未経験でネイルサロンをオープン! 成功の秘訣は、一度の挫折とアンバサダーにあった【ネイルブランド経営者 浮田美遊さん】#1
1年前は地元の三重県にて、独自のデザイン性を活かしたネイルサロンを経営していた浮田美遊さん。現在はネイルサロンを畳んで地元を離れ、ネイルブランドの経営に力を入れています。念願だったサロン経営とネイルブランドを成功させてきた浮田さんですが、実は未経験で業界に飛び込んだのだとか。
前編では、ネイルに着目したきっかけやサロンオープンまでの経緯についてお聞きします。
お話を伺ったのは…
ネイルブランド経営者 浮田美遊さん
地元・三重県の高校を卒業したあと、県内にあるエステの専門学校へ進学。地元にあるエステサロンに2年半勤務し、退職。ネイルサロンをオープンさせるも、一度挫折。その2年後に再オープンしたところ、地元でも人気のネイルサロンとして人気を集める。サロンをオープンして3年後に結婚を機に閉店し、上京。現在は、オリジナルのジェルネイルブランドを経営し、注目を集めている。
「ネイル」に絞るも、一度目の経営では挫折を味わう
――これまでの経歴をお聞かせください。
もともと、美容やファッションなどに興味がありました。
ネイルの技術を学んだのは、エステの専門学校に進学したとき。でも、当時はネイルを仕事にするなんて考えてもみませんでした。
自分で「何か」を作りたい気持ちはありましたが、専門学校を卒業するまでにその「何か」が掴めず…とりあえず地元にあるエステサロンに就職することにしたんです。働いている間も「何かを作りたい、始めたい」という気持ちは消えないままでした。
エステサロンでの勤務はかなり厳しかったです。覚えることがたくさんあるし、ノルマもあるし。売上を気にしながら技術を向上させていくことは精神的にもきつかったです。それに比例して、やっぱり新しい何かに挑戦したい気持ちが強まったことで、とりあえず退職をしました。
このタイミングで、学生の頃に少し経験のあったネイルに着目。同時に新しいことに挑戦したい気持ちがあり、ネイルサロンをオープンすることにしたんです。
――ほぼ未経験の状態でサロンをスタートさせたのですね。どんなことから始めましたか?
まずは物件を探したり、ネイルの道具を買い集めたり…。ネイルの技術はYouTubeやSNSなどから学び、友人の手をモデルにさせてもらうなどの方法で練習を重ねてオープンしました。
ところが、借りているサロンの家賃を払うために、もともと働いていた職場でアルバイト契約を結んでしまい、そっちの方が忙しくなってしまって。ネイルとの両立ができなくなり、辞めざるを得なくなってしまったんです。
――それからどのような経緯で再びサロンをオープンさせたのですか?
一度目にネイルサロンに失敗したのが22歳のとき、再スタートしたのは24歳のときです。
ネイルを一度辞めてもやはり「何か」を作りたい気持ちはずっとあり、ネイル以外にスマートフォンのケース、アクセサリー作りなどをして自分がやりたいことやできることを追求していました。でも、どれもしっくりこなくて…考えた末、ネイルにもう一度挑戦することにしたんです。
再起をかけた二度目のオープン。アンバサダー就任が集客に成功
――ほかの可能性を試してみて、改めてネイルをしたい気持ちに気付いたのですね。以前のオープン時と比べて、変更したところは?
物件の家賃が高くて軸がぶれたことも以前の失敗の原因のひとつだったため、続けられることを第一に考え、全体的に初期費用を抑えました。ネイルの道具は以前使用していたものに多少追加する程度。技術は、今まで以上に練習を重ねて再オープンできました。
あとは、多くの方にいらっしゃっていただけるように地域性に沿ったサロン作りを意識。周りのサロンの特徴を全て調査し、その中でサロンの立ち位置を考えて価格や接客方法、ターゲット、方向性を決めました。
――オープン後の売上は順調に?
いえ、軌道に乗るまでに1年ほどかかりました。
最初はマット系のネイルが流行っていたので、私自身も好みとしていたモードなデザインを推していましたが、あまり受け入れられなかったようで…。そのとき来店いただいていたお客様の多くがナチュラル系メイクやカジュアルな服装だったこともあり、どんなメイクにも服装にも合わせられるニュアンス系のネイルデザインに路線変更したところ、少しずつ反応が良くなっていきました。
――お客様の希望を取り入れて、少しずつ改善していったのですね。
そうですね。デザインの変更もそうですが、一番大きなきっかけとなったのは「アンバサダー」を務めたことだと感じます。
――アンバサダーとは?
募集しているネイルメーカーに応募して、採用されたら新商品のPRを任せていただけるんです。ネイルブランドのイベントに参加するほか、SNSでは商品を紹介する投稿もしていました。
私が得た学びは、商品が注目されるために「どうしたらその商品が良いと思ってもらえるか」という視点でした。それまでは、自分が好きなデザインをひたすら作り続けてInstagramに載せる集客方法をしていましたが、うまくいきませんでした。でも、アンバサダーを務めていると、人気のデザインの傾向などがいいね数によって、だんだんお客様が求めるデザインが分かるようになったんです。
それが分かってからは、私が好きなデザインを載せるのではなく、話題になっている、注目されているデザインを意識し、「#松阪市」をつけて毎日3つずつ投稿するなど、自分の投稿にも活かしました。次第に「#松阪市 ネイル」の欄が私の投稿で埋まるようになり、自然にお客様も増え始めたのです。
――自分に合うアピール方法を見つけることは、売上アップには欠かせないのですね。
目標を決めることが重要だと感じます。私はアンバサダーに取り組むことで打開できましたが、その方法は人それぞれ。目的を達成するまでに、いろいろなやり方を試してみると良いと思います。
アンバサダー就任によって商品の見せ方が分かり、サロンの売上がアップした浮田さん。自分にとって最適なアピール方法を見つけておくと良いようですね。後編では、自身の夢だったオリジナルブランド立ち上げの経緯について詳しく伺います。
取材・文/東菜々(レ・キャトル)
撮影/SHOHEI