接客1日3~4名、SNS集客なしで平均給与40万円。好待遇サロンの仕組作りとは? Umineko美容室オーナー古瀬ハナさん♯1

以前、「子育て応援メソッド」でメリットだらけのワーママ転職として紹介したUmineko美容室。取材させていただいたママさんスタッフには、前職と比較すると給与倍増、土日も休めるから子どもの行事にも気兼ねなく参加できると大満足のワーママライフを語っていただきました。そんな好待遇サロンのオーナーってどんな人? ということで、Umineko美容室オーナー古瀬ハナさんの取材が実現しました。

古瀬さんは、一度は美容師を断念したものの、復帰した長野の美容室で指名・売上No.1を叩き出します。そこのオーナーに独立をすすめられ、Umineko美容室をオープン。お客様全員に10日間無料のシャンプー・ブローサービスを実施したことが功を奏し、たちまち人気サロンになりました。でも経営ノウハウのないプレイングオーナーだったため、スタッフが次々とやめていくという事態に…。そこで経営を学び、スタッフが無理しなくても幸せで居られる美容室を作るべく、お店の仕組作りに没頭していきます。

お話を伺ったのは
Umineko美容室
オーナー古瀬ハナさん

はじめて就職した美容室が入社半年後に店舗閉鎖。その後、大型サロンをいくつか経験するが、ハードワークに体がついていけず、一旦美容師をあきらめて沖縄へ。縁あった長野で美容師を再開すると、指名と売上がグループNo.1に。突出した成績だったため独立をすすめられてUmineko美容室をオープン。現在5店舗とFC1店舗を経営。「女性起業家のためのトータルスタイリングレッスン」など新しい試みにも果敢にチャレンジ。

お客様全員に10日間無料のシャンプー・ブローサービス

Umineko美容室の店名は、大好きなイラストレーター山口マオさんのギャラリー「海猫堂」に由来。一度聞いたら忘れられない名前で、英語にしたときに丸みのあるアルファベットが温かい印象だったことも決め手に。

――長野の美容室で売上と指名がグループNo.1に。その数字が突出していたため独立をすすめられたそうですね。

一旦は美容師をあきらめて沖縄に行ったものの、戻ってきたときに稼げる手段が限られていたんですよね。だったらもう一回美容師で稼いだほうが早いのではないか? 当時のパートナーの実家があった長野で、再び美容師として働き始めました。

都内で美容師をしていたときは、厳しい上下関係やトップサロンのハードワークについていけずに結局やめてしまいましたが、長野ではやっとスタイリストとして自分が思い描いていたような活躍ができたんですよね。東京の美容師時代にみっちり積み重ねてきたベースを武器に、長野ですくすくと成長し、売上と指名がグループNo.1に。当時のオーナーや店長がとてもいい方で、失敗しても許してもらえる環境があり、その中で追い詰められずにやらせてもらえたのが良かったのだと思います。

でも東京で美容師をしていたので長野では尖り過ぎちゃっていて、当時は気も強くて。よくある、売上はいいけど扱いずらいスタイリストでした(笑)。その売上が突出していたため誰の下にもつけてもらえず、東京の店舗への異動願も出しましたが、それも叶わず…。最終的に、独立をすすめられたという経緯があります。

――それで横浜にサロンをオープンしたのですね。独立してからは順調でしたか?

3月に長野の美容室をやめて、8月にはセンター北店をオープンしたのですが、2ヶ月目には黒字化できていました。当時はまだカフェテイストのお店が少なかったことや、プライス設定を近隣の美容室と同じ価格帯にしたこと、そして顧客の方に向けてのメリットを強く打ち出したのが良かったのだと思います。

――顧客の方に向けてのメリットとは?

当時、来てくださった方全員に10日間無料のシャンプー・ブローサービスをつけていました。お出かけ前に髪を巻いたり、サービスで前髪をカットしたり。そうすることでリピートが増え、ついでに店販購入してくださったり、紹介も増えていきました。2ヶ月に1回の来店だと年間6回ですが、このサービスを実施することで年12回まで接触回数を上げることができたんです。当時、このサービスを実施しているお店は他にはなかったと思います。LTV(Life Time Value:顧客が生涯のうちにもたらす利益)に換算するとこれをやる意味は大きかったですね。

スタッフが次々とやめていき、新規客のほとんどを断る事態に…

「よくある失敗はすべて経験してきました。その経験をプラスに変えて、現在があります」。

――これまでに困難だったことはなかったですか?

