ネイルサロンを開業するうえで必要な資格は?備えておきたいスキルや知っておきたい賠償保険・資金・開業の流れをまとめて解説
街中であちこちに見かけるネイルサロン。ネイリストやネイルに関心のある人のなかには、いつか自分もお店を開きたいという人もいるのではないでしょうか。しかし、いざ開業を考えると、資格やスキルなどさまざまな不安を感じるかもしれません。
そこでこの記事では、ネイルサロンを開業するうえで必要な資格や備えておきたいスキルを紹介します。賠償保険や必要資金の目安・開業の流れもあわせてお伝えしますので、開業を考えている人は参考にしてください。
ネイルサロンの開業に必要な資格はある?

ネイルサロンを開業するにあたって、必須の資格はありません。しかし、お客様に安心して利用してもらうためには、サロンを運営する立場としてネイルの知識や技術はもちろん、衛生管理の知識もしっかり備えておく必要があります。
このような知識やスキルは、資格が有効です。資格を取得しておくことで知識や技術を証明できるため、お客様の信頼につながるというメリットがあります。サロンオーナーには安心かつ安全なお店を運営する責任があるため、取得しておくのがおすすめです。
以下で、ネイルサロンを運営するうえで役立つ資格や、衛生管理の指針について紹介します。
JNEC|ネイリスト技能検定
ネイリスト技能検定は、ネイリストの正しい技術と知識の向上を目的に実施されています。約100万人の受験実績があり、知名度が高い資格です。資格は1~3級までの3つの階級があり、3級から順にレベルが上がります。
具体的に問われるのは、以下の内容です。
1級:トップレベルのネイリストに必要な総合的な技術や知識
2級:サロンワークで通用するネイルケア・アート・チップ&ラップの技術や知識
3級:ネイルケアやネイルアートなどの基礎技術および基礎知識
サロンワークの知識や技術を認められるのは2級であるため、できれば2級以上の資格を取得しておくことが望ましいでしょう。
JNA|JNAジェルネイル技能検定
JNAジェルネイル検定は、ネイルケアとジェルネイルにおいて、お客様が安心して施術を受けられるようになることを目的に実施されています。ネイリスト技能検定と同様に、知名度がある資格です。
初級から上級までの3階級あり、初級は基礎、中級はプロ、上級はスペシャリストとして求められる知識や技術を問われます。サロンワークで通用するのは中級以上なので、中級・上級を取得しておくとよいでしょう。
なお、2024年12月から試験の一部に変更があったため、以下の記事で最新の情報をチェックしてくださいね。
【変更点あり】JNAジェルネイル技能検定|最新の実施要項・合格するための方法・初級取得後の進路
JNA|JNAフットケア理論検定
JNAフットケア理論検定は、ネイルサロンでフットケアを正しく行うために必要とされる理論の修得を目的にしており、フットメニューを提供するなら持っておきたい資格です。
足の爪や周囲の肌のケアについて、指定のテキストに基づいてセミナーで学びます。セミナー受講後に筆記試験を受け、80点以上であれば合格です。
なお、ネイリスト技能検定試験3級以上・JNAジェルネイル技能検定試験初級以上・JNAネイリスト技能検定国際試験3級以上を取得している人のみ、受講・受験できます。
JNA|ネイルサロン衛生管理士
ネイルサロン衛生管理士は、安全で安心なネイルサービスの普及と公衆衛生の向上に寄与することを目的に実施されている資格です。ネイルサロンの健全な運営に必要な衛生管理の知識を学ぶことができます。
JNAが制定する「ネイルサロンにおける衛生管理自主基準」について学ぶ理論講習を受講後、確認テスト(筆記試験)を受験。80点以上の得点で合格です。
18歳以上のすべての人と、専門学校やネイルスクールなどでネイルについて学んでいる18歳未満の人が受講できます。
引用元
JNA|ネイルサロン衛生管理士講習会
JNA|ネイルサロンにおける 衛生管理自主基準
ネイルサロンにおける衛生管理についての指針|厚生労働省
ネイルサロンの衛生管理について、JNAの「ネイルサロンにおける衛生管理自主基準」以外に、厚生労働省が定める「ネイルサロンにおける衛生管理についての指針」があります。どちらも類似しており、衛生管理の重要性がよく分かる内容です。
この指針では、施設や設備のあるべき状態や、器具やリネンの洗浄・消毒・管理方法、従業員の管理、作業場の換気や清潔などについて、詳細に記されています。
引用元
厚生労働省|ネイルサロンにおける衛生管理に関する指針について
【国家資格】防火管理者|テナントの収容人数による
ネイルサロンを開業するテナントが入る建物の収容人数によっては、防火管理者の資格が必要になるケースがあります。防火管理者の資格は国家資格ですが、消防署などで資格講習が行われ、受講することで取得可能です。
収容人数の計算方法や防火管理者の資格について、詳しくは東京消防庁のホームページをご確認ください。
東京消防庁|防火・防災管理講習
東京消防庁|防火管理者が必要な防火対象物と資格
ネイルサロンを開業するうえで備えておきたいスキル

ここからは、ネイルサロンの開業時に備えておきたいスキルを紹介します。以下で紹介する2つのスキルは、リピーター獲得にも影響するので早めに習得しておきましょう。
ネイルの知識・技術|資格や実務経験
最初にお伝えしたように、お客様が安心して施術を受けるためには、ネイルの正しい知識や技術が欠かせません。これまで紹介した資格も有効であるほか、ネイルサロンなどでネイリストとして経験を積んでおくと、実際の現場についての理解も深まるのでおすすめです。
また、ネイルは次々と技術が新しくなるため、開業後も知識や技術を高めていく努力を続けましょう。
コミュニケーション能力
ネイリストは、お客様の希望を汲み取ったり似合うネイルを提案したりするコミュニケーション能力が必要です。なかには、施術中の会話を楽しみに来店するお客様もいるため、会話の引き出しは多いに越したことはありません。
また、リピートしてもらうには、細かな気配りやていねいな接客など、ネイル以外のサービスも重要です。そのため、ホスピタリティ精神を持って接することができるとよいでしょう。
ネイルサロンを開業するうえで知っておきたい賠償保険

