の提示を求められるケースが多いですが、職場によっては未経験から働ける場所もあります。ここでは、求められる資格や初心者からでも働けるケースについて見ていきましょう。
基本的に福祉・介護系の資格の取得が求められる
生活相談員として働くためには、社会福祉士・社会福祉主事任用資格・精神保健福祉士のいずれかの資格の保有が求められるケースがほとんどです。ただし、各都道府県によって求められる資格や業務経験は異なる点に注意しましょう。
社会福祉士と精神保健福祉士の資格は国家資格です。その一方で、社会福祉主事任用資格は大学や短大において、厚生労働省が指定する科目のうち3科目を修了したり、都道府県の講習会に参加したりなど、複数の資格取得ルートがある点が特徴の資格だといえます。
社会福祉士・社会福祉主事任用資格・精神保健福祉士の具体的な仕事内容や目指す方法については、下記を参考にしてみてください。
社会福祉士になるにはどうすればいいの?|社会人から社会福祉士を目指すには
社会福祉主事とは? 社会福祉主事任用資格を取得する3つのメリットと取得方法を紹介
精神保健福祉士の仕事内容と資格についてご紹介!実務経験は受験資格の対象になる?
引用元
厚生労働省:社会福祉主事任用資格の取得方法
厚生労働省:精神保健福祉士について
厚生労働省:社会福祉士の概要について
資格なしでも生活相談員として就職できる場合もある
自治体によっては「資格保有者と同等以上の能力を有すると認められる者」は、上記の資格を保有していなくても、生活相談員として就職できる場合もあります。
資格なしでも実務経験があれば、生活相談員として就職できる例は下記のとおりです。
都道府県 | 求められる実務経験 |
東京都 | ①特別養護老人ホーム、高齢者在宅サービスセンターの老人福祉施設(介護老人保健施設を含む)で介護の提供に係る計画の作成に関し、1年以上(勤務日数180日以上)の実務経験を有する者(介護の提供に係る計画の作成に関し経験のある者)
②老人福祉施設の施設長経験者(介護の提供に係る計画の作成や処遇等に、専門的な知識経験を有する者) |
福岡県 | 社会福祉施設等で3年以上勤務し又は勤務したことのある者 |
京都府 | 介護サービス,保健医療サービス,福祉サービスの直接処遇の経験が概ね2 年以上あること |
資格がなくても、自治体によっては生活相談員の要件を満たせることがわかります。
社会福祉士・社会福祉主事任用資格・精神保健福祉士の資格なしで、生活相談員として働くのに求められる具体的な条件については、下記の記事を参考にしてみてください。
生活相談員に資格なしでも就職できる?必要な条件や資格、勤務場所について紹介
引用元
社会保険労務士事務所オフィスアルコ:東京都の生活相談員
福岡県保健医療介護部介護保険課:生活相談員の資格要件について
京都府:京都市における指定審査基準等について(Q&A)
生活相談員の業務内容
生活相談員の業務内容は、要介護者やその家族から相談を受けて、最適なアドバイスや事務手続き、各スタッフへの情報共有、介護計画書の作成を行います。介護サービスの利用者と関わりながら、スタッフ間の連絡調整にも従事する仕事だと考えておきましょう。
また、要介護者の入所・退所の手続きや地域団体との連絡調整などにも携わります。
1日のスケジュール例
デイサービスで勤務する生活相談員の1日のスケジュール例は、以下のとおりです。
8:00 出勤、当日のスケジュールチェック
8:30 点呼、スタッフ同士で情報共有
9:00 利用者の送迎
10:00 利用者と面談
11:00 書類作成
12:00 ランチ休憩
13:00 担当者同士の会議
14:00 レクリエーションの実施
15:00 1日の振り返り
16:00 利用者の送迎
16:30 ミーティング、翌日のスタッフへの伝達事項を残す
17:00 退勤
相談業務以外にも、書類を作成したり、レクリエーションに参加したりなど、介護の現場において幅広く活躍できる職業だといえます。
