アカウント別に需要を理解し、目的に沿った戦略でフォロワー数も集客も安定【美容師 飯盛翔太さん】#2
入社してすぐに福岡のサロン「Skill」にて自己の過去最高集客数を更新した飯盛翔太さん。SNSを通して自身のブランディングと集客に成功した背景には、フリーランス時代に苦労した集客の経験があったようです。
前編では、飯盛翔太さんのSNSの経歴や目的、フォロワー数が増えるまでの流れについて詳しくお伺いし、フォロワーを増やすためには質の高い投稿をすることがポイントだと分かりました。後編となる今回は、その質の高い投稿のコツやもう一つの集客用アカウントの活用方法、今後の展望についてお聞きします。
教えてくれたのは…
美容師 飯盛翔太さん
専門学校2年生の頃からtiktok・インスタグラムを始める。2021年3月に地元・佐賀県にある美容専門学校を卒業後、在学中アルバイトをしていたサロンにて内定をもらうも、インスタグラムでの集客が成功し、フリーランスに。その後、一度集客に悩むも「予約用アカウント」を作成したことで盛り返した頃、福岡でサロン「Skill」を立ち上げる先輩に誘われ、今年の8月から所属。入社1ヶ月で、客数は140人と集客を得ていたが、10月より、自身のステップアップのため個人事業主としてシェアサロンで再出発する予定。
tiktokとインスタグラムの合わせ技で、フォロワーの流入を受け止める
――質の高い投稿について、具体的に何をしましたか?
まずは、自分が投稿しようとしている内容に当てはまる#(タグ)を検索するところから始めました。まだ誰もしていないテーマを探して投稿することと、#がついたたくさんある投稿の中で、いかに自分を目立たせられるかを考える材料を見つけるか、下調べのためです。
加えて、僕が参考にしたのは女性美容師の投稿でした。僕が始めた頃は、男性美容師たちはそもそも自毛を使わずにウィッグを使用したヘアアレンジの紹介の仕方で、今みたいに豆知識を投稿している人はごく僅かで内容も薄かった。ですが、それらをいち早く発信していたのが女性美容師だったんです。
――そこを狙った投稿を意識したのですね。
そうですね。#検索で目立ちそうなワード選びを意識しながら、女性美容師の投稿を手本に、どの男性美容師よりも詳しく細かく情報を投稿するようにしました。
tiktokの動画を元に、一つのヘアアレンジに対して細かく説明していきます。画像をだいたい5分割して説明していくイメージ。例えば「外ハネのヘアアレンジが上手にできない人のポイント」を紹介する場合、まずできない人の理由を提示し、そのあと理由ごとの改善テクニックについてアイテムも交えて展開していきます。
――tiktokと投稿が連動していることによって、インスタへの流入が見込めそうと感じます。
そうなんです。tiktokは動画投稿がベースで簡潔に情報が得られますが、インスタグラムは画像投稿がベース。画像だと要所要所を切り取って展開することができるため、見る人のペースに合わせられるし、効率がいい。動画とは違った需要を感じてもらえることで、フォローにも繋がります。
――他サイトからの流入も受け止められますし、見る側に配慮のある投稿だと感じました。
全ては、受け手側の立場になって考えることが大事だと思っています。常に「どういう投稿を保存したくなるのかな」「どんな悩みが多いかな」って考えながら投稿しています。
見ている人たちが何で悩んでいるのか、何を解決したいのか、想いを汲み取ってできる限り投稿に反映させたいんです。見ている人の悩みが投稿によって、解決できる未来を想像すること。それが僕をフォローしてくれている価値になると思うので、真摯に応えていきたいです。
アカウント別に需要を理解し、目的に沿った投稿で集客もバッチリ
――もう一方の予約用アカウントについて教えてください。
今はサロンに所属していますが、フリーランスをしていた時に集客が思うようにいかなくて作成したアカウントです。現在運営しているセルフヘアアレンジのアカウントのようにバズることやフォロワーを増やす目的とは違って、完全に予約用として活用しています。
以前は、セルフヘアアレンジを投稿しているアカウントに美容師として施術したスタイルを混ぜて投稿していましたが、フォロワーが約3千人くらい減り出してしまったんです…。
――そんなに反応が。それを受けて、アカウントを分けたのですね。
はい。統一感が大事なんだと気づきましたね。実際、当時はSNSを辞めたくてしょうがなかったです。自分の武器として手に入れたはずだったのに、コンプレックスに感じるようになってしまっていました。
そこで、SNS以外にも技術面を磨こうと思い、とにかくカットとパーマを練習をしました。だんだん練習するうちに技術力と同時に自信もつき、投稿にもその様子が反映されたのかお客様も増えたように感じますね。
――集客に繋がるような投稿とは、具体的にどんなことを?
まずは、導線づくりから。予約方法やメニュー表をストーリーズで投稿してハイライトを作成し、そこで基本情報を確認しやすいように整える。
予約用アカウントの投稿テーマは、美容師としての僕を前面に押し出すこと。とにかく美容師として奮闘している姿を包み隠さず発信するように意識。具体的な内容としては、リアルサロンワーク風景をリールで投稿するようにしました。
――確かにユーモアもあって親近感を感じる投稿になっていると感じます。
リアルサロンワークの風景はみんな投稿していると思うので、そこに僕らしさを入れていければいいなと思って。
――実際にアカウントを分けてみて、集客はいかがでしたか?
成功しましたね。フリーランス開始直後は月40人前後でカットのみ…というところから、技術向上も加味されたようでパーマの施術も増え、約3ヶ月後には130人ほどになりました。
――需要に合わせ、焦点を絞って取り組むことが大事なようですね。
そう感じます。セルフヘアアレンジのアカウントで僕のことを知ってくれた人が、予約アカウントを見て美容師をしていることを知り、そこでどんな施術をしているのか興味を持ってもらう…というようにしっかり集客に繋がるような仕組みづくりができたと感じていますね。
――SNSによってご自身のブランディング、集客を成功してきた飯盛さんですが、今後はSNSをどのように活用したいと考えていますか?
せっかくSNSというステータスがあるので、活かしたいと考えています。軸は美容のまま、シャンプー、ワックス、アイロンなどといった僕の想いが詰まった美容アイテムのプロデュースとか。そのアイテムを使用したヘアアレンジを紹介できれば、より良いなと感じます。
フォロワーを増やした3つの秘訣
1.フォロワー目線に立ち、欲しい情報を取り入れた質の高い投稿をする
2.SNS同士を連動させ、フォローしたくなる流れをつくる
3.アカウントの統一感を守るため、目的別に分けて運営する
取材・文/東菜々(レ・キャトル)