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介護・看護・リハビリ 2020-04-28

フロアにいる全員に1日1回話しかける 介護リレーインタビューVol.4【介護福祉士 梶原大和さん】#1

介護業界にはどのような職種や働き方があるのかを具体的にお伝えする本連載。第4回目は介護士をご紹介します。

「介護業界」と聞いて真っ先に思い浮かべるのが介護士。以前は訪問介護員をご紹介しましたが、今回は施設で働く介護士に直撃! お話を伺ったのは、介護老人保健施設「プラチナ・ヴィラ 小平」で主任介護士として働く梶原大和さん。

前編では、介護士の仕事内容や主任の役割、後編では、部下への接し方や今後の目標を伺いました。利用者様と話すのが好きでたまらないという梶原さんの仕事スタイルは常に利用者様本位。その明るい雰囲気とアップテンポで進む会話の中に、介護の仕事に対する真摯さがしっかりと感じ取れました。

《プロフィール》

梶原大和さん(29歳)…高校で福祉科を専攻し、福祉系の短期大学で介護福祉士の資格を取得。新卒で入社した他社施設を退職後、プラチナ・ヴィラ 小平に入社。2・3年務めたのちに、勉強のため一度他社施設に移ったが、主任としてプラチナ・ヴィラ 小平に復帰。

介護業界に入ったきっかけ

介護施設の見学時に、直感で自分が進む道がわかった

――介護業界に入ったきっかけを教えてください。

実は小学生の頃からずっと警察官になりたかったんです。でも、あるとき警察官に関する本を読んで「あ、これは無理だ」と思ってすぐに断念しちゃいまして(笑)。実は、もともと警察官になりたかったのは人の役に立ちたかったからなんです。高校で福祉学科を専攻したのが介護業界への第一歩目。入学してすぐに福祉学科の専門授業として介護施設に見学に行ったんです。私は学級委員長をやっていたのでクラスで一番最初に利用者様のところへあいさつに伺ったですが、そのときにパッと「ここだ!」と感じたんですよ! 何と言いますか、直感で自分がやるべき仕事がわかったという感じ。そこからはもう介護の道にまっしぐらで、短大で介護福祉士の資格を取り、実習先にそのまま就職しました。

――卒業してからずっと介護老人保健施設(以下老健)で働いているのですか?

そうなんです。就職活動時に色々な種別の施設を紹介してもらってはいたのですが、大学の教授になぜか「君は老健に向いているよ」と言われたんです。大学の最後の実習場所もちょうど老健だったので教授に言われるがままにそこに決めました(笑)。正直、シニアの介護が出来ればどこでもいいかなって感じだったので。

――ちなみに、介護の仕事の中で介護士を選ばれたのはなぜですか?

この業界にいればシニアの方と関われるとは思うんですが、365日24時間関わることが出来るとやっぱり介護士だなと。リハビリ専門の人は利用者の方を夜まで見ているわけではないし、看護の人は医師の指示のもとで動くので利用者の方の側にずっといられるわけではないのかなと思ったんです。

介護士の仕事内容

利用者の方全員に1日1回は話しかける

《ある一日の仕事の流れ》
※日勤の場合
※普段は日勤・早番・遅番・夜勤の4シフト制。現場に入ることが多いため、特別なルーティンはなし。

――梶原さんの仕事の内容を教えてください。

主任としての役割はフロアの統括です。基本的には、全フロアを巡回し、職員の仕事態度を見ながら必要に応じて応援に入ったりします。ただ、今は一つの階に絞ってフロア業務に入ることも多いです。朝一で利用者の方にお茶やおしぼりを配ったり、食事の介助をしたり、トイレに連れて行ったり。

――主任はこちらの施設に何人いらっしゃるのですか?

主任は私一人で、あとは各階に副主任がいます。そしてその下にリーダーがフロアごとについているんです。副主任やリーダーに任せられるところは任せていますが、統括の立場として全てのフロアのことは把握しています。

――主任としては梶原さんはお若い方ですか?

そうだと思います。先輩職員に「若いお前に何がわかるんだよ」と言われていた経験もあって、それが今でも糧になっています。今はもう「若いのに」って言われることはないですけど。最近だと私くらいの年齢の主任も増えてきているんじゃないですかね。

――主任という役職に就くまで何段階あったのですか?

新卒で入社した施設は早くに辞めてしまい、現在働いているプラチナ・ヴィラ小平に入ったのですが、そこから2年目くらいで役職をもらえたと思います。その後、一度、ここも退職していて、他施設で3年くらい勉強してまたここに戻ってきたんです。そのときに、当時の総責任者に主任として戻ってきてほしいというお話をもらったので、「じゃあぜひ」と。段階を踏んではいますが、自分は今の地位にたどり着くまで早かった方だと思います。

――そもそもなぜ他施設に行かれたのですか?