生活相談員の職場
生活相談員の職場は、介護サービスを必要としている高齢者や障がい者のいる介護福祉施設で働くのが一般的です。働き先には、通所介護事業所・短期入所生活介護事業所・介護老人福祉施設・介護つき有料老人ホームなどがあり、就職の選択肢は多岐にわたります。
通所介護事業所では、利用者を昼間に受け入れ、食事や入浴・日常生活の支援・生活機能の向上訓練をしていきます。短期入所生活介護事業所では、利用者の短期間での入所を受け入れ、食事や入浴、機能訓練などを行うのが施設の特徴です。
また、介護老人福祉施設と介護つき老人ホームは、介護サポートを必要とする高齢者が生活し、生活相談員は利用者やその家族から相談を受けたり、行政の手続きなどといったサポートに従事します。
引用元
厚生労働省:通所介護(デイサービス)
厚生労働省:短期入所生活介護(ショートステイ)
未経験で生活相談員として働くための3つのポイント
未経験から生活相談員として働きたいなら、まずは介護・福祉系の施設などに就職し、就職後に知識・スキルを身につけていく姿勢が将来のキャリア形成につながります。
ここでは、未経験から生活相談員として働くために大切なポイントを確認しましょう。
1.介護の現場で知識や経験を得る
介護未経験の状態から就職するとなると、まずは仕事に慣れて現場で必要とされる知識や経験を得て、求められるスキルを身につけていくことが大切です。介護・福祉の現場で働いて必要な経験や知識を増やし、現場の雰囲気に慣れて、スキルをアップさせていきましょう。
2.正社員以外の案件も視野に入れて就活する
未経験から正社員の生活相談員の仕事を探しても、なかなか見つからないことがあります。
その場合は、正社員以外のパート・アルバイトの案件も視野に入れて就活するのがおすすめです。まずは業務経験を積んで、将来的により待遇のいい仕事への転職を目指しましょう。
3.実務経験を積んで介護系の資格を取得する
生活相談員として働いてスキルを伸ばして経験を増やすのと同時に、資格勉強をして専門知識を身につけ、自分自身の人材の価値を上げましょう。介護福祉施設で3年以上勤務し、実務者研修を修了していれば、介護福祉士の受験要件を満たせます。
生活相談員に向いている人の特徴
生活相談員に向いている人の特徴は、下記のとおりです。
・幅広い人とコミュニケーションをとれる人
・相手に寄り添って話を聞ける人
・周囲の人と協力して業務にのぞめる人
生活相談員として働くためには、要介護者やその家族だけでなく、各自治体の担当者や施設内のスタッフなどと、円滑にコミュニケーションをとる必要があります。幅広い年代や属性の方と自然なコミュニケーションをとれる方が、生活相談員の仕事に向いているといえるでしょう。
また、対象者に寄り添いながら話を聞くことで、要介護者の不安や心配を払拭できるような柔和な対応ができる人も、生活相談員としての素養があるといえます。
生活相談員として活躍したいなら、周囲のスタッフと協力しながら、利用者の不安を払拭できるような気持ちのいいコミュニケーションを心がけてみましょう。
初めてでも生活相談員として就職できる!求められる要件をチェックしよう
生活相談員として就職するためには、社会福祉士・社会福祉主事任用資格・精神保健福祉士などの資格が求められます。
ただし、就職する都道府県によっては必ずしも上記の資格を保有している必要はなく、特定の業務経験があれば就職できるケースもあります。必ず、就職したい都道府県の要件を確認するようにしましょう。
生活相談員は相談業務や書類作成、スタッフや関係者への情報共有など、円滑な介護サービスを提供するためには欠かせない職業です。
はじめて生活相談員として働く場合は、正社員以外の案件も視野に入れながら就活して、必要な知識やスキルを獲得できるように努力する姿勢が求められます。
業務経験を積み、ニーズのある資格を取得すれば、さらなるキャリアアップにつながるはずです。求められる要件をチェックして、生活相談員としての就職を目指しましょう。