会社員時代の経験をヨガスタジオの共同運営に活かす、ヨガインストラクター尾花理恵子さん

東京・武蔵小山のヨガスタジオを共同経営し、栃木県佐野市と神奈川県川崎市では個人教室を開催するヨガインストラクターの尾花理恵子さん。前編では、自宅のある佐野と都内の長時間バス移動を活用した有意義な時間の使い方について伺いしました。また、人口増加中の武蔵小山のスタジオは落ち着いた雰囲気で、男性も通いやすい工夫をされているそうです。

後半では、武蔵小山のスタジオの共同経営について詳しくお伺いします。スタジオの実務全般を担い、みんなが気持ちよく過ごせる場所を作ることが尾花さんの役割だそう。そこには、営業としてのコミュニケーションの取り方や資料作りなど会社員時代に行ってきた経験が生きているのだとか。また、ヨガをビジネスとして利益を出しながら継続させていくことの難しさについても語ってくれました。インストラクターと運営という2つの仕事を経験したことで、それぞれの立場を理解し、寄り添うことができているそうです。

今回、お話を伺ったのは…

尾花理恵子さん

ヨガインストラクター。栃木県佐野市出身。総合電機メーカーの営業職で、希少疾患や難病に関する新規事業に携わる一方、健康のためにヨガを始める。考え方や生き方にまで踏み込むヨガに魅力を感じ、ヨガインストラクターになることを決意。 年齢や性別、バックグラウンドの区別なく集まった人同士が繋がる和気藹々とした空間作りを大切にしている。現在は、東京・武蔵小山のヨガスタジオ「Yoga & Wellness Yu Studio」の運営(共同経営)を行う。そのほか神奈川県川崎市の「Spazio yoga」、栃木県佐野市の「sano yoga ruito」にて個人教室を開催。3箇所を拠点に「人を幸せにする仕事」をテーマに活動する。

インスタグラム:@rii_nostalgia

生徒さん、インストラクター、スタッフみんなが居心地のいい場所を作ることが運営の役目

共同経営においても会社員時代の経験が生かされているそう

――武蔵小山のスタジオでは「共同経営」をされていると思いますが、具体的にはどのようなお仕事なのでしょうか?

基本的には、スタジオに関連する実務全般を担っています。生徒さんとインストラクターさんが気持ちよく過ごせる居場所を作る。そのためにサポートするというのが、私のミッションです。肩書きでは「Operational Directer(オペレーショナルディレクター)」になります。ほかの運営メンバーはオーナーを含め4名で、経営戦略の策定、マーケティングやウェブ関連、SNS運営、地域との繋がりづくりなどを担ってくれているメンバーなどがいます。スタジオ運営と一言で言ってもさまざまな切り口でお仕事があります。各人の得意分野を生かしつつ、できないところはフォローし合っています。

――なぜそのような役割を担うことになったのでしょうか?

スタジオをオープンした後に、実務ができる人がいないと回らないなというのがよくわかったからです。全く畑違いの仕事でしたが、今の仕事には前職の会社員時代の経験がすごく活きていまして。前職は営業職でしたがお客さまと社内の調整や契約に関連する書類を作成する、営業事務も多かったです。

お客さまや社内に決断してもらうためには、その人が求めているものを考え、その期待に応えなければなりません。時にはトークだけでなく理解を助ける資料を作ったり、揉め事にならないように双方が納得して契約をする。一見地味で、報われないこともありましたがとても奥深い仕事だと感じていました。

今の仕事では生徒さんからの問い合わせや、所属インストラクターからの相談を受けることが毎日のようにあります。スタジオが気持ちよく運営されるにはお互いが気持ちのよい方法を提案することが大切だと思っています。それにはスタジオの仕組み全体を把握し、お客さまの気持ちに寄り添う2つの視点で考えます。忙しい合間を縫ってご連絡をいただいているのでこちらもスピーディーな対応を日々心がけています。対応の質やスピードは前職で培ったものだと思っています。

ヨガをビジネスとして継続させていくことの難しさ

川崎の個人教室で、海辺での早朝ヨガツアー行ったときの様子

――スタジオを運営するうえで、悩みやご苦労などはありますか。

ビジネスなので適切な利益を出さなければ持続することができません。でも一方でヨガというのは儲けることとは対極のイメージがあり、レッスン料を高く設定しづらい事業でもあると思っています。個人で副業や兼業し、すごく安い金額で開催する方も多いのが現実です。ただどんどん安く設定した結果、ヨガ教室が存続できなくなると、結局は生徒さんたちに迷惑がかかってしまいます。生徒さんたちがレッスンに効果や価値を感じ、納得して対価を払いたくなるために何をすべきか試行錯誤を続けています

――現時点で、取り組んでいることはどんなことでしょうか?

まだ模索中ではありますが、ヨガスタジオだからできる経験を生徒さんに提供することがひとつです。ヨガスタジオは複数の先生がいること、レッスンの豊富さ、ヨガに集中できる環境などがメリットだと思います。その価値を感じていただけるような取り組みを引き続き行っていきたいと思います。

また一方で私自身、インストラクターとしての付加価値を付けていくことが大事だと感じています。ヨガの有名な資格をとってもいきなり人気講師になれるということはないですよね。最近では様々な養成講座が開催されており、マタニティやシニア向けヨガなど専門的な知識を身につけることがオンラインでもできるようになりました。もちろん人間性を磨くこともヨガに限らず、とても大切な要素だと思います。ヨガ業界全体の底上げに少しでも寄与できるよう、これからもできることからがんばっていきたいです。

2つの仕事を経験したことで、それぞれの立場を理解することができた

生徒だけでなく、所属するインストラクターからの問い合わせにも対応しているそう

――ヨガインストラクターとスタジオ運営の、2つの仕事を両立してよかったことはありますか?

会社員時代にできなかった幅広い経験ができ、成長することにつながったと思います。インストラクターも、スタジオ運営も手探りで難しいと感じることはありますが、問題が起きても「それも経験」と前向きに取り組んできました。そうすることで仕事の面だけでなく、精神的にも成長できたのではないかと。

もう1つ、圧倒的に視野が広がり、インストラクターさん、生徒さん、運営メンバーとスタジオに関わる人たちとのコミュニケーションの機会が多いので、それぞれの立場を理解できているのは私の強みになりました。そしていつもバックアップしてくれるよい仲間に恵まれたこともこの仕事を選んで本当によかったことだと思います。


尾花理恵子さんがヨガスタジオ運営で会社員時代の経験を活かした3つのこと

1.会社員時代に得意だった丁寧な資料作りなど、運営においてはコツコツと行う実務で力を発揮できた

2.安価な価格競争にせず、提供する価値に対して適切な利益を得るビジネスとしての持続性を考えるようになった

3.インストラクター、生徒、運営メンバーすべてを経験したり実際に触れ合うことで、それぞれの快適と思えることを探せるようになった

これまでお会いしてきたヨガインストラクターさんとは少し違い、スタジオ組織全体、ヨガ業界全体を大きな視点で捉え考えておられた尾花さん。こちらにきちんと伝わるよう、わかりやすくお話ししてくださる真摯な姿が印象的でした。これからヨガインストラクターを始めたい方、スタジオ運営を考えている方はぜひ参考にしてみてください。

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Salon Data

武蔵小山 ヨガスタジオYoga & Wellness Yu Studio
住所:東京都品川区小山4丁目2-3 the city 武蔵小山 6階
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