ホテルスパのブランドトレーナー×オーナーセラピスト! やりたい仕事を同時に叶えるthe suite 202土屋希望さん♯2
勤続18年目のブランドトレーナーを続けながら、自らのサロンを運営するオーナーセラピストの土屋希望さん。土屋さんは、美容師免許を取った後、すぐに美容師にはならず、アメリカでもマーチングをプレイしたいと渡米します。帰国後、The Day Spaでセラピストとしての活動を開始し、セラピストとしてだけでなく、ブランドトレーナーとして社内外のセラピストの教育を担当。その仕事を継続しながら、大磯の自宅サロンを運営しています。
二足の草鞋を履く土屋さんは、そのメリットをダブルインカムがあることはもちろん、ブランドトレーナーとして人に教えることで気づきがあり、セラピストとしての自分も成長できると話してくれました。
お話を伺ったのは
the suite 202
オーナーセラピスト 土屋希望さん
美容師免許取得後、美容師にはならず渡米。幼少期から続けていたマーチングバンドに没頭する。帰国後、音楽を続けながらクリームバス・ヘナ専門店でアルバイト開始。マッサージに興味がわき、フェイシャル・ボディトリートメントを学ぶため再度渡米。ロサンゼルスにあるElegante Beauty CollageにてEsthetic Courseを修了。同時多発テロでやむなく帰国。実務経験がない中での就活の末、The Day Spaに出会う。老舗高級旅館、東伊豆・望水内「Heavenly Spa GECCA」のオープニングスタッフとして採用される。その後、関東リゾートエリアの新店舗や初となる東京支店の立ち上げ、店長、エリアマネージャーを経て、長年ハイアットリージェンシー東京内「Spa&Wellness JOULE」の統括を担当。大磯に自身のプライベートサロン「the suite202」を開業。並行して、前職の化粧品輸入代理店業務のブランドトレーナーとして勤続18年を超える。社内教育のほか、五つ星ホテルスパの取引先への知識・実技トレーニングを担当。
「あなたじゃなきゃダメ」と言われるセラピストになりたい
――自らのサロンをオープンした理由を教えてください。
アメリカから帰国した当時、面接で必ず言っていたことがあるんです。「あなたじゃなきゃダメ」と言われるセラピストになりたいと。「あなたがいい」、「あなたに担当してもらいたい」。自分にしかできないセラピストになりたいという夢を実現させるためにサロンをオープンしました。
――サロンのコンセプトを教えてください。
特別なスイートルームで、ボディ・マインド・スピリットを整え、総合的に美しい状態に導きたいという思いを、「the suite 202」というサロン名に込めました。内側も外側もバランスのいい状態、そういうのがいいなと思っています。
――そういったコンセプトでありながら、まつ毛パーマを導入されているのはめずらしいなと感じました。
自分がママになったから余計そう思うのですが、時間がない中で、いかに楽して自分を美しく見せるかは、女性にとってすごく大事だと思うんです。外国人は、眉毛よりまつ毛重視ですが、まつ毛が上がっていたら、それだけでお顔の映え方が全然違うんですよね。自分でいろいろ検証した結果、肌を美しく整えて、まつ毛が上がっていて、ノーメイクでもきれいな状態がベストだという結論に達し、そういう女性を増やしたいと思ったんです。
でも、ナチュラルなものがよかったので、まつ毛エクステは選択肢にはありませんでした。その人本来の美しさを引き出すことをお手伝いしたくて、まつ毛パーマを導入しています。
まつ毛パーマは美容師免許を持ってないとできないので、サロンをオープンするときに20年ぶりくらいに美容師免許を引っ張り出してきました(笑)。このときは、つくづく美容師免許を持っていてよかったなと思いました。
――コロナ禍のサロンオープンということで、大変なことも多かったのでは?