勉強と言っちゃうと聞こえがいいかもしれないですが、3年くらい同じ施設で働いたので、違う企業や施設を見てみたかったんです。場所によってやり方も利用者の方もそれぞれ違うと思ったので。

――実際に違いました?

違いましたね! 移った先も同じ老健だったので、リハビリをやっておうちに帰っていただくという一日の介助の流れなどは一緒なのですが、イベント運営の仕方やボランティアさんの受け入れ態勢などには結構違いがありました。あとトイレなどの設備も。

――介護の仕事をされていて、どんなときに楽しいと感じますか?

私は常に感じていますよ(笑)。シニアの方とお喋りするのが好きでこの業界に入ったくらいなので、利用者の方とお話ししているときが一番楽しいです! 管理職として現場に入らずに一日中事務作業をしなければいけない日もありますが、だいたい午前中で限界が来ますね。やっぱり利用者の方に接していないとつまらないです(笑)。

――たくさんの利用者様と関わる中で、一人ひとりとのお話まで覚えていられますか?

それは私がモットーにしていることでもあり、その日に関わった利用者の方との会話はある程度覚えています。ちなみに、担当フロアの利用者の方全員に一日一回は話しかけるようにしているんです。

――全員って…何人の利用者様がいらっしゃるのですか?

現在、自分が現場に入っているフロアは40名です。全フロアとなると150人くらいいらっしゃるのでさすがに無理がありますが、少なくとも自分の担当フロアでは全員に話しかけます。そうしないと自分が落ち着かないんです。

――利用者様が施設に馴染めていないなど、そういうところも目配りされていますか?

そうですね。利用者の方にとってここが「家」だと思ってもらえるように接しています。「家に帰りたい」と言われるということは、ここを他所だと思われているということですよね。認知症の方もいるので全員には難しいですが、理想としては、利用者の方に「家に帰りたい」という感覚を与えないことが目標です。

――主任になると利用者様と接する時間が減ると思うのですが、利用者様への対応で以前と変わったことはありますか?

変わりませんね。自分はずっとこんな感じ(笑)。強いて言うなら、利用者の方とお話しするときは、役職者として他の職員に悪い影響を与えるような友達言葉を使わないとか、当たり前のことは気を付けていますけどね。でも、利用者様と二人きりになったときは、もっとくだけた感じで話しますよ。そうすると、相手も「本当はこんなことを思ってるんだけど…」と本音を漏らしてくれることが多いんです。役職に就こうがこのスタイルが変わることはおそらくないですね。

――梶原さんの介護士としてのスタイルは素なんですか?

過去にさかのぼるのですが、新卒で入社したその日に亡くなった利用者の方がいたんです。とりあえず挨拶して来るように言われたのですが、その方の名前も顔も知らないのになぁ…と正直思いながら手を合わせていたんです。でも、そのことがきっかけで人の死に対する向き合い方も変わったというか。知らない方に手を合わせることがないように、利用者の方の名前と顔は絶対に覚えようと思うようになりました。そして、利用者の方がお亡くなりになったとしても、その方の名前と顔は生涯忘れまいと思っています。あれから何人かの方をお見送りさせていただきましたが、今でもその方々のお名前と顔は覚えていますよ。

――それが利用者様全員に話しかけることにつながっているんですね。

そうなんです! 毎日話しかけているので、ほかの職員よりも早く利用者の方の変化に気づく自信はありますね。

「利用者の方と話すのが大好き」と語る梶原さんは、仕事だから利用者様と話すのではなく、自分が利用者様と話したいからこの仕事をしているというスタンスのようです。「フロアの利用者様お一人ずつに一日一回必ず話しかける」という心がけは、そんな梶原さんならでは。次回は、主任としてどのように部下と向き合っているのかをお聞きします! 若い職員に対する、ちょっぴり強引で、けれど愛のこもった接し方に共感する人も多いはず。

▽#2はこちら▽
楽しく働ける職場にして、世間のイメージを少しずつ変えたい 介護リレーインタビューVol.4【介護福祉士 梶原大和さん】#2>>

取材・文/佐藤咲稀(レ・キャトル)
撮影/山﨑裕一

Store Data

プラチナ・ヴィラ 小平

住所:東京都小平市鈴木町1-85-1
電話:042-349-3505
URL:http://www.platinum-villa.jp/kodaira.html#access

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