もちろんありました。オープン半年後には、新規顧客が月に80人以上、顧客も順調に増えていきましたが、スタッフが次々とやめていき、新規顧客のほとんどを断るという事態に陥りました。自分のお店なのに、お客様にもスタッフにも常に気を遣い、なんでこんなに苦しまなきゃいけないんだろう。その時期がいちばん辛かったですね。

当時は、まだ経営ノウハウのないプレイングオーナーで、このままだと全く変わらない10年後を迎える。そこで、経営を学ばないとダメなんだということに気づきました。いろいろ検索しているうちに、福島の美容室「カミケン」のオーナー鈴木和敏さんの「脱・職人経営」というブログにたどり着き、セミナーに参加。経営の勉強をスタートさせました。鈴木さんとのつながりで現在170店舗以上FC展開されているDearsの北原孝彦さんとも知り合うことができ、ありがたいことに一緒にセミナーに登壇させていただいたり、北原さん主宰のビジネス勉強グループ「北原の精神と時の部屋」のイベント運営サポートもさせていただいています。Umineko美容室のFC展開を目標に、経営者としての立ち振る舞いなどを近くで学ばせていただき、本当に勉強になっています。現在、北原さんにはサロンのWEBマーケティングもお手伝いしてもらっているのでとても心強いです。

注力したのは、次回予約動線を作ること

「現在の雇用環境になってから2年以上スタッフが辞めていません。だから、これがUmineko美容室の最適解なんだと思っています」

――「自分自身を大切に、無理なく働くUmineko美容室」が理念。土日も休めて、1日3~4名の無理のない接客、SNS集客なしで平均給与40万円。なぜそんな好待遇が実現できるのでしょうか。

わたしは、スタッフの居場所と幸せがある美容室経営をしたかったんですね。そのために重要なことは、売上がちゃんと上がるビジネスの仕組を作ること。仕組の大きなポイントは、お店に通っていただくことをイメージできるWEB構築、平均客単価15000円が実現するプライシング、次回予約動線ができていること。この3つです。

なかでも注力したのは、次回予約動線を作ることです。次回予約に繋げるための接客マニュアルを何回も調整しながら作り上げました。以前は60ページくらいありましたが、いまはだいぶコンパクトになりました(笑)。

――マニュアルを作る際に参考にしたものはありますか?

先述したカミケン鈴木さんとDears北原さんのサロン経営の方法、またおふたりが開催するセミナーをサポートさせていただいた際に、他の経営者の方の経営スタイルを見せていただき、うちにしっくりくる要素だけをいいとこ取りさせていただきました。

――そのマニュアルをもとに研修を行うのですか?

はい。1ヶ月間、入客はせずにマニュアルを覚えこんでもらいます。マニュアル動画を反復して見ていただき、研修店舗ではスタイリストについての接客や掃除、レジなどの事務作業をしてもらいます。そして、モデルさんを用意してもらってコースメニューの施術を行い、使用する薬剤と施術の流れを掴んでもらいます。

――経験者の方も同じ研修をされるのでしょうか。

はい。うちは経験者しか雇っていないので、技術チェックではなくて、どういうふうにお客様と接するか、うちの考え方に共感していただくことを大事にしています。技術に関しては、うちのやり方がプラスされてより幅が広がるという考え方なのですが、接客に関してはスタッフそれぞれのやり方ではなく、マニュアルに沿ってやってもらうようにしています。売れているスタッフの接客が心地いいかというと、必ずしもそうではないので。挨拶をちゃんとする、無駄な質問をしない、順序立ててお客様が分かりやすいように説明する。ベーシックなところを細かくしっかりやっていただきます。

――そういった接客が次回予約に繋がるのですね。

そうですね。スタッフには、お客様に貢献できるようにプロとしてどう接客していくのかを研修中にしっかり伝えています。髪の毛は、爪と同じで伸びるものなので、定期的に通わないと清潔感を保てません。お仕事している人はもちろん、子育て中のママさんも人と会う場面はたくさんありますよね。それに対して、美容室がどう貢献できるのか、なぜ定期的な来店が必要なのかをお客様にいかに伝えていくかを大事にしています。

マニュアルがあってもどうしてもスタッフが言い忘れてしまうこともあるので、パンフレットにはベネフィット面をきちんと記載し、サロンの随所に次回予約に触れる文言を設置。そうすることでフォローしています。

古瀬さんが好待遇サロンの仕組を作るために行ったことは

古瀬さんが、好待遇サロンの仕組を作るために行ったことは以下の3つです。

1.お店に通っていただくことをイメージできるWEB構築

2.平均客単価15000円が実現するプライシング

3.次回予約動線を作ること

後編では、多店舗展開のメリットや、新しい試み「女性起業家のためのトータルスタイリングレッスン」について伺います。

取材・文/永瀬紀子

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