【ネイリストあるある】後輩には答えではなくヒントを。自力で答えに辿りつければ強くなれる【I-nails 渋谷店 トップネイリスト 朝倉朋佳さん】#2
美容業界でよくあるお悩みや課題にフォーカスする本企画。今回は、ネイリストの「売れる秘訣」について探ります。前回に続き、「I-nails 渋谷店」のトップネイリスト・朝倉朋佳さんにインタビュー。「自分が打ち出したいデザイン」ではなく、「お客様が求めるデザイン」を追い求めた結果、指名客の増加に繋がったと教えてくれました。また、お客様の話を丁寧に聞く姿勢もリピーターが増えた理由のよう。
後編では、唯一無二のデザインを提案するために大事にしていること、Instagramでファンを獲得するコツ、悩んでいる後輩へのフォローの仕方についてお聞きしました。
教えてくれたのは…
「I-nails 渋谷店」トップネイリスト・朝倉朋佳さん
ネイリスト歴3年。毎月100%指名客で埋まるほどの売れっ子ネイリスト。「ちゅるんネイル」「淡色ニュアンスネイル」を得意とし、他にはない絶妙な色使いで、年代問わずファンが多数。自身の人柄に惹かれて通う人も。
ネイリストのデザイン考案:画像持ち込みがあっても、全く同じ色味にはしない
――デザイン考案のコツってありますか?
私はお洋服から着想を得ることが多いです。この服の色の組み合わせを真似して今度デザインをつくってみよう!とか。常にアンテナを張っています。
――朝倉さんは色使いがとても素敵ですよね。
Instagramの画像を持ってきてくださるお客様は多いですが、それと全く同じ色味にはしないようにしていて、お客様の肌の色に合わせているんです。唯一無二のネイルにしたいという気持ちがあるので、その方に合ったアレンジを加えています。
そういうことを説明した上で「お任せします」と言ってくださる方が多いので嬉しいですね。ご新規の方も私のInstagramを見てくださっているので、お任せの方がほとんどです。だからこそ、期待以上に思ってもらえるようにInstagramと全く同じデザインにはしないように意識しています。
大事になるのが、来店されたときにしっかりカウンセリングをすること。同じピンクを塗っても、肌の色が違うだけで違うピンクに見えるんです。前置きで「なるべく近い色で、〇〇さんの肌に合う色をご提案しますね」とお伝えし、何色かをこちらでピックアップし、その中からお好みを選んでもらうようにしています。ご提案はするけど、あくまで決めるのはお客様。「お客様は何が一番好きか」ということにしっかり向き合うようにしています。
ネイリストのSNS運用:Instagramは伸びなくてもまずは1ヶ月は続けてみる。それでダメだったら方法を練り直す
――Instagramでのデザインの打ち出し方もお上手ですよね。
色々な投稿を見て、自分が何に惹かれるのかを考えて、「このワードセンス好きだな」と思ったものを真似するようにしています。私は「ちゅるん」「透け感」というワードをよく使っているんですけど、そのワードが入っているだけで「可愛い!」と私は思えるので。言葉選びを大切にしています。
――Instagramで来店に繋がった投稿はありますか?
インフルエンサーさんの投稿ですね。フォロワー数が大きく伸びたきっかけになりました。ご来店時にお写真を撮らせていただくのですが、その写真を投稿したら保存数が100以上になったこともあります。今はインフルエンサーさんの投稿とネイル作品の投稿が良い具合に反響が分散されてきた感じですね。
――以前と比べて、投稿の見せ方を変えた部分はありますか?
韓国のキラキラ系からニュアンス系のデザインに変えたことに伴い、投稿のテイストも変えました。
あとは、今までは手もとの写真ばかりを載せていましたが、最近はお洋服と一緒に写真を撮るようにしています。手の角度も毎回変えています。
なるべく保存してもらえるように動画もつけるようにしているんです。動画を載せた方がデザインの雰囲気や色味がよりわかりやすく伝わると思うので。
――Tik Tokもやられているようですが、Instagramとはどのように使い分けていますか?
Instagramは世界観がほぼ固まってきたのですが、Tik Tokはまだ勉強中なんです。というのも、Instagramのリールで伸びた動画をそのままTik Tokに載せても伸びなかったので…。研究して、きちんとTik Tok向けにターゲットを変えてやっていこうと思っています。
――SNSをやる上で大事なこととは?
継続してやらなければ見えてこないものもあるので、伸びなくても1ヶ月は続けるようにしています。それで伸びなかったら自己分析をして、次に活かして…というのを続けて今の形にしてきました。今もまだまだ試行錯誤中ですけどね。
ネイリストの新人教育:わからないことを聞きやすい環境をスタッフみんなでつくる
――後輩指導で大事にしていることはありますか?
新人教育はおもに店長がやっているのですが、私たちももちろんできる限りのフォローはしています。
特に、新人さんが聞きやすい環境づくりは意識していますね。「先輩が怖くて聞けない…」ということにならないように。配属されたばかりの子には「施術中でも全然声かけてくださいね」と伝えています。こちらが気づけないことも正直あるので、困ったときにすぐに新人さんの方から聞ける環境であることは大事かなと。コミュニケーションの取りやすい環境をスタッフみんなでつくっているんです。
――技術を教える上ではどんなアドバイスをしていますか?
基本的に私が良いと思ったことは全部共有しています。同じ技術を教えても、ネイリストごとに味が出るので、出し惜しみはしません。良いものをサロンのみんなでつくっていきたいと思っています。
――朝倉さん目線で、「こういう新人は伸びそう」と思うのはどんな人ですか?
どんなスタッフでも伸びると思うんです。絶対に。その中でも、自分を理解している人は強いなと。「自分はどんな人なのか」「どんなデザインが好きなのか」を理解した人から伸びていく気がします。なので、困っている新人さんがいたらヒントを出すようにしているんです。
――答えではなく、ヒントなんですね。
私も先輩方から答えではなくヒントを教えてもらい、そこから掴んだものがすごく大きかったので。なるべくヒントを与えて、自分で気づけるきっかけをつくってあげたいなと。そうすると、自分で考える癖が習慣化していくと思うんです。行き詰まったときに「自分は何に悩んでいるんだろう?」「その悩みをどうすれば解決できるんだろう」と自分で考えて答えに辿りつければ強くなりますから。
――朝倉さんの今後の目標を教えてください。
ずっと追い求めているのは唯一無二の存在になること。1年目は数字をすごく求めていた時期もありましたが、今はリピーターさんに寄り添うためにはどうすれば良いのかを考えています。数字よりも質を高めていきたいですね。
これからネイリストを目指す人には「ネイリストって本当に楽しんだよ」ということを第一にお伝えしたいです。人の人生をこんなに幸せにできて、お客様が喜んでいる姿を間近で見ることができる職業はほかにないと思っています。結局、自分はお客様が好きなんです。お客様に寄り添ったら絶対に楽しいと私は思います。毎回悩むたびにそう思い返すようにしています。
ネイリストあるある:デザイン考案・SNS運用・新人教育で気をつけること
1. 持ち込み画像と全く同じにはせず、お客様の肌に合う色味を提案する</3h>
2.Instagramは伸びなくてもとりあえず1ヶ月は続けてみる</3h>
3.悩んでいる後輩には答えではなくヒントを与える</3h>
取材・文/佐藤咲稀(レ・キャトル)
撮影/SHOHEI