元々、自宅サロンに一見さんが来るのは抵抗があったので、ほとんど広告を打っていなかったんですね。それにも関わらず、コロナ禍でのオープン初年度、紹介のみで90名くらいの方が来てくださいました。
2020年7月のオープン当初は、ロックダウンで大切な人にも会えない異常事態。皆さん、どこにも外出しないので、外見をきれいにする必要はなかったんですよね。でも、誰にも見られないからお手入れしないという状況は、生きるハリがなくなって、精神的にものすごく疲弊している状態。そんなときだからこそ、コロナに感染してしまうかもという不安よりも、人に触れてもらうことを求めている方は確実にいらっしゃいました。
ブランドトレーナー×サロン運営。自分がやりたい仕事のすみ分けができるのがメリット
――サロンの運営と並行して、前職のブランドトレーナーのお仕事も兼任されているそうですが、会社とはどのような契約になっているのですか?
現在は、正社員のときの1/3くらいの勤務日数なので、パート・アルバイトという形になっています。
――土屋さんが前の仕事と並行してサロンをオープンされることについて、会社はどのような反応でしたか?
自分のサロンをやりたいということと同時に、わたしのやるべきことが会社にあるのなら継続したいと伝えたところ、社長は快諾してくださいました。現在も変わらず応援してくれています。会社には本当にいろいろなことを経験させてもらったので、恩返ししたい気持ちがあるんですよね。もちろん、最終的には会社側の判断になりますが、わたしから辞めるという選択肢はまったくなかったです。
――土屋さんのほかにもブランドトレーナーの方はいらっしゃるのですか?
わたしのほかにも数名います。
――トレーナー業とご自身のサロン運営はどのようなスケジュールで動いているのですか?
例えば、実技トレーニングの場合は、1週間毎日取引先に伺います。そういうときは、サロンを1週間クローズします。また、基本的に保育園が休みの日曜と、主人の休みに合わせて平日もう一日はオフ。サロンワークとトレーナー業に付随する業務をその都度、臨機応変に調整しながら、トータル週5日ペースで働いています。
自宅サロンの運営は、お客様の施術だけでなく、すべて自分で管理しないといけないので、思ったよりも事務作業に時間をとられてしまいます。そのため、会社の仕事のペースを決めずに必要なときだけ勤務していた時期があったんですが、そうすると会社でなにが起こってるのかが分からず、ついていけなくなってしまったんですね。そのときに、コンスタントに繋がっておくことも重要だと気づき、現在は週一で必ずトレーナー業の仕事を入れるようにしています。
――トレーナー業とサロン運営、二足の草鞋のメリットは?
ひとつは、ダブルインカムがあることです。もうひとつは、自分の中で仕事のすみ分けができること。次世代のセラピストを育成していくことは、わたしのやりたいことのひとつでもありますし、セラピストという仕事は今後も世の中に絶対必要だと思っているので、業界の繫栄のためにもがんばりたいです。
そして、人に教えるためには、自分の技術が必要不可欠。技術は、言語と同じで使わなくなるとどんどんダメになってしまいます。サロンでは、自分の技術を磨きながら、大切なお客様に満足してもらいたい。自分にしかできないセラピスト業務とセラピストの育成、自分がやりたいことが満たされるのはメリットなのかなと思います。
――最後に今後の展望を教えてください。
まずは、自分のファンを増やすことです。このサロンを必要としてくださるお客様が増えるといいなと思っています。それから、セラピストを生きがいとする人を増やしていくことです。セラピストという仕事は、体力面や精神的にもたずに、離職率がとても高いのですが、絶対なくなってほしくないので、長く仕事を続けられるような環境づくりにも取り組みたいです。
土屋さんがサロン運営とトレーナー業を並行するメリットは
1.ダブルインカムがある。
2.サロン運営とセラピスト育成、自分がやりたいことが満たされる。
3.人に教えることで気づきがあり、セラピストとしての自分も成長できる。
長年勤務する会社でブランドトレーナーとしての仕事を継続しつつ、自身のサロンを運営する土屋さん。そんな仕事スタイルを実現できているのは、会社への感謝の気持ちと、セラピストという仕事への誇りがあるからだと感じました。ますます活躍の場を広げていきそうな土屋さんの今後を、またレポートできたらいいなと思います。