テンプレートにはない先輩の接客を真似してみたら、心から楽しいと思えたao.ネイリスト&アイリスト宍戸琴美さん#2
ネイリスト&アイリスト&マネージャーを兼任するao.宍戸琴美さん。前編では、社会人としてのルールを叩きこまれた美容師時代、その後未経験で入社したネイル&アイサロン、さらにニュアンスデザインに憧れ転職したao. 3つの新人時代について伺いました。
この後編では、ao.に入ってから本当の意味で接客が楽しくなったことや、プレイヤーとマネージャー業務の兼任のコツについて教えていただきます。
お話を伺ったのは…
ao.ネイリスト&アイリスト兼マネージャー
宍戸琴美みさん
美容師を経験した後、未経験でネイル&アイサロンに転職。短期間でネイル&アイの技術を学び、新店舗店長としても活躍。2年後憧れのニュアンスデザインを学ぶためao.に転職。現在は個性あふれるネイルアートを武器にしたネイリスト&アイプレイヤーとして、またマネージャーとしても活躍。口コミ評価4.8以上のサロンづくりを実現している。
ao.入社2年目に心から接客が楽しいと思えた
――ao.での2~3年目に達成したことはありますか。
基本的に人見知りなので、表面上人当たりよくはできるんですけど、お客様を気持ちよくさせて自分も楽しくなるような接客が長い間できなかったんですね。それがao.に入って2年目くらいのときに、心から接客が楽しいなと思えるようになりました。
――何かきっかけがあったのですか。
ao.の先輩たちの接客を見て、そんなことまで話していいんだと衝撃を受けたんです。それまでのわたしはテンプレートにあるような定型文しか言ってこなかったのですが、先輩たちは自分のことを話したり、お客様のプライベートな話も結構聞いたりしていて、それで友達ぐらい近い信頼関係を築いている。それを間近で見て、接客ってこういうことなんだと気づかされたんです。
とくにひとつ上の先輩が「こういうときはあえて声かけに行くんだよ」と背中を押してくれて、それから徐々に自分から話しかけられるようになっていきました。そうすると次回来店の際に、「この前のあれどうでしたか?」というところから自然に会話がはずみ、いまとなっては2時間の施術中ずっとお話しているお客様もいらっしゃるほどです。
接客時はお客様に集中、空きがあるときに店長業務を遂行
――ao.でも早い時期に店長になったそうですね。
2年半ぐらい経ったときに、当時店長だったスタッフが独立退社することになり、中継ぎで店長をやることになったんです。そこからまた自分の指名も増やしつつ、新人教育をやりながらスタッフの顧客も増やしていかねばという動きになりました。
――その時点では、自分の技術をステップアップさせたいという目標は達成できていたのでしょうか。
ao.の世界観であるニュアンスデザインができるようになりたい、そういうアートを希望するお客様を担当したいという目標はある程度達成できて、もっともっとお客様を増やしたいという時期だったと思います。
――人生二度目の店長はいかがでしたか。
ao.に入社してからは、自分のレベルアップのみに集中させてもらえる環境でしたが、店長となると他のスタッフのことやお店全体のことを考えないといけない。自分のお客様もまだまだ増やしていきたいし、その2軸のバランスをとるのがやっぱり難しかったですね。
――どうやってバランスをとったのでしょうか。
そこはもう割り切って、接客中はお客様のことだけ考えて、1時間とか空きがあるときに店長業務を考える。そうやって頭を切り替えるようにしていました。
――サロンの口コミ評価4.8以上。お客様の声にはどんなものがありますか。
何年も前から指名をつけずにフリーで通ってくださっている方には、「どの子も上手だし、いい子が多いね」と言っていただくことが多いです。
――高い評価はどうやって獲得しているのでしょうか。
技術はできて当たり前。お客様の満足度や感動は、プレイヤーの人柄や人間力で決まるというのがスタッフ間での共通認識です。
――スタッフの方全員が魅力的ということですね。面接ではどんな方を採用しているのですか。
私が私が、で終わらない人。自分がスキルをつけたその先に人に喜んでもらいたい。矢印が外に向いているような人を採用する傾向があります。最近では、ありがたいことに毎月20件ぐらい面接させていただいています。その中で採用されるのは2名ほど。大きなサロンではないからこそ吟味して、より相性のいい方に入っていただきたいと思っています。
自分一人でお客様をきれいにできるのが兼任プレイヤーのいいところ
――いま新人時代を振り返るとどんな経験でしたか。
技術を磨くことでメンタルも磨かれたなと感じています。根気強さや粘り強さ、できなくてもくじけないメンタルは新人時代に鍛えられたものだと思います。あとは効率よく練習するための時間の使い方も身につきました。
――では最後に宍戸さんのような兼任プレーヤーを目指す方にアドバイスをお願いします。
異なった施術を担当するにあたり、技術の違いはもちろん、お客様への提案の仕方の違いにちょっと苦戦したこともありましたが、お客様のネイルもまつげも眉毛も自分ひとりできれいにできてお客様を喜ばせることができると思うとがんばれると思います。
ずっとネイルを担当させてもらっていたお客様に「実はアイもやってるんです」と言うと、「じゃあ宍戸さんにやってもらいたい」と任せてもらえることも。そんなときは、兼任していてよかったなと思えて嬉しい瞬間ですね。今後兼任プレイヤーを目指す方には、そういう未来があるよっていうことを伝えたいです。
宍戸さんが新人時代にがんばった3つのこと
1.アイもネイルも早く上手くなりたくてひたすら練習した
2.お客様のオーダーを叶える「汲み取り力」を養った
3.テンプレにはない接客で心から接客を楽しめるようになった
ネイル習得後、今度はすぐにエクステの勉強。そして新店舗への異動と店長業務。短期間でさまざまな業務を担当してきた宍戸さん。さぞ大変だっただろうというこちらの印象とは異なり、「手を動かすのが好きだから」、「大変よりも早く上手くなりたかった」と明るく笑います。好きということは、原動力や持続力にも繋がるんだなと感じました。
撮影/山田真由美
取材・文/永瀬紀子