たまたま見つけた「美容」を味方に、経営者として生きる道を目指した【アイラッシュサロン経営者 當山(とうやま)佐菜さん】#1
沖縄県にて目元悩みに特化した美容サロン「ラフィーユ」を3店舗展開し、さらには商品開発や養成スクールまでも手がけている、LVS株式会社経営者の當山佐菜さん。当時目周りのメニューが浸透していない中、どのようにして人気店へと成長させることができたのでしょうか。学生の頃より、経営者になると決めていた當山さんが美容業界で成功をつかめるまでの経緯を詳しくインタビュー。
前編では、経営者を志す中で「美容」に着目した理由や独立までの経緯、サロンの売上を軌道に乗せた経営術についてお聞きします。
お話を伺ったのは…
アイラッシュサロン経営者 當山佐菜さん
高校在学中に美容業界経営者になることを決意し、エステサロンに就職。3年働いたのち、独立を果たす。現在は、サロン経営をするほか、商品開発・販売などの事業にも着手し、沖縄県での美容意識の底上げをサポートしている。プライベートでは一児の母。
経営者を目指すため、エステサロンに就職。美容業界に注目した経緯とは?
――美容業界で経営者を志すまでの経緯をお聞かせください。
私の両親は、飲食店を数店舗経営する自営業をしていたのですが、毎日休みなく働き続ける両親の姿を見て、なんとなく違和感があったんです。毎日仕事に追われるんじゃなくて、もっと自由な働き方が良いなと思うようになり、自分が動かなくてもお金を循環させる方法はないのか、考えるようになっていました。
経営者を志したのは、高校在学中に行った海外(サンフランシスコ)へのホームステイがきっかけです。初めての海外はとても世界が広く見え、人やものの多さに圧倒されましたし、沖縄県とは比にならないくらいの人と物の多さに衝撃を受けました。そこでたまたま見つけたのが「マツエク」サロン。なんと、アメリカでの当時の美容サロンの価格が千ドルほどの高値で経営ができていると分かり、「美容」を軸にしたビジネスを考えついたんです。
――気づいてからはどんな行動を?
「経営」と「美容」が結びついた瞬間、経営者になるために必要なのは「学校での学び」よりも「社会経験」だと思い、通っていた高校を中退して働くことにしました。
周りの友人や知人に、「美容に詳しい知り合いがいないか?」と聞いて回ったところ、友人の叔母さんが美容サロンを経営しているとのことで、紹介していただいたんです。3年くらいお世話になり、基本的な技術や接客の仕方など学ぶことができました。
もともとお客様を喜ばせることが好きだったこともあり、入社してすぐに売上は全国でもトップを獲得。そこで自分に自信がつき、勢いに任せて独立に踏み切ったんです。
――思いきりましたね。場所やメニュー内容はどのように決めましたか?
サロン名の「ラフィーユ」は、母親が趣味でやっていた美容サロンを譲ってもらいました。場所は、スタートから2人のスタッフを雇うと決めていたため、十分な広さのある路面店を確保。完全に見切り発車としか言いようがないスタートでした。今ならもう少し考えて行動すると思います(笑)。
そんなスタートでしたから、最初は売上を立てることが難しく…挫折しかけました。そもそも以前働いていたサロンはホテルに併設されていて、アプローチしなくても自然と集客ができていたんですね。放っておいてもお客様は来店するものだと勘違いをしていて、集客に関する取り組みを全くしなかったことが失敗でした。売上が軌道に乗るまでは、スタッフの給与の支払いに追われ、副業としてアルバイトをするなど働き詰めてどうにかやりくりしていました。
目元に特化したサロンにシフトチェンジしたことで右肩上がりに回復
――状況を打破できたきっかけは?
美容エステサロンとしてオープンしましたが、「まつげ」などの施術に特化した目元のトータルビューティーサロンにシフトしたことです。
実は当時の世の中には、「まつげ」などの目元の施術は浸透していない状況。浸透はしていませんでしたが、マツエクの施術は既にあったので個人的に利用していたんです。自分の目周りの悩みがきっかけで通い始めましたが、だんだんアレルギー反応が起きたり、まつげの毛質が弱くなったり、薄くなったりするようになってきて…。さらには目周りのたるみやくまも気になり出しました。その経験から目元の施術って、アフターケアが必要なんだなと改めて感じたんです。まつげの施術が普及するとともに、私と同じ悩みの人が今後増えていくと予想して、目周りのトータルビューティーを整えるサロンに切り替えました。
――どのような内容なのですか?
まつげのパーマやエクステに加えて、施術によって受けたまつげへのダメージケアや、目周りのたるみやくまにアプローチするメニューを取り入れました。
――施術をする際、特に力を入れているのは?
マツエクやパーマに関しては、カウンセリングに力を入れています。
当サロンは、「今」だけではなく、5年後、10年後の「未来」の綺麗も考える、がコンセプト。ただまつげを綺麗にするだけではありません。施術以外に、お客様のまつげや目元のお悩みを伺ってケアをするまでがワンセットと考えているため、90%以上のお客様がまつげの施術とケアのセットメニューでご利用いただけるように努めました。
それからは売上もキープできるようになりましたね。
――では、商品を扱うようになった経緯をお聞かせください。
あるとき「一番望んでいない働き方をしている」と、気づいたことがきっかけです。そもそも私は「忙しい」とか「大変」と言いながら働きたくなかったから経営者を目指したのに、今の働き方では全然実現できていなかったんですね。
気づいてからは、私が目指したい・なりたい未来について、明確な目標を立てました。今すぐ上手くいかなくても、その目標を達成するためにどう動くか、どう進むかで視点が変わるんです。
経営の勉強をするのではなく、自分の未来像を考え、そのために取り組むべきことや取り組む際の姿勢などを見直したことで、思いついたのが商品開発の事業。また、このタイミングで個人事業主から会社を設立、LVS株式会社としてスタートしました。
経営する事業を美容に決めてからは、サロンの売上もキープさせ、目標を設定し直したことで徐々に軌道に乗らせることに成功します。後編では、軌道に乗らせるカギとなった商品開発・販売について詳しく伺い、経営する会社のモットーやスタッフに求めること、さらに力を入れている事業についてもお伺いします。
取材・文/東 菜々(レ・キャトル)
撮影/生駒由美