サロンを運営する際は、ケガや事故などさまざまなトラブルのリスクが生じます。トラブルを起こさないよう日ごろから注意することはもちろん大切ですが、何かあってからでは遅いため、開業する際には保険に入っておくのがおすすめです。
賠償保険は、トラブルによって異なります。
施術中にお客様にケガをさせてしまった場合:施術賠償責任補償
店舗内での転倒や事故:店舗管理事故補償
お客様から預かった荷物などを紛失してしまった場合:受託者賠償責任補償
火災や災害・盗難などの理由で休業に追い込まれた場合:事業活動総合補償
サロンで販売した商品でお客様に肌トラブルなどが生じた場合:生産物賠償(PL)補償
ネイルサロンの開業パターンと必要な資金

ネイルサロンの開業には、おもに2つのパターンがあります。それぞれの特徴と必要な資金を確認し、自分に合った方法でお店を構えましょう。
自宅型ネイルサロン
自宅の一部をネイルサロンとして開業する方法です。施術に必要な設備と道具があればはじめられるので、比較的ローコスト。20~50万円程度の資金で準備できるでしょう。内装工事をする場合は、その分別途資金が必要です。
アパートやマンションなどの場合は、オープン準備に着手する前に、大家さんや管理会社にお店を運営していよいか確認しましょう。
テナント型ネイルサロン
店舗を借りてお店を構える方法です。内装や外装を自由に決められるため、コンセプトに合ったお店作りがしやすいのが特徴。立地がよければ、集客しやすいです。ただし、自宅型と比べると、初期費用は高くなります。
敷金・礼金・家賃などで約100万円。内装工事費には坪単価で30〜50万円、家具・備品・施術道具には40〜90万円程度かかります。広告費なども含めるとトータルで200〜1,000万円くらいが目安となるでしょう。
開業後にかかる費用|家賃・水道光熱費・広告費・材料費・人件費など
開業後、継続的にかかる費用は家賃・水道光熱費・広告費・材料費などがあります。また、スタッフを雇う場合は人件費も必要です。
オープンしてからすぐには黒字化が難しい可能性もあるので、半年から1年程度赤字でも営業できるくらいの運転資金を備えておきましょう。
ネイルサロン開業までの流れと成功させるコツ

ネイルサロンを開業するまでの流れは、おおよそ次の通りです。
1.ターゲット・コンセプト決め
2.オープン日決め
3.物件選定
4.設備や道具の手配
5.メニュー決め
6.ホームページやSNSの開設・告知・集客
7.開業届の提出
(防火管理者の選任が必要な場合はその届出も行う)
開業届は、新たに事業をはじめたときに税務署に必要な届出です。開業から1カ月以内に提出する必要があります。所得税の納税に関わるため、怠らないようにしましょう。なお、確定申告で控除が受けられる青色申告をする場合は、青色申告承認申請書の提出も必要です。
引用元
国税庁|個人事業の開業・廃業等届出書
国税庁|No.2070 青色申告制度
ネイルサロンを成功させるコツについて、以下で詳しく見ていきましょう。
ターゲットやコンセプトを明確にする|屋号やロゴにも活用
ターゲットやコンセプトを明確にし、それらに適した立地で開業すると集客しやすくなります。どんなお客様に来店してほしいか・どんなサービスを提供したいか・他店との違いは何かなどを明確にして、お店の指針を決めましょう。
屋号やロゴ・名刺などにもコンセプトを活用すると、集客時に役立ちます。
競合店をリサーチして差別化する
競合店のリサーチも、ネイルサロンを成功させるうえで重要です。数あるネイルサロンのなかから自店を選んでもらうためには、差別化することが大切。ターゲット層やコンセプトが被らないかをチェックしましょう。
ターゲット層が被ってしまう場合でも、コンセプトや設備の整え方次第で差別化できる可能性があります。できれば自店の近くにあるお店で実際の施術を受けて、接客面なども知れるとよいでしょう。
周囲のお店の相場価格を調べれば、自店の価格設定に役立てることもできます。高すぎたり安すぎたりするのはNGです。
集客は複数の方法を併用しよう
お客様に来店してもらってこそ経営が成り立つため、集客には力を入れる必要があります。
ホームページ・SNS・予約サイト・チラシなど集客方法はさまざま。まずは自店を認知してもらうために、複数の媒体を使ってオープン前から継続的にアプローチすることが大切です。お店のコンセプトや「売り」を宣伝する工夫をしましょう。
また、リピーター獲得のためには、DMやクーポンの配布も有効です。
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ネイルサロンの開業には必須資格なし!お客様が安心して来店できるネイルサロンを開業しよう

ネイルサロンを開業するために必要な資格はありません。しかし、お客様に安心して利用してもらうためには、ネイルの正しい知識と技術が必須。また、お店を運営する立場として、衛生管理を徹底する責任があるため、その知識も備えておくことが望ましいです。
ネイルのスキルや衛生管理の知識に関する資格を取得しておくと、お客様の信頼を得やすくなります。また、サロンワークについて理解を深めるために、実務経験を積むことも大切です。
自分に合った資格やスキルを習得し、安心かつ安全なネイルサロンの開業を目指しましょう